クトゥルフ神話TRPGの遠距離攻撃の手順|火器・弓・投擲の解説
1900年代から現在を舞台にすることが多いクトゥルフ神話TRPGですが、ファンタジーものと明らかに違うものがあり、その最たるものといえば銃火器の取り扱いでしょう。
実際の世の中でも銃があるとないとじゃ争い方も大きくかわってきます。そこで第7版をもとに初心者にもわかりやすく遠距離攻撃の手順を解説します。
遠距離攻撃
テーブルの瓶を手に取り威嚇したり、素手で掴みかかったりと手足の届く範囲で戦うのが近接戦闘で、投げる・撃つといった距離のある相手をこうげきするのが遠距離攻撃です。遠距離攻撃は銃火器や弓などを扱う「射撃」技能か、投石や投げナイフなど手に持っているものを投げつける「投擲」技能で行われます。
火器
火器とは拳銃やショットガンのほか、グレネードランチャーといった重火器など火薬を使った遠距離攻撃を行う武器のことです。火器は射程も長く殺傷能力も高い武器であり、発射後に回避する事はできません。ただ狙われていることがわかった時に掩蔽(えんぺい)に飛び込む事は可能です。
弓・クロスボウ
火薬が登場する以前に使われていた遠距離攻撃の主な手段です。機構を使うことで投擲より長い射程で攻撃することが可能です。ただクトゥルフ神話TRPGでの扱いは火器と同じなので発射後の回避はできないため、狙われていることがわかった時に掩蔽に飛び込む事は可能です。
投擲
手持ちのものを投げつける攻撃方法です。 射程は短いですが石やナイフなど近接戦闘に使っていたものを投げたりすることができます。投擲で狙われた場合は回避技能の対抗ロールで躱すことは可能です。また投擲武器で与えるダメージはビルドによる追加ダメージを加えることができます。
遠距離攻撃を使う場合の戦闘手順
遠距離攻撃の戦闘も基本的なところでは近接戦闘と同じ流れを組みます。ただ近接戦闘と違うところもあり、防御側は遠距離攻撃に対しては応戦がとれず、射撃については回避すらできません。
- 戦闘順番の決定
- 攻撃側のターンで遠距離武器の難易度設定
- 防御側が掩蔽に飛び込む場合は回避判定を行う
- 攻撃側の遠距離武器による攻撃判定を行う
- 防御側が回避可能の場合は判定を行う
- 攻撃側成功の場合はダメージロールを決定
DEXによる戦闘順番の決定
遠距離攻撃を行う場合もその順番はDEXで決定されます。火器で引き金を引くだけですぐに発射できるような状態であればDEXに修正がつきます。最初のラウンドでは銃を構えていなくとも銃を構えて以降は次のラウンドでDEXに修正が付きます。
既に引き金を引くだけの状態であれば DEX+50
攻撃側のターンで遠距離武器の難易度設定
攻撃側のターンの時に遠距離攻撃で火器を選択した場合対象との間の射程を見て難易度が設定されます。投擲の場合は回避による対抗ロールが行われるため、長めの有効距離で狙う場合はその攻撃ロールにペナルティダイスが1つ付きます。
射程によるの難易度 | 射程 | 難易度(成功率) |
---|---|---|
基本射程 | 武器の基本射程 | レギュラー(技能の値) |
長射程 | 武器の基本射程×2 | ハード(技能の1/2) |
極大射程 | 武器の基本射程×4 | イクストリーム(技能の1/5) |
投擲の射程 | 射程距離(m) | ペナルティー |
---|---|---|
基本距離 | STR/5m | なし |
有効距離 | STR/2m | ペナルティダイスが1つ付く |
投擲では有効射程は肉体の限界の距離であるため、これ以上の射程で投げることはできません。そのため投擲の有効射程は極大射程内に収まります。
例えばSTR60の探索者の場合、投擲の基本距離は12mで、有効距離は30mになります。この探索者が12m内の標的に対して投擲を行うとすると難易度はレギュラーでペナルティーダイスもつきません。しかし、長射程(24m)の標的を狙う場合は難易度ハードでペナルティーダイスが1つ適用されます。さらに有効距離いっぱいまで狙うとするとその射程は30mになるため、極大射程としてイクストリームの難易度が課せられた上にペナルティーダイスが適用されます。
防御側が掩蔽に飛び込む場合は回避判定を行う
防御側は射撃に対して回避をすることはできませんが、自分の行動をとらずに身を守るためのアクションを起こすことができます。例えば銃口を向けられた時、発射してから行動していては回避することはできません。そのため少しでも安全であるためには相手から銃口を向けられた時に物陰に隠れる行動を取る必要があります。これをクトゥルフ神話TRPGでは「掩蔽(えんぺい)に飛び込む」と言います。
掩蔽(えんぺい)とは
掩蔽(えんぺい)とは「覆い隠すもの」を表し、クトゥルフ神話TRPGでは射撃される前に近くの車や壁、家具などの体を隠すことができる遮蔽物にとびこむときに使います。掩蔽に飛び込むことが成功すると狙いをつけている相手との間に遮蔽物が入るため、相手の射撃にたいしてペナルティーダイスが1つ適用されます。
- 自分のターン前に掩蔽に飛び込む ・・・ そのターンの攻撃は不可
- 自分のターン後に掩蔽に飛び込む ・・・ 次のラウンドのターンは攻撃は不可。
掩蔽に飛び込むことは自分の行動と引き換えに命を守る行動を取るといえるでしょう。なお、掩蔽に無事飛び込めたかどうかについては「回避」技能のロールに成功する必要があります。
掩蔽に飛び込むには「回避」技能で成功することが必要。
成功すると相手の射撃に対してペナルティーダイスが1つ適用される
攻撃側の遠距離武器による攻撃判定を行う
使用する遠距離武器の技能で命中判定を行います。 射撃の技能は「火炎放射器」「拳銃」「サブマシンガン」「重火器」「マシンガン」「弓」「ライフル/ショットガン」があります。また投擲では投擲技能を使用します。対象の状況によってはボーナスダイスまたはペナルティーダイスが適用されます。
火器での命中修正
火器を使用する場合、相手の状況や行動、射撃のタイミングなどによって命中に影響を受けることがあります。有利な状況ではボーナスダイスが1つ適用され、不利な状況ではペナルティーダイスが1つ適用されます。
状態 | 与えられるダイス | 条件 |
---|---|---|
掩蔽・遮蔽 | ペナルティ・ダイス | 対象が半分以上遮蔽されている |
ゼロ射程 | ボーナス・ダイス | 対象までの射程がDEXの6%以内。感覚的に言えば手を伸ばすととどくくらいの距離。 |
狙いを定める | ボーナス・ダイス | 1ラウンドの間集中して狙いをつける |
疾走している相手を狙う | ペナルティ・ダイス | 対象がフルスピード(MOV8以上の速さ)で移動している |
対象が大きい | ボーナス・ダイス | 対象のビルドが4以上 |
対象が小さい | ペナルティ・ダイス | 対象のビルドが-2以下 |
弾の再装填 | ペナルティ・ダイス | 1ラウンドで2発装填可能のところ、1発装填で即射撃する |
拳銃の連射 | ペナルティ・ダイス | 1ラウンドで2~3発の射撃をする |
近接戦闘内での射撃 | ペナルティ・ダイス | 近接戦中に動き回りながらの火器の使用 |
自動火器による命中修正
バーストやフルオートで射撃を行う場合は連射が続くことで命中が難しくなり、2ボレー以降の射撃にペナルティ・ダイスがつきます。
防御側が回避可能の場合は判定を行う
遠距離攻撃が投擲で行われた場合、防御側は回避することができます。回避は近接戦闘とおなじように投擲技能と回避技能の対抗ロールで行われます。
対抗ロールの結果 | 攻撃側の内容 | 防御側の内容 |
---|---|---|
攻撃側と同じ成功度 | 投擲は避けられる | 回避が成功する |
攻撃側成功度が上 | 投擲が命中しダメージを与える | 回避が失敗し攻撃を受ける |
攻撃側成功度が下 | 投擲は避けられる | 回避が成功する |
回避は「投擲」には可能ですが「射撃」に対しては行うことはできません
攻撃側成功の場合はダメージロールを決定
遠距離攻撃が命中すると使用した武器の持つダメージを与えることができます。使用する武器が投げナイフのように投げつけるものや、引く力が威力に関係する弓などの武器は武器固有のダメージにキャラクターのダメージボーナスの1/2を追加することができます。火器やクロスボウなど力がかからない武器ではダメージボーナスは加算されません。
貫通とイクストリームダメージ
火器の多くは鋭利な武器のため、攻撃がイクストリームで成功した場合は「貫通」が生じます。「貫通」とは鋭利な武器や弾丸が急所に命中したことを表し、通常より多いダメージ(イクストリームダメージ)を与えることができます。
火器によるイクストリームダメージ:
拳銃やライフルなどの貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージの最大値)+武器のダメージ】
ショットガンなどの非貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージの最大値)】
投擲や弓など人力の影響を受ける遠距離武器ではダメージボーナスの1/2が適用され、イクストリームダメージも増加します。
投擲によるイクストリームダメージ:
投げ槍や手裏剣などの貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージとダメージボーナス1/2の最大値)+武器のダメージ】
弓や投石などの非貫通武器で【最大ダメージ(武器ダメージとダメージボーナス1/2の最大値)】
まとめ
いかがでしたでしょうか?クトゥルフ神話TRPGでは近代や現代が舞台なので銃火器が普通に登場します。アメリカを舞台としたシナリオであれば銃を扱う職業や人は多いです。ただ日本を舞台としたシナリオであれば法律上の銃の所持が認められていないため火器の登場は少ないかもしれません。ただ探索者が凶悪なクリーチャーと戦うハメになるのであればそれなりに威力のある武器が欲しくなるでしょう。正しく遠距離攻撃が行えるよう手順や射程を理解しておきましょう。