幸運と幸運ロールの使い方|新クトゥルフ神話TRPG(第7版)の解説
目次
車がギリギリのところで止まるような危機一髪の状況だったり、歩いてバス停に着いたらすぐにバスが到着したりと自分が幸運と思うことは誰しもあることでしょう。クトゥルフ神話TRPGにも幸運はあり、迫り来る危険を幸運で回避できたりもします。ただ使いどころの難しさやデメリットもあり、キーパー・プレイヤーともに幸運の使い方を理解しておく必要があります。
幸運とは
幸運とは「運が良い」「巡り合わせが良い」といった意味で、クトゥルフ神話TRPGではキャラクターの能力値の一つとして存在します。
第7版では幸運は 3d6の合計×5 で、第6版では POW×5 です。
幸運値はプレイ中の消費によって減少し、セッション終了時に回復・増加の機会が与えられます。
幸運の使い方
幸運という能力値は2つの使い方があります。一つはキャラクターの天運として幸運値を目標に判定を行う「幸運ロール」で、もう一つはロールしたダイスの目に見えないなにかによって手を加える「幸運の消費」があります。どちらも頻繁に行うものではありませんが、キャラクターの窮地を救うこと間違い無いでしょう。
幸運ロール | 幸運ポイントを目標に1d100で判定を行う |
幸運の消費 | 幸運ポイントを消費する |
幸運ロールとは
物語を進めているときに探索者の外部環境が悪かったり、運命の気まぐれを判定したい場合などの時に幸運ロールを行います。探索者の行動の成否というよりは、外部環境が対応していたかどうかの判定と思って良いでしょう。
ジェーンは潜在狂気に陥っている中、半地下の部屋に閉じ込められています。部屋には空が見える窓が一つだけあるだけで、人の気配はしません。空気孔がどかかに繋がっていることはわかっており、どうにか外部に救出を頼めないかと考えています。キーパーはジェーンのプレイヤーに空気孔から何か物音が聞こえると伝えました。プレイヤーはその音が幻聴かどうかわからないため、リアリティチェックを行い成功。本当に物音がすることがわかりました。ジェーンは大き声で救出を求めました。そこでキーパーはこの物音が人が起こしているもの(近くに人がいる)か幸運ロールを行うように指示しました。幸運ロールの目は37で幸運値を下回っていたため成功。たまたま外にいた人に救助を要請することができました。
また幸運ロールは同一グループのメンバーに対しても行うことができ、そのグループ幸運ロールをグループで一番幸運値が低いものが行う必要があります。
グループ幸運ロールは、グループで一番幸運値が低いものが代表してロール行う。
幸運ロールの副産物
幸運ロールは時としてキャラクターの成長につながります。何かの時に幸運ロールをした際に目が01であった場合、そのPOWが永久的に1d10増加します。これはロールの際に 幸運にも精神が何か深い経験「実習」を得たということで増加につながります。
幸運の消費とは
幸運の消費とは任意の幸運ポイントを消費して技能ロールの結果を変更することです。もし戦闘などロールに失敗したことで命の危機に瀕した場合は迷わず幸運を消費すべきでしょう。このルール自体はキーパーの判断で導入されるものであり、プレイヤーが勝手に行うものではありません。なお、幸運の消費を行うにはロールに失敗した直後にキーパーに伝える必要があります。この消費によってロールの結果をイクストリームやクリティカルに引き上げることも可能です。ただし、クリティカルやファンブルを変更を行うことはできません。
通常ロール値の変更に使いますが、ノックアウト打撃で気を失う場合でも、幸運を消費し続けて意識を保つことも可能です。
幸運の消費ができること |
|
幸運の消費ができないロール |
|
幸運の消費ができない、無かったことにできない結果 |
|
メリット | 消費する幸運ポイントと同量のロールの修正が可能 |
デメリット |
|
消費の上限 | 現在の幸運値と同値まで |
幸運の消費はデメリットを理解した上で行いましょう
幸運を消費して0になってもロストしない
耐久力が0になると死亡し、正気度が0になると永久的狂気に陥ります。この2つは0になった時点でコントロールできないので、実質プレイヤーの手から離れることになります。幸運の場合、0になっても死亡したり狂気に陥る、またプレイヤーの手からキャラクターが離れることはありません。ただただ運が悪いだけです。つまり幸運ロールをしても成功する目はありません。また消費もできないのでロール失敗から危険が及ぶ可能性は大いにあります。
幸運の回復
セッション終了後にプレイヤーは幸運いついての上達チェックを行ってもOKで、ロールに成功した場合は1d10ポイント幸運が回復します。なお、この増加は最大99まで可能であり、キャラクター作成時の最初の幸運値を超えても問題ありません。
セッション終了時に幸運度が上昇する機会を得ることができ、ロールに成功すれば1d10ポイント増加します
幸運の消費の課題
幸運の消費はルールブック上のオプションであり、「幸運ロール」「ダメージロール」「正気度ロール」「正気度の損失量を決めるロール」以外で行うことが可能です。ただ、キーパーがどこまで許容するかという問題は残ったままです。例えばプレイヤー同士での対抗ロールである場合、片方が幸運の消費を行う場合、もう片方も幸運の消費を行う可能性があります。このような場合の消費は実質無駄であり、幸運な結果どころか幸運ロールの成功率をただ下げただけということにもなりかねません。
また正気度チェックに失敗した探索者がINTロールの際に幸運を消費させて失敗にしたいというプレイヤーも出てくることでしょう。これは厳密に言えば正気度チェックでのロールでは無いので幸運の消費を行うことは可能と言えます。数ポイントの消費で狂気を回避できたり、潜在狂気中であればこのような選択が起きてもおかしくはありません。ここは事前に取り決めておく必要はありますがキーパーの裁量とも言えるでしょう。
またキーパーがNPCに対して幸運の消費を行う場合は、プレイヤーから不満が出るかもしれません。そのためNPCの幸運消費には回数や場面での制限を設けた方が良いでしょう。
進行上重要なキャラクターの場合、幸運ロールを使用しても問題ないでしょう。ただ無闇矢鱈にNPCに消費させないようにしましょう
まとめ
いかがでしたか?幸運は幸運ロールと幸運の消費によってプレイ中で活用されることがわかりました。つまり、使ってこそ意味のあるステータスであり、キャラクターシートを見てもわかるように消費しやすいように設計されています。ダイスの目をコントロールするということはある意味チート行為ですが、プレイヤーが勝負所と感じた場面では積極的に幸運を使ってみましょう。ただ、使いすぎには気をつけてくださいね。
クトゥルフ神話TRPGを最大限楽しむためにもルールブックは持っておきましょう!