宇宙からの色とは|物理的な特性は持たず色彩として存在する神話生物
目次
宇宙からの色とは
宇宙からの色
(The Colour Out of Space)は、クトゥルフ神話においてH・P・ラヴクラフトが創造した神話生物で、生物の生命力と恐怖心を糧とする生き物で、人間の眼には奇妙な色彩そのものに映るエネルギー生物です。多くの神話生物は神格と関わりを持つことが多いですが、この生物は一切関わりを持ちません。また、特定の生物の形をしていないことからクトゥルフ神話を感じさせたくないホラーを演出するときに使いやすい神話生物と言えます。
「井戸から出ている一筋の燐光は普通の精神での想像をはるかにしのぐ破滅と異常の感覚を覚えさせるものだった。それはもはや光っているのではなく、流れ出していた。何色とも言えない色の無定形の帯は、移動を出てまっすぐに、下上がっていくように見えた。」 ーーH・P・ラヴクラフト『宇宙からの色』
宇宙からの色の画像
宇宙からの色の画像です。なお、フリー素材ではなく出典元を表示していますのでそちらもご確認ください。
出典:Pinterest
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出自
初出はH・P・ラヴクラフトの1927年執筆の小説『宇宙からの色』で、アーカムを舞台に宇宙から飛来した奇妙な隕石に中にある光体として異常現象を引き起こしています。この小説はニコラス・ケイジ主演で映画化されているので、ビジュアル的なイメージを掴むことができます。なお、アマゾンプライム会員であれば現在プライムビデオで無料視聴が可能です。
生息地
宇宙からの色はもともとは宇宙から隕石とともに地球にやって来ており、隕石が墜落したマサチューセッツ州の都市であるアーカムで確認されています。ただ、アーカムだけにしかいないということは考えにくく、この隕石が他の地域に墜落していてもおかしくないため、地球上の至る所にいる可能性はあります。
生態
深宇宙からやってきたとされる宇宙からの色は成長の過程でその土地の生態系に浸透していきます。幼胚は7〜8cmの大きさで中が空洞のようになっている球体であり、栄養豊富な土の上や浅い水の中に置いておくと発芽します。幼胚からはゼリー状の幼生が出てきて、その幼生は周囲の環境に浸透するように成長していきます。成長過程で及ぼす周囲への影響は大きく、近くの植物は不健康な形で大きく育ち、昆虫や動物は奇形で生まれてきます。1〜2ヶ月後には若い宇宙からの色となり、周囲から生命力を吸い取ります。十分に吸い取った宇宙からの色は成体になるため宇宙へと向かいます。
集団行動
宇宙からの色が単体なのか、複合体なのか判明していないため集団行動を取っているかはわかりません。
狩りと食性
宇宙からの色は生物が生命力と恐怖心を糧とします。幼生の時は周囲から少しずつ生命力を吸い取りますが、成長すると自分が影響を及ぼす範囲の生命力を吸い取ります。物質的に人間の肉を直接食べることもありますが、その場合は物理的な干渉を行えるように獣のような形を取り実体化します。生命力を奪われた生物は心を病み、色彩を失って灰色になり、最後には崩れ落ちます。
繁殖と生活周期
繁殖方法としては幼胚を産んで個体を増やします。成体になる場所が星ではなく宇宙空間であるため、宇宙空間で胚を作り出し、周囲を鉱石で覆った隕石の形にして栄養がある星へ飛ばしていると考えられます。
隕石
隕石は幼胚を栄養のある星へ送るために周囲を保護するために使われているようです。
- 幼胚を守るため熱には何の影響も受けず、変化も生じません。
- 粘土のように跡が残るように柔らかく、強く叩いても砕けることなく変形します。
- 表面は常に輝いており、特に暗闇では輝きが顕著になります。
- この鉱物熱した時に発する光は人間が知りうる光と異なる性質の光を放ちます。
- ガラスやセメントといったケイ素化合物に親和性があり、接触させると互いに崩壊して消滅します。
- 磁性を帯び、特異な電気的性質を持っている。そのため落雷を呼び寄せることもあります。
- 塩酸・硝酸・王水等のあらゆる試薬を用いても傷がつかないものの、強酸であればわずかに冷えます。
- 大気に触れることで縮小しはじめ、やがて消滅します。
人間との関係
基本的に地球上の人間との接点はありません。地球へやってきた目的は、幼胚が成体になるために豊富なエネルギーを摂取するためであり、養分として意外人間と関わることはありません。
特徴
宇宙からの色は知覚を持つ有機体ですが特定の形を持っていません。これはガスなどの気体というものではなく、物質的に検知できない「色(色彩)」として現れます。人間は光によって色を知覚することができるため、宇宙からの色がもつキラキラと輝く色の断片を見ることはできます。ただ、実体を持たないと言ったもののその場所を触れることでネバネバした蒸気に触れたように感じます。ガイガーカウンターを使えば宇宙からの色が放出する放射線を探知できるほか、光増幅器を使えば発している光のかけらは強く発光して見ることができます。
自身が光のためか、強い光のもとでは行動を妨げられるため、昼間は光が届かないような水中、ため池、井戸、湖、貯水池、海などに身を潜めています。
エネルギー体
宇宙からの色は体のエネルギーを集中させることでほとんどの物体を分解することができます。宇宙からの光は日光を避けるためにこの能力を使い、地面に穴を開けて進みます。エネルギー体は周りに存在する生物に影響を与え、直接触れることなく精神を弱らせ、生命力を吸い続けることができます。また、近くにいるだけでも精神に悪影響を及ぼします。
強い精神力で宇宙からの色に抵抗することができなければ身体能力や精神力を少しずつ吸い取られていきます。その量は1D10で決まり、永久に失います。犠牲者は徐々に萎びて灰色になり、最後は絶命します。近くにいる者は毎日INTロールを行い、勝利できなければマジックポイントと正気度を1D6失います
装甲
物質的な部位を持たないため装甲はありません。そのため、物理的な影響を受けることはありません。唯一、強力な磁場でのみ影響を与えることができます。なお、魔術的な影響も受けます。
外見による影響
宇宙からの色は煌めく光ですが、人間には理解できない色であるため正気を失う可能性があります。また、生命力を吸い取られ灰色になった犠牲者を目撃した時も正気を失う可能性があります。
宇宙からの色を目撃した時は0/1D4で、犠牲者を目撃した起きは1/1D8の正気度を失う。
宇宙からの色に関する呪文
宇宙からの色に関する呪文はありません。
宇宙からの色のステータス
宇宙からの色の詳細はマレウス・モンストロルムまたはルールブックを参照してください。
宇宙からの色の倒し方
宇宙からの色は物質的な体を持たない(耐久力がない)ため、倒すことは不可能です。地球上で有効な者は強力な磁場を発生する装置だけであり、一介の探索者が所持していることは難しいでしょう。もしかするとキーパーによっては物理学や電子工学の知識が突き抜けている探索者であれば磁場発生装置を作り出すことができるかもしれません。しかし、強力な磁場を用いても倒すことはできず、閉じ込めるまでしかできません。ですので、閉じ込めたものを地球外へ放出する手段が必要です。
まとめ
いかがでしたか?宇宙からの色は人間が相対時してまともに戦える相手ではありません。神格ではないものの倒すことができないという厄介極まりない神話生物ですが、地球を壊滅させるほどの影響力は持っていません。また旧支配者の奉仕種族というわけでものないので、キーパーとしては戦いのないシナリオで、じわじわっと探索者をすり減らせる存在として登場させるにはうってつけでしょう。キーパーは是非とも宇宙からの色を登場させてみましょう。