クトゥルフ神話TRPGでの近接戦闘による戦闘手順の解説
クトゥルフ神話TRPG(CoC)では探索者が生き残るための手段の一つとして戦闘があります。しかし攻撃手段はひとつだでけではなくさまざまな戦闘技能によって繰り広げられます。まず戦闘の手順を理解するためにも基本となる近接戦闘について解説します。
戦闘の手順
戦闘は自分と敵対する人やクリーチャーなどの間で行われ、ほとんどの場合は相手の耐久力を0にするか無力化するまで継続します。戦闘はラウンドで進行し、各ラウンドに自分の手番(ターン)が回ってきます。7版では戦闘関連技能の統合と攻撃手順の変更があり、全てのキャラクターは能動的なアクションは自分のターンで行い、回避や応戦などのリアクションは相手の攻撃に合わせて随時行うことができます。
- 戦闘順番の決定
- 奇襲の有無を判定
- 攻撃側のターンで攻撃・離脱・マヌーバを選択
- 防御側は回避・応戦・マヌーバの選択
- 攻撃側と防御側は対抗ロールを行う
- 成功側の回避、ダメージロールまたはマヌーバの効果を適用
そして3~6繰り返し行います。
DEXによる戦闘順番の決定
戦闘はラウンドの間、戦闘に参加するもの全てにターンが回ってきます。そしてそのターンの順番は最もDEXが高い順から処理されます。ただDEXが同値出会った場合はより戦闘技能が高いキャラクターから行動します。火器の準備ができている(引き金をすぐに引ける状態)であればDEXに修正がつきます。
奇襲の判定
戦闘はよーい!ドンで始まるばかりではなく、相手が油断している時や全く気づいていない時に行われることもあり、その場合は「奇襲」として扱います。奇襲は相手が気づいていないのであれば近接攻撃であればロールがファンブルでない限り自動的に成功します。遠隔攻撃であれば通常通り攻撃ロールが必要です。
奇襲は近接攻撃であればファンブル以外は命中。遠隔攻撃は通常攻と同じように攻撃判定が必要。
ただ、奇襲される側もわずかな動きを察知したり、相手の精神状態を読んで攻撃を予期することもあります。そのため、攻撃側が奇襲を宣言した場合は防御側がその奇襲に気付けるかどうか、「目星」「聞き耳」「心理学」で一番高い技能で技能ロールを成功させる必要があります。なお、攻撃側が隠密技能で潜伏している場合はこの判定に難易度を設定しても問題ありません。もし、奇襲を察知した場合は防御側は回避もしくは応戦を仕掛けることができます。
防御側が「聞き耳」で攻撃の動作音、「目星」で攻撃までの動作、「心理学」で攻撃を仕掛ける前の心理状態を察知することができる。この技能ロールに成功すれば攻撃を察知することができ、「回避」または「応戦」を仕掛けることが可能。なお、攻撃側の「隠密」が50%以上であれば相手の知覚の難易度をハードにすることができます。
攻撃側の攻撃・離脱・マヌーバの選択
自分のターンになった時に攻撃を選択することができます。攻撃アクションは素手または武器を持って戦う近接戦闘、離れた距離を攻撃する遠隔攻撃、近距離で相手の体をコントロールする戦闘マヌーバ、そもそもの戦闘から離れる離脱があります。近接戦闘は防御側との対抗ロールで判定が行われますが、防御側の行動によって対抗ロールの結果が変化します。
素手による攻撃
手に武器を持たず攻撃する場合は近接戦闘(格闘)の技能を使用します。この攻撃はパンチの他にキック、肘打ち、頭突きなど体を使った打撃による攻撃を全て処理します。
武器による攻撃
戦闘は素手だけでなくてに武器を持って戦うこともあります。ただファンタジーのTRPGとは違いクトゥルフ神話TRPGでは近代や現代といった舞台であるため、常に武器を持ち歩くというわけにはいきません。 なお近接戦闘においては武器の扱い方ごとに技能があり、斧・格闘・絞殺ひも・チェーンソー・刀剣・フレイル・鞭・槍があります。
武器を携帯することが許された職業がよほど身に危険が迫っていない限りは持ち歩かないでしょう。そのため戦闘では瓶や椅子の脚、バットなど周りのものを使った使いやすい「即席武器」で繰り広げられることがよくあります。なお片手で扱える短めの武器は近接戦闘(格闘)の技能で処理されます。キーパーは即席武器は形状が似たものの技能を指定し、ダメージロールがどのくらいかを決定します。
遠距離武器による攻撃
投擲や射撃など離れた相手に対して攻撃を行う手段です。遠隔攻撃の場合、回避のみで防御側は応戦することはできません。また射撃での攻撃だった場合は回避すらできません。
戦闘マヌーバ
相手の武器を取り上げる、相手を投げ飛ばす、相手をヘッドロックして抑え込むなどダメージとは違う効果を起こしたい場合は「戦闘マヌーバ」で処理を行います。通常の近接戦闘と処理はほぼ同じですが、「ビルド」次第では対抗ロールに修正が入ることがあります。
離脱
戦闘をしたくない場合は「離脱」を行い、戦闘から離れることが可能です。離脱時に最大でMOVの5倍の距離(m)を移動可能で、相手に追跡の意思があればチェイスになる可能性があります。
戦闘は離脱が可能。離脱可能条件は「逃げ道があること」「体が拘束されていないこと」の2つを満たす必要があります。
防御側の回避・応戦・マヌーバの選択
回避
応戦や戦闘マヌーバで相手に反撃することなく、攻撃を避けるためにだけ回避を使うことも可能です。回避を選択した場合、成功度が同じ場合でも防御側の回避が成功したことになります。
応戦
殴りかかる相手に対して防御側は近接攻撃による応戦が可能です。応戦では相手の成功度を上回ることができればでカウンターでダメージを与えることができ、成功度が同じであれば防御側の攻撃は失敗して攻撃側の結果が優先されます。
戦闘マヌーバ
相手が武器を振るって攻撃をしてきた場合、防御側は相手の武器を落として無力化をするなどマヌーバを選択して実行することも可能です。これは戦闘マヌーバを使い応戦したものと同じなので成功度が同じだった場合、攻撃側の結果が優先されます。
対抗ロール
近接戦闘の処理は攻撃側と防御側の対抗ロールで行われ、成功度が高い方がロールに勝利します。ただ成功度が同じであれば防御側の行動によって結果が変わります。
回避・応戦での判定は以下のようになります。
防御側の行動 | 結果 | 攻撃側の内容 | 防御側の内容 |
---|---|---|---|
防御側が回避 | 攻撃側と同じ成功度 | 攻撃は避けられる | 回避が成功する |
攻撃側成功度が上 | 攻撃が命中しダメージを与える | 回避が失敗し攻撃を受ける | |
攻撃側成功度が下 | 攻撃は避けられる | 回避が成功する | |
防御側が応戦 | 攻撃側と同じ成功度 | 攻撃が命中しダメージを与える | 応戦失敗 |
攻撃側成功度が上 | 攻撃が命中しダメージを与える | 応戦失敗 | |
攻撃側成功度が下 | 攻撃がブロックされ反撃を受ける | 応戦が成功して逆にダメージを与える |
ダメージの適用
攻撃側の攻撃が命中、または防御側の応戦が成功した場合は相手に武器の持つダメージを与えることができます。またSTRとSIZから算出されたダメージボーナス(DB)を加算することができます。素手によるパンチやキックでの格闘による攻撃でのダメージは1D3です。
STR+SIZ | ダメージボーナス(DB) |
---|---|
2~64 | -2 |
65~84 | -1 |
85~124 | 0 |
125~164 | 1 |
165~204 | 2 |
205~284 | 3 |
285~364 | 4 |
365~ +80ごと | +1 |
なお攻撃側がイクストリーム成功だった場合はイクストリームダメージを与えることができます。この時使用している武器により与えるダメージ計算が変わり、貫通効果のある武器であればより高いダメージを与えることができます。なお応戦がイクストリーム成功でもイクストリームダメージは発生しません。
近接戦闘によるイクストリームダメージは
貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージとダメージボーナスの最大値)+武器のダメージ】
非貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージ+ダメージボーナスの最大値)】
装甲によるダメージの減少
斬撃や刺突、殴打などの直接的なダメージは「装甲」によって減少させることができます。装甲とは鎧やケブラー製のベストなど装着するものから、クリーチャーが元々もつ厚手の皮膚であったり、攻撃側と防御側の間にちょうどある障害物などがあります。ダメージロールで決定した値から装甲の値を引いたものが実際に与えるダメージになります。なお衝撃を吸収できないダメージには装甲は効果がありません。
不利な状況
近接戦闘では相手に取り囲まれたり、体勢が悪かったりすると自分を攻撃しようとする相手に攻撃時のボーナスダイスを1つ与えることになります。これは回避や応戦での動きが制限されることで隙が生まれてしまい、相手の攻撃が当たりやすくなることを意味しています。以下のような状況下では近接攻撃で相手に有利を与えることになります。
- キャラクターより相手の数が多い ・・・ 数的不利
- キャラクターが伏せ状態 ・・・ 体勢不利
なお、数的不利は戦闘が数が少ない側が自分の攻撃回数に該当する回数だけ回避・応戦したのちに適用されます。戦闘が進むことで数的不利が解消された場合はボーナスダイスは無くなります。伏せ状態は回避・応戦の成功または自分のターンでの立ち上がるアクションで解消できます。
まとめ
いかがでしたか?新クトゥルフ神話TRPG(7版)では近接戦闘は対抗ロールで競い、防御側もただ攻撃を受けるだけではなく応戦することも可能です。もちろん回避の方がダメージを受ける確率は低いですので、回避か応戦かは状況を見て行いたいところです。また火器が絡んでくる場合は射程など距離の概念も必要になってくるのと処理が複雑になってきます。キーパーの負担を減らす意味でも基本として近接戦闘の手順をマスターしておきたいですね。