対抗ロールとは| 初心者でも簡単に計算できるクトゥルフ神話TRPGの抵抗・対抗判定の解説
目次
新クトゥルフ神話TRPG(7版)に変わり、いろいろなルールが変更・再定義されました。その中でも対抗ロールは重要な変更の一つです。6版に慣れている人では馴染みのないものかもしれませんので対抗ロールをわかりやすく解説します。
対抗ロールとは
対抗ロール
とはクトゥルフ神話TRPGの行動の処理において相反する行動を取る相手がいる場合に行われる処理のことです。クトゥルフ神話TRPGにおいて探索者が行うことに対してNPCが反対の行動や邪魔をしてくることがありますが、その衝突を解決するルールであり、特に近接戦闘では標準ルールであることから、キーパーとプレイヤー共に理解しておく必要があります。能力値と能力値の比較のほか、技能と技能、能力値と技能の比較など様々な形で比較が行われます。そしてこのロールは6版までと7版では判定の仕方が大きく変わりました。
対抗ロールのやり方
対抗ロールは6版と7版で異なります。6版では数値の比較から能動側だけロールし、7版では能動側・受動側のロールの成功度の比較を行います。
6版までの抵抗ロール
6版までの対抗ロールの処理は抵抗表を用いた能動側でのみ処理されてきました。ロールをする側の能力値が能動側で、それに相対する側が受動側と表現されていたため、少しわかりにくくなっていました。例えば毒が探索者を弱らせる場合も、判定の場合は毒が能動側ではなく探索者が能動側になります。また人対人であっても基本的に能動側とは仕掛けられた側がロールする形をとります。
6版までの抵抗表の計算式
能動側成功確率[%] = 50 + 能動側能力値×5 – 受動側能力値×5
なお、能力値1ポイントの差で5%成功確率が変化し、10ポイント差があると自動的に成功または失敗します
50+(探索者のCON*5)-(毒POT25*5) = 50 + 85 – 125 = 10
同様にSTR15の探索者とSTR18のプロレスラーが腕相撲をしたとすると、STR15の探索者が腕相撲に勝つ確率は35%あります。
50 + STR15*5 – STR18*5 = 50 + 75 – 90 = 35
ノックアウト攻撃を行なった探索者のダメージが5とSTR18の攻撃を受ける人間の耐久力が8であればノックアウトが成功する確率は35%あります。
50 + 攻撃側の与えるダメージ*5 – 防御側の耐久力*5 = 50 + 25 – 40 = 35
6版までの抵抗ロール成功確率の自動計算
6版ではPOT(毒)とCONの抵抗ロールなどがよくありますが、下の表の中で能動側(CON)と受動側(POT)の値を選び、その下のボタンをクリックすると抵抗の成功確率を算出できます。この成功確率をウェブダイスなどでロールし成功判定してください。なお、成功確率が0%以下であれば自動的に失敗になり、成功率が100%以上であれば自動的に成功になります。
能動側能力値: |
受動側能力値: |
能動側成功確率: —% |
7版の対抗ロールのやり方
7版になると対抗ロールは抵抗表を用いることなく処理するために受動側もロールを行う形に変わり、両者が選んだ技能か能力値の目標値とロールの結果を比べて「成功度」を決定します。なお対抗ロールではプッシュロールを行うことはできません。そのため対抗ロール時の成功度に影響を与える可能性が高いボーナスダイスやペナルティダイスは重要な意味を持ちます。
- 両者が行動にマッチする技能か能力値を選ぶ
- それぞれがロールする
- 成功度を比較する
- キーパーが比較をもとに結果を告げる。
成功度の比較では成功度の高さが高い方が成功し、同値であれば「手詰まり」か「再ロール」を行うことになります。手詰まりであれば以降対抗ロールが行えない状況(ものが壊れるなど)になっています。再ロールであれば同様の処理を行います。なおファンブルと失敗はそもそも行動に成功していないので望む結果にはつながりません。
ロールの結果 | 説明 | 成功度の高さ |
---|---|---|
ファンブル | ロールの結果が100。成功に必要なロールが50未満であれば96以上でファンブル。 | 0 |
失敗 | ロールの結果が目標値より大きいがファンブルではない。 | 0 |
レギュラーの成功 | ロールの結果が目標値以下。 | 1 |
ハードの成功 | ロールの結果が目標値の1/2以下。 | 2 |
イクストリームの成功 | ロールの結果が目標値の1/5以下。 | 3 |
クリティカル | ロールの結果が1。 | 4 |
成功度はクリティカルが一番高く、イクストリーム、ハード、レギュラーの順で低くなります。
対抗ロールはいつ行う?
対抗ロールは相反する働きがぶつかり合う時に行われます。探索者の飲んだお酒に毒が盛られていた時、毒の威力と探索者の体力が戦い対抗ロールが行われます。この時、もし探索者が対抗ロールに失敗すると毒が体に周り中毒症状を引き起こすでしょう。また、隠れていた部屋の扉を開けられそうになる時に内側から押さえるのも力と力の対抗ロールになります。
対抗ロールの種類
対抗ロールは能力値同士で行うものだけではなく、技能同士で行うもの、能力値と技能で行うものとあります。毒の威力と体力、力と力、魔術と精神力、将棋などの頭脳戦など競い合う能力値や技能が合致すれば組み合わせは数多く存在します。
近接戦闘での対抗ロール
対抗ロールで一番多いのは近接戦闘時です。攻撃側の攻撃および戦闘マヌーバと防御側の反撃・回避・戦闘マヌーバが対抗ロールとして処理されます。
毒(POT)の対抗ロール
これまでのルールでは毒は強さを表すPOTを持っていました。しかし7版になりPOTは廃止され、CONとPOTで抵抗表をつかったロールは無くなっています。その代わりにCONロールに難易度を設定して、毒への抵抗やその影響を適切に処理する必要があります。なお毒のPOTは7版では以下のように変換されます。POT25の毒であれば高い致死毒と言えます。
POT | 毒の強度 | 与えるダメージ |
---|---|---|
0 | 非常に弱い毒 | 0 |
1~9 | 弱い | 1d10 |
10~19 | 強い | 2d10 |
20+ | 致死的 | 4d10 |
POWの対抗ロール
POWでの対抗ロールが行われるのは主に呪文の成否の判定です。対抗POWロールは通常の対抗ロールと同じ手順でPOWロールの成功度を比較します。成功度が高い方が成功しますが、同じ成功度だった場合は手詰まりや再ロールでは無くPOWが高い方が勝利になります。それでもPOWが同値であればキーパーは呪文の性質を反映した何かしらの方法を用いて両方に悪影響を及ぼすことにしても良いです。なお術者と対象のPOWが100以上あるのであれば高いPOWが自動的に勝利になります。
STRの対抗ロール
対抗STRロールは単純な力比べの場面で行われます。ルールブックの例にあるような重いものを持ち上げること競ったり、腕相撲などが該当します。ドアを開けようとするものに対して身を挺して抑えようとする場合は対抗としてSIZを選ぶこともあります。
CONの対抗ロール
対抗CONロールは単純な我慢比べの場面で行われます。どちらが長く息を止めることができるか、どちらが鉄棒に長くぶら下がっていることができるか、といったものです。
これまで毒のように抵抗表をつかっていたものでも7版ではCONロール単独で判定して、難易度や成功度によって結果が変わるようになっています。
DEXの対抗ロール
対抗DEXロールは器用さや敏捷性を競う場面で行われます。ダーツ勝負などがこれにあたり、両者に適切な技能がなければDEXを使用します。また短距離走などのチェイスとは関係ない競走にも使うことができます。チェイスを用いずに逃走の判定を簡単にする時にもDEX対抗ロールが行われることがあります。
INTの対抗ロール
対抗INTロールは知性を競う場面で行われます。ルールブックの例にもあるようにチェス勝負などがこれにあたります。
EDUの対抗ロール
対抗EDUロールは単純な知識量を競う場面で行われます。クイズ大会などが該当しますが、さまざまな駆け引きがある場合は対抗INTロールを用いても良いでしょう。
受動的な対抗ロール
対抗ロールは表立ってぶつかり合う時だけに行うものではなく、能動的なものに対して受動的に対抗する場面でも使用されます。特に「心理学」は対人技能すべての対抗技能として使うことができます。「隠密」で忍び寄る相手に気づくかどうかは「聞き耳」「目星」が受動的に行われることでチェックされます。
能動側の技能 | 受動側の対抗技能 |
---|---|
威圧 | 威圧、心理学 |
言いくるめ | 言いくるめ、心理学 |
隠密 | 目星、聞き耳 |
説得 | 説得、心理学 |
手さばき | 目星 |
ヒプノーシス | 心理学、POW |
魅惑 | 魅惑、心理学 |
対抗ロールの注意点
対抗ロールの注意点として難易度の扱いがあります。通常のロールであれば難易度を設定して、ハード以上で成功といった成功の目標値そのものを下げることをしますが、成功度を競い合う場合は成功の目標値そのものを下げることはあまり適していません。そのため、対抗ロールでは難易度設定というよりはボーナスダイスやペナルティダイスを与えて、成功度が変わりやすくする方が良いです。とはいってもすべてはキーパー判断によるため、キーパーが難易度自体を調整した場合はそれがその時のルールとなります。
まとめ
いかがでしたか?7版では抵抗表がなくなり、受動側もロールをすることで対抗することができるようになりました。戦闘や呪文においては対抗ロールは重要です。毒物の扱いが変わってしまって対抗ロールでするかしないかという部分もあるので、クトゥルフを楽しむ上でも全員が正しく理解してスムーズな処理ができるようにしておく必要があります。ぜひとも対抗ロールをマスターしましょう。