シュブ=ニグラスとは|悪魔崇拝の山羊をモチーフにしたクトゥルフ神話TRPGの外なる神

シュブ=ニグラスとは

シュブ=ニグラス

(Shub-Niggurath)とは、クトゥルフ神話においてH.P.ラヴクラフトが創造した神であり、豊穣の女神とされています。ヨグ=ソトースの妻とされていますが、ハスターの妻であったりと体系によって位置付けが変わります。千匹の仔を連れし森の黒山羊といわれるように、神話生物である黒い仔山羊を産んでいます。悪魔崇拝のシンボルとなる山羊をモチーフにしているため、サバトのような儀式においてその名前が呼ばれることがあります。またクトゥルフ神話以外ではモンストに登場していたり、FGOでもジャック・ド・モドレーの神格とされています。なお、クトゥルフ神話TRPGでは外なる神に分類されています。また書籍・アニメで人気の『オーバーロード』ではアインズが超位魔法「イア・シュブニグラス(黒き豊穣への貢)」によってシュブ=ニグラスの子である黒い仔山羊を召喚しています。

「イア!イア!シュブ=ニグラス!千匹の仔を連れし森の黒山羊よ!」
    ーーH.P.ラブクラフト『闇に囁くもの』

シュブ=ニグラスの画像

シュブ=ニグラスの画像です。なお、フリー素材ではなく出典元を表示していますのでそちらもご確認ください。
シュブ=ニグラス
出典:The H. P. Lovecraft Wiki

シュブ=ニグラス
出典:Satibalzaneの作品

出自

初出はH・P・ラヴクラフトの1928年発表の『最後の検査』と言われています。また、1930年執筆で1931年に発表した『闇に囁くもの』で、儀式の中の文言で出てきたことで広く知られています。『永劫より』においては古代にムー大陸で崇拝されていたと言及され、『墳丘の怪』においては地底世界クン=ヤンの住民に崇拝される形で登場しています。

シュブ=ニグラスを形容する言葉

シュブ=ニグラスは登場した以下のように形容されています。サバトとの関連から山羊の印象が強くありますが、多くの神の系譜にいるため万物の母というのもあります。

  • 「千匹の仔を連れし森の黒山羊」
  • 「狂気産む黒の山羊」
  • 「黒き豊穣の女神」
  • 「万物の母」

シュブ=ニグラスの系譜

シュブ=ニグラスを系譜で見ると、アザトースの子の一つである「闇」より生まれたものであり、ヨグ=ソトースの従兄弟に当たります。そして、ヨグ=ソトースとの間にできたナグとイェブの母です。一方、ラヴクラフトの『墳丘の怪』において、シュブ=ニグラスは「名づけられざるものの妻」としたことと、ダーレスの作品でハスターは「名づけられざるもの」と称されることからシュブ=ニグラスとハスターが結び付けられ、ハスターの妻という設定も登場しています。ハスターとの間にはイタカ、ロイガー、ツァールを産んでいます。イグとの間に長女ウトゥルス=フルエフルを産んでいます。またパンの大神のように男神としての側面もあり、女神マイノグーラと交わりティンダロスの猟犬たちを産ませたとされています。また召喚されて顕現する時に黒い仔山羊を産み落とすと言われています。

相手子神・眷属
ヨグ=ソトースナグ(クトゥルフの親)、イェブ(ツトゥグァの親)
ハスターイタカ、ロイガー、ツァール
イグウトゥルス=フルエフル
マイノグーラティンダロスの猟犬
(ハスター?分裂?)黒い仔山羊

生息地

シュブ=ニグラスの現在の住居は謎のままです。人気のある仮説は惑星ヤディスであり、その表面の下にはドールの召使いと一緒に住んでいます。またアザトースの宮廷や別次元にいる可能性もあります。

人間との関わり

シュブ=ニグラスは人間に対して豊穣神として崇拝されていたことがあります。その崇拝は悪魔崇拝のように儀式に生贄を用いて行われるものであり、信仰を持たないものにとっては信じ難いものとなっています。自分を崇拝するものにだけ恩恵を与えて、それ以外には容赦がありません。なお、その信徒はチョー=チョー人・ハイパーボリア人・ムー人・ギリシャ人・クレタ人・エジプト人・ドルイド・サルナス人・ユゴスからのもの・ドール種族・ヤディスのヌグ=ソスといった地球内外の種族が存在します。

教団

シュブ=ニグラスを崇拝する存在は多いといわれており、ドルイド教などのグループが教団を形成しています。それらの多くは新月の時に儀式を行い、その結果使者として「黒い仔山羊」が召還されることがよくあるといわれています。シュブ=ニグラスを崇拝する教団として知られているのは「シェッベ=ミグ」や「ニューワールド・インダストリー」などが知られています。

化身

シュブ=ニグラスは時として化身として地球にいることがあり、多くの人間から崇拝されています。ただし、化身とは言えども人間のような外見ではなく、どこかしらに山羊の要素を持ちます。

ムーンレンズの番人(Keeper of the Moon-Lens)

ラムジー・キャンベルの小説『ムーンレンズ』に登場したイギリスのセヴァーン溪谷、ゴーツウッドで崇拝される化身です。多足に支えられた白い肉の柱として顕現し、頭頂部には無数の目と巨大な嘴を持っています。シュブ=ニグラスは信者に捧げられた生贄の人間を飲み込み、サテュロスのような人と山羊を混ぜ合わせたような奉仕種族「シュブ=ニグラスに祝福されしもの(ゴフ=フパデュ=シュブ=ニグラス)」に作り変えることができます。なお「ムーンレンズ」はこの化身を捕えている門の鍵となる異世界の装置です。

畝の後ろを歩くもの(He Who Walks Behind the Rows)

スティーブン・キングの小説『トウモロコシ畑の子供たち』に登場しています。アメリカ・ネブラスカ州の広大なトウモロコシ畑を聖地とする「飢えたトウモロコシの神」で、巨大な緑色の植物の山のような姿に赤い眼が輝き、乾いたトウモロコシの皮の匂いを漂わせています。アイオワ州のオークヴァレーの田舎町近辺で豊穣の神として崇拝され、トウモロコシ畑の地下の迷宮に棲んでいるといわれています。

パンの大神(Great God Pan)

アーサー・マッケンの小説『パンの大神』に登場しています。シュブ=ニグラスの男神としての化身で、制御されざる自然の横溢な生命力の具現化とされており、見目麗しい美少年、人間と山羊をかけあわせた怪物サテュロスといった顔を持っていますが、真の顔を見たものは例外なく発狂してしまいます。稀に人間の女との間に子を為し、美しい容貌と残忍な気質、他者の精神を支配する異能を持つ「パンの子ら」が生まれます。なお、この化身時のSANチェック成功で1d100、失敗で即死します。

マグナ・マータ(Magna Mater/偉大な母)

ローマ時代以前から崇拝されていた女神です。『レッド・フックの恐怖』にてレッドフックの下でリリスを取り巻くカルトの中で頭の無い仔羊がマグナ・マータを崇拝しています。

シュブ=ニグラスのミルク

山羊のミルクのようなイメージが連想されますが、このミルクのような液体を飲むとその者を変容させます。

特徴

シュブ=ニグラスは「邪悪な雲のような存在」として現れると言われ、索状の黒い触手、粘液が滴る口、そして短く身もだえするヤギの足を押し出す巨大な塊をしています。触手や器官は雲のようなものが融合して形成しており、常に泡立ちただれています。

黒い触手

シュブ=ニグラスは無数の触手を持っており、その一つを使って獲物を捕まえることができます。絡め取られた獲物は無数ある口により体液を吸い取られます。

吸いつかれた獲物は1ラウンドごとにSTRを吸い取られていきます。この犠牲者は逃れることができず、悲鳴を上げることしかできません。

巨大なシュブ=ニグラスは自身より小さいものが自分の通り道に存在している場合、お構いなしに踏みつけます。

装甲

シュブ=ニグラスは装甲は持っていませんが、ぬるぬるした雲状の体は物理的なダメージを一切受け付けません。ただ魔術的なものや、火や電気などのエネルギーによるダメージは有効です。ただし、自身で再生することが可能であり、マジックポイント1消費するごとに2回復させることができます。

外見による影響

シュブ=ニグラスは恐ろしく理解ができない外見をしているため、目撃した者は正気度を失います。

シュブ=ニグラスは偉大な神格であるため、目撃した時は1D10/1D100の正気度損失が発生します。

シュブ=ニグラスの呪文

シュブ=ニグラスは神々に関する呪文を全て知っています。また、自分を崇拝する者に「門の創造」「アザトースの呪詛」「ヴールの印」といった呪文を授けることがあります。

シュブ=ニグラスのステータス

シュブ=ニグラスの詳細はマレウス・モンストロルムまたはルールブックを参照してください。

シュブ=ニグラスの倒し方…退散を狙おう

シュブ=ニグラスは人間が倒せる存在ではなく、自分の崇拝者以外が近くにいればすぐに襲い掛かるという攻撃性も持っています。確かにデータで見れば火や雷といったエネルギーを使うとダメージを与えることができるため、やり方次第では倒せるかも?と思いがちです。しかし、実際のところ黒い仔山羊が周りにいる可能性が高く、戦うのは得策ではありません。しかもシュブ=ニグラスはある程度傷を負うと勝手に退散してしまいます。

一番の対処法は退散の呪文を使うことですが、どうしても戦わなければならないのであればシュブ=ニグラスの攻撃特性を考えると一人ではなく、一人でも多くの人数を用意した方が良いです。また重火器であればダメージを与えることができるので、複数個の小隊が良いでしょう。ただし、人が増えれば増えるほど狂気に陥り同士撃ちが発生する危険性も増え、下手をすると背後から壊滅することもあるので気をつけましょう。

また触手による攻撃で絡め取られと脱出することができないので攻撃範囲にいることは自殺行為と言えます。車両に乗っていても踏みつけられるので遠距離から対戦車ミサイルなどを使うことが効果的でしょう。

まとめ

いかがでしたか?シュブ=ニグラスは古来から人間に崇拝されている豊穣神ですが、信者以外は平気で襲い掛かるという外なる神です。直接登場するというよりは代理者である黒い仔山羊を通す形になるので、その名前はシナリオに登場させやすいでしょう。悪魔崇拝と結びつけやすいこともあるので、カルティストと対決させたいキーパーであれば是非とも登場させてみましょう。

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ルール改定があり7版が出てもなお遊ばれているクトゥルフ神話TRPG6版。個人制作のシナリオの多くが6版で作られていることもあり、まだまだ人気のルールブックです。

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