チェイスの基本|新クトゥルフ神話TRPGを演出する追跡ルールの解説


クトゥルフ神話TRPGにおいて追いかけられるのは緊迫感を出すための演出の一つです。ただ、チェイスはルールが複雑なため管理方法や手順を理解しておく必要がありまう。そこでチェイスを実際に行う段取りをわかりやすいように解説いたします。

チェイスとは

チェイス
クトゥルフ神話TRPGのチェイス(Chase)とはアクション映画やドラマで見ることがある「追跡シーン」です。逃走側は捕まったり殺されたりしないように、追跡側は捕まえたり殺したりするように行うものであり、緊迫したシーンを演出します。映画「ワイルド・スピード」シリーズや「ジェイソン・ボーン」シリーズではカーチェイスが必ず含まれており、それだけでも見応えがあります。またホラー映画でも迫り来る恐怖から逃げるというのは感情移入を行うためにも重要な演出になっています。クトゥルフ神話TRPGの場合、迫り来る恐怖から逃げる場面が多いでしょう。そのシーンを演出する上でもルールブックをしっかり読んでチェイスを理解しておくことが必要です。

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チェイスのシーンは事前に準備しておく

チェイスの発生はキーパーのさじ加減である程度のコントロールは可能です。そのため、シナリオの中でチェイスをするであろうポイントを用意しておくことができます。この時に大切なのはプレイヤーに「見つかってはいけない」「戦うと死んでしまう」といったネガティブな情報を事前に与えて理解させておく必要があります。この事前情報があればプレイヤーが逃げる判断を選択しやすくなり、チェイスシーンへと誘導しやすくなります。なお後述しますが、障害(ハザード)や障壁(バリアー)は事前にある程度種類を決めておくと進行もスムーズになります。また、キーパーの意図と反して突発的にチェイスになる場合もあり、その時はチェイスが成立した時に作成しても問題ありません。

チェイスを成立させる手順

セッション中にチェイスを行う場合、追いかける場面が来れば必ずチェイスになるというわけではありません。またチェイスがどのように決着つくのかを段取りよく進めるためにチェイスはいくつかの手順があり、その手順を正しく処理することで成立します。チェイスの手順は以下の形をとります。

  1. チェイスの確定(速度ロール)
  2. チェイスへの切り替え(チェイスの場所のコマの配置、障害・障壁の配置)
  3. チェイスラウンド(DEX順に移動や闘争などのアクションを行う)

チェイスへの切り替えが終われば3のチェイスラウンドを繰り返し行い、逃げ切るか追いついくところまで処理を続けます。

チェイスの確定

キャラクターが逃げて別のキャラクターが追う意思表示を示した場合にまず、チェイスとして処理する必要があるのか?ということを見極める必要があります。逃走側の足が早く追跡側が明らかに足が遅いのであれば、逃走側が油断さえしなければ追跡側はすぐに相手を見失うでしょう。そのような状況であれば面白みもないので映画でも追跡シーンを詳細に作ることはありません。この速さを確かめるために逃走側と追跡側が「速度ロール」を行う必要があります。

速度ロールとは

逃走側および追跡側であるキャラクターを使用する車両には速度(MOV)が存在します。キャラクターのMOVは能力値から算出され、車両は固定のMOVがあります。このMOVの比較がチェイスを確定する要素であり、速度ロールは何かの影響で本調子を出せない、もしくはいつも以上に調子が出ることを判定するものです。速度ロールはキャラクターが自分の足での逃走であればCONロールを行い、車両を使っての逃走であれば該当する「運転」または「操縦」「重機械操作」「乗馬」で技能ロールを行います。

速度ロールの結果MOVの変更
成功このチェイスの間にMOVの変更はなし
イクストリーム成功このチェイスの間はMOVに+1
失敗・ファンブルこのチェイスの間はMOVに-1

速度ロールの失敗はCONロールの場合は無酸素呼吸が上手くいかずに心拍数が上がりすぎて体がうまく動かないイメージです。「運転」などの技能の失敗はエンジンの吹け上がりが悪くてスピードに伸びがなかったり、馬の体調が悪かったりをイメージすると良いでしょう。

両者のMOVを比較して逃走側のMOVが追跡側のMOV以下であればチェイスが発生します。逃走側のMOVが高ければ、キーパーは追跡側が見失ったことを告げてセッションを進めれば良いです。

チェイスへの切り替え

チェイスが発生することが確定されると、次はチェイスの舞台(場所)を決める必要があります。チェイスに切り替わるタイミングは逃走側が逃げているがあと少しで追跡側が追いつくかもという場面から開始されます。たとえ実際は離れた距離で逃走していても追跡者が近くまで迫るまでの部分はカットして無駄な時間を掛けないようにします。その処理を円滑に進めるためにチェイスシートを作り、チェイスの経過を一目でわかるようにします。

チェイスシートの準備

チェイスシートはチェイスに切り替わった時点でのキャラクターの位置関係は明確にします。また時間の経過と位置関係およびその場所にある障害を整理するのに役立ちます。ルールブック上では「白紙かホワイトボードに1cmほどの間隔で点(ドット)を描いてみよう」とありますが、有志の方の作成したものも存在します。そのチェイスシートに
追跡側を一番左端に配置し、逃亡側を2つ隣に配置します。この間隔は広い場合何も変化がない状況を生み出し間伸びした演出になりやすいので2つが良いとされています。
チェイスのイメージ
このドットの部分は実際の距離を表すのではなく、キャラクターのあと何回で追いつくかを分かりやすくする位置関係のほかにアクションを起こす「シーンの転換」や、予期せぬことが起きる「ハプニング発生ポイント」と考えると良いでしょう。そのためドットの配置は均等にする必要はなく、演出上こういうシーンがあるといいな、くらいで設定すると良いでしょう。ドットとドットとの間にはチェイスを演出するための障害(ハザード)や障壁(バリア)を設定しておきます。

チェイスの管理はチェイスシートを使いますが、毎回直接書いたり消したりするのは大変ですし、オンラインセッションであればそもそも直接書き込むこともありません。そこでオンセであればセッションツール上で管理を行い、ユニットを動かして進めることで解決します。オフセであれば用意したチェイスシートにミニチュアフィギュアやダイスやペットボトルのキャップなど駒代わりのものを置くと良いでしょう。

障害(ハザード)の設置

障害(ハザード)はチェイスを演出する上で欠かせない要素です。低い柵や塀、混雑した路地、屋根の上、ぬかるんだ沼などがハザードに該当します。これらは移動に制限を与えるために、チェイス参加者はハザードを超える時に該当するロールを行う必要があります。ハザードを設置するときは失敗したときどうなるか、まで決めておく必要があります。

障壁(バリアー)の設置

障壁(バリアー)はうまく切り抜けるか取り除くかしない限り進めなくするものです。障害(ハザード)と似たようなものですが、ハザードはロールに失敗してもダメージを受けたり遅くなったりしながらも前進する可能性があるのに対し、バリアーは失敗すると前進することができません。バリアーには車が進めない倒木、道路封鎖、高い柵や塀、屋根と屋根の間、鍵がかかった扉があります。

チェイスラウンド

チェイスの舞台ができると、チェイスのラウンドが開始されます。最初にDEXで順番を決定し、それぞれのターンの処理を終えてチェイスが終了するまでラウンドを繰り返します。

順番の決定

チェイスラウンドでは誰が最初にアクションを起こすかを決める必要があり、その順番はキャラクターのDEXが高いものから順に行動することができます。同じDEXである場合はDEX対抗ロールを行い、勝った方が先に行動します。

移動アクションの把握

すべてのキャラクターと乗り物は一つの「移動アクション」を持っており、自分のターンで「移動アクション」を用いて何かの行動を一つ起こすことができます。この移動アクションは自分のMOVとチェイスに参加者で一番MOVが低いものと比較を行い、その差が移動アクションの回数にプラスされます。つまり、MOVが大きければ大きいほど多くの行動を起こすことができ、早めに距離を詰めることができます。

MOVの差チェイスの移動アクション回数
チェイス参加者でMOVが最低1回
MOV最低よりMOVが1多い2回
MOV最低よりMOVが2多い3回
MOV最低よりMOVが3多い4回

自分のターンになると移動アクションの回数だけ以下の行動を起こすことができます。

  • チェイスを続けて前に進む(1マスあたり1移動アクション消費)
  • 近接戦闘または射撃技能による攻撃、乗りものを使った体当たり(ただし位置関係による)
  • 呪文をかける(ただし、呪文が使える場合のみ)
  • 錠前をこじ開ける、など時間がかかりダイスロールを必要とするアクションを実行する

なお、自分の行動を遅らせ他のキャラクターと同じタイミングで行動する場合はその処理はDEXの順で行います。チェイス参加者が全員誰かの行動を待って待機していた場合は沈黙が流れそのラウンドが終了します。

チェイスを続けて前に進む

自分のターンで「チェイスを続けて前に進む」を選んだ場合、チェイスシートのコマを一つ横へ進めます。1移動アクションで1つ進めるので2移動アクションを使用すれば2つ進めることができます。移動を行うと進んだシーンで「障害」や「障壁」があることがあります。

障害(ハザード)を対処する

チェイスで進んだ先へ進もうとした時にドット間にハザードを設定しているのであればハザードをどう乗り越えるのかを処理する必要があります。キーパーはハザードの内容を告げて必要なロールを行わせます。プレイヤー側から別の方法でのハザードを越える提案があった場合は適切なロールを設定する必要があります。ハザードはロールに失敗しても次のドットに進むことはできます。

ロール結果内容
成功ハザードをうまく切り抜ける。
失敗ハザードをうまく切り抜けることができず、1D3の移動アクションを失う。ダメージを負うこともあるが次のドットには進める
ファンブルハザードをうまく切り抜けることができず、1D3の移動アクションを失う。大きなダメージを負うこともあるが次のドットには進める

移動アクションが2以上ある時に限り、身長にハザードをクリアする手段を選ぶことが可能です。その場合は通常の1同アクションとは別に移動アクション1つを追加するごとに1つのボーナスダイスを得ることができます。(最大2個まで)

障壁(バリアー)を技能で対処する

チェイスで先に進もうとした時にドット間にバリアーがある場合、乗り越えるか取り除くかしない限り先に進むことはできません。キーパーはバリアーの存在を告げ、必要なロールを行わせます。プレイヤー側から別の方法でのバリアーを越える提案があった場合は適切なロールを設定する必要があります。ロールに失敗した場合は先には進めず足止めになります。

障壁(バリアー)を破壊する

バリアーは技能で対処する以外に最もシンプルで暴力的な解決方法である「破壊」を選ぶことも可能です。鍵がかかっている木製の扉など時と場合によっては突進力を活かして解決する方が良い場合もあります。攻撃ロールは必要なく与えるダメージと耐久力を見て破壊できたかを決定します。

  • 徒歩でのチェイス・・キャラクターは自身の体や手持ちの武器でダメージを与える。体当たりは1D3のダメージ。
  • 車両でのチェイス・・キャラクターは車両に乗ったまま突撃することができる。ダメージは乗り物のビルド1ポイントごとに1D10。

なお車両で突撃した場合は高速移動中と見做され、バリアーが破壊されなかった場合は車両が破壊されます。またバリアーが破壊された場合でも持っていた耐久力の1/2と等しいダメージを受けます。

相手と戦う

追いつかれての戦闘
逃走側と追跡側が同じドット(場所)にいる場合、逃走側は逃げるための時間稼ぎに、追跡側は捕まえるための相手を攻撃することができます。攻撃アクションを起こすには1回の移動アクションを消費する必要があります。

攻撃回数

探索者に限らずすべてのキャラクターが攻撃できる回数は1ラウンドに攻撃できる回数と同じです。そのため1ラウンドに複数回攻撃ができる生物は1回の移動アクションでその回数の攻撃を行います。また1ラウンドの攻撃回数が1回であっても移動アクションが複数あれば複数回の攻撃が可能です。

キャラクターのよる攻撃

チェイス中の攻撃であっても通常の攻撃と同じように近接戦闘で武器技能を使って行うことができます。また防御側はその攻撃に応戦または回避を行うことができます。またダメージは通常の戦闘と同じダメージです。

車両による攻撃方法

車両による攻撃方法は「運転」など該当する技能で「近接戦闘」と「回避」の代わりとして使うことができます。映画のカーチェイスであるように車両をぶつけ合うシーンが該当し、そのダメージは車両のビルド1ごとに1D10のダメージを与えることができます。ただし、自分の車両も無傷ではなく与えたダメージの1/2を受けます。なお、車両は受けたダメージ10ポイントごとにビルドが1減少します。

戦闘マヌーバを使う

チェイスではキャラクターや車両は相手を倒したり、制御不能にするために戦闘マヌーバを使うこと可能です。キャラクターの場合は応戦でも戦闘マヌーバが可能ですが、車両は応戦ができないため、自分か移動アクションを消費して攻撃する時のみ戦闘マヌーバを実行できます。戦闘マヌーバの処理は通常の戦闘と同じように処理されます。戦闘マヌーバが成功すると相手の移動アクションを1D3消失させ、状況に応じてダメージを与えることができます

逃亡側であれば逃げ切ることが最優先であるため、相手を打ちのめすために攻撃をするより、戦闘マヌーバを使い相手の移動アクションを消失させ逃げる時間を稼ぐ方が自然でしょう。

時間が掛かりダイスロールを必要とするアクションを実行する

障害を破壊せずに取り除くための行動で時間がかかる方法を選んだ場合などが該当します。また、その移動せずにその場に止まり追跡者へのハザードを作るなども含まれます。

たとえば錠がかけられた扉があった場合、扉に体当たりをして扉を破壊する方法や「鍵開け」を行うことが一番シンプルな解決方法です。しかしキャラクターに「鍵開け」ができるものがいない場合は、梃子の原理を使って錠を壊すかもしれません。この場合、梃子の原理を使って錠を壊す方法が「時間がかかりダイスロールを必要とするアクション」に該当します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?チェイスはセッションの追跡シーンを緊張感のあるものにするルールです。ここで解説したものはあくまでも基本的なものであり、経路を選んだり、追跡中の射撃や車両追跡中の同乗者の扱い、ハザードを作ったり、隠れてやし過ごすなどさまざまな選択ルールもあります。今後解説しますが是非とも基本を理解しておきましょう。

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ルール改定があり7版が出てもなお遊ばれているクトゥルフ神話TRPG6版。個人制作のシナリオの多くが6版で作られていることもあり、まだまだ人気のルールブックです。

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