グラーキとは|夢で人を誘き寄せてアンデッドに変えるクトゥルフ神話生物の神格
目次
グラーキとは
グラーキ
(Glaaki、Gla’aki)は湖畔から夢引きを行う邪神として知られる神格で、クトゥルフ神話においてラムジー・キャンベルが創造した旧支配者の一柱で、巨大ななめくじのような姿をしています。配下にグラーキの従者と呼ばれるアンデッドの大群を従えています。クトゥルフ神話TRPGでは7版の付属シナリオに関わっています。
「楕円形の体から、無数の細く、尖った、玉虫色の光沢を持つとげが突出している。とげは。楕円の尖っていない方の端に、厚い唇のついた丸い口がついていて、その口がちょうど顔の中にあたる。フワフワしたスポンジのような顔である。顔から3本の細い茎が出ていて、その先に黄色い目がついている。体の下側には、白い三角形の物がたくさん付いている。多分移動するために使う足のようなものであろう。体の直径は一番狭いところで10フィート位だったと思う。その上から、長い茎のようなものが、ねじれたような形で突出している…怪物はそびえ立つように体を起こし、耳をつんざくような振動音と共に脈打って震えている…固くこわばらせたとげが犠牲者に向かって伸びてくる。」 ーーラムジー・キャンベル『湖畔の住人』
グラーキの画像
グラーキの画像です。なお、フリー素材ではなく出典元を表示していますのでそちらもご確認ください。
出典:calebclevelandの作品
出自
初出はラムジー・キャンベルの1964年執筆の小説『湖畔の住人』で、この中で隕石が落ちたとされる伝説の湖に住んでおり、近隣の住人に悪夢を見せています。
生息地
グラーキはもともとは宇宙から隕石とともに地球にやって来ており、隕石が墜落したイングランドのグロスターにあるブリチェスターという小さい街の近くにあるセヴァン渓谷の湖の底に生息しています。
ただ、セヴァン渓谷の湖の地底にいると言われていますが、実際のところ世界の湖のいたるところで目撃されているようです。
従者
グラーキにはグラーキの従者と呼ばれるアンデッドの怪物が仕えており、グラーキと記憶を共有していることからグラーキの手足のように行動します。従者は従者になった直後は人間らしい外見をしていますが、時が経つにつれて悍ましいアンデッドの外見に変わっていきます。このようにアンデッド化して長期間経っている従者は日光の強う光を浴びると緑の崩壊により最後は崩れ落ちます。
人間との関わり
グラーキを信仰する人間は多くグラーキの知識を求めており、かつては湖の周りでグラーキ教団と呼ばれるカルトが結成していました。なお、カルティストたちは皆グラーキの従者へと変身しています。グラーキの知識を得たカルティストたちはその知識や与えられた預言、命令などを編纂し、『グラーキの黙示録』を製作しています。
グラーキの黙示録
『グラーキの黙示録』はグラーキが自身の信者たちに与えた知識と予言や命令がまとめられており、関わりのある神格、呪文、セヴァン渓谷周りに存在するカルトについてなど記載されています。この黙示録は手書きによる原典の11巻の手稿本、原典から一部削除された状態で複写された9巻の海賊版、そして1925年に1925年にマーシィ・ヒルに住んでいた一人の男によって原典11巻の複写にあらたに一つ追加され12巻目となった手稿本があります。
巻数(新刊版) | 内容 |
---|---|
1巻 | グラーキの地球到来、この神を運んできた、都市をのせた遊星がグロスター州に衝突した時の事について論じています。グラーキは隕石の衝突よりもはるか以前にグラーキは顕現していたと主張し、この神性と他のグレート・オールド・ワンであるセベク及びカルナックとの関係に言及する異端者についても話題にしています。「タフ=クレイトゥールの逆角」として知られているものについても言及されています。「グラーキとの接触」の呪文も書かれています。 |
2巻 | グラーキの不死の従者達及び、最終的にこのもの達を破壊する事になる「緑の崩壊」について論じています。死せる巨大都市及びグラーキの水晶の落とし戸についても、「明かされし四十八のアクロ文字」にも言及されています。差し込まれた一枚の紙に「グラーキの従者との接触」呪文が書かれています。また「緑の崩壊」、「ナイハーゴの葬送歌」、見返しの遊び紙に書かれている「吸魂」呪文も書かれています。 |
3巻 | バイアティスについて言及しており、深きもの達がこの神性の彫像を星間宇宙から地球へと持ち込んだ事、そして単にこの彫像に触れるだけでグレート・オールド・ワンが召喚されるという事について説明しています。さらに、バイアティスの幽閉及びグラーキの「入信儀式」についての記述に着手しています「バイアティスの追放」、「バイアティスの招来/退散」、「バイアティスとの接触」が書かれています。 |
4巻 | アイホート及びその雛について、オールド・ワンの養い子と共に言及されています。また、星辰の座が正しくなり、主達が再び地球上を歩き出す際に、グレート・オールド・ワンの下僕達がなすべき義務について述べています。「アイホートとの接触」、にかわで58ページと59ページの間に貼り付けられた紙に「雛を取り除く」及び「アイホートを追放する」呪文が書かれています。 |
5巻 | 彗星あるいは惑星のような存在であり、ネメシスの神話の一部をなす、先駆けにして執行するものグロスについて調査されています。「グロスとの接触」、「外なる神々の従者の召喚/従属」呪文が書かれています。 |
6巻 | ムーンレンズ、その番人及びゴーツウッドのシュブ=ニグラス教団に関するものです。「ムーンレンズの番人の招来/退散」、「シュブ=ニグラスの招来/退散」、「シュブ=ニグラスの黒き子山羊の召喚/従属」が書かれています。 |
7巻 | アザトース、その「別形態」及びユゴスの鉱山とそこに棲むもの達について論じられています。また、シャガイ、その住民及びそれらの奴隷種族達についてもいくつか言及されています。「アザトースの招来/退散」、「ザエダ=グラーの招来」、「シャンを追い出す」、「ミ=ゴとの接触」、「シャガイからの昆虫との接触」、「ザイクロトルからのものの召喚/従属」が書かれています。 |
8巻 | ヨグ=ソトース教団及び墓所に群れなすものについて、異なる場所、時間、及び次元へと通ずる様々な門及び入口についてと共に、記述に着手しています。また、スグルーオの住民達についても論じられており、この生命ある音が地球へと訪れる事を可能にする、特殊な装置を製作するための設計図を入手する事が出来ます。「ヨグ=ソトースの招来」、「墓所に群れなすものとの接触」、「門の創造」、「門の発見」、「時間をねじ曲げる」、「夢占いの門」呪文が書かれています。 |
9巻 | ドリーム・クリスタライザー及びその飢えし守護者、そしてダオロスについて論じられています。その中には、ダオロスを招来して「ヴェールの向こうを見る」ための儀式も含まれています。「ダオロスの招来/退散」、「ヒプノスとの接触」呪文が書かれています。 |
10巻 | グラーキの夢引きが、クトゥルフの持つ同様の能力と比較されています。ルルイエについての議論のほか、ムナガラー及び外界にあるその住処の次元についても要約が書かれています。「クトゥルフとの接触」、「ムナガラーの招来」、「旧き印」、「夢を送る」呪文が書かれています。 |
11巻 | トンドという名で知られる惑星、その上にある青い金属と黒い石で築かれた都市について、チグという神性と共に論じています。ドリーム・クリスタライザーについての言及もあり、グラーキの夢を送る能力についてもまた論じられています。「ドリーム・クリスタライザーの守護者との接触」呪文が書かれています。 |
12巻 | イゴーロナク及びこの神に従うぼろをまとったすばしっこい僕達について論じています。この巻を読むという行為には恐ろしい危険が伴っており、たった一ページでも読んだ者に対して、イゴーロナクが自由に憑依を試みる事が出来ます。「イゴーロナクとの接触」、「イゴーロナクの子供との接触」呪文が書かれています。 |
グラーキを崇拝する教団や代表者
イングランドに存在したグラーキ教団が最たるカルトですが、古代エジプトのミイラやハイチのゾンビなどは全てグラーキの従者説があるように世界各地でカルトは存在するようです。
特徴
グラーキの外見はナメクジに似ており、体の下には足である白い三角形がびっしりと生え、目は顔から伸びた3本の茎状組織の先端にあります。楕円形の体はピラミッド状の突起で覆われ、背中からは様々な色の棘が伸びており、棘が無い部分に唇のある丸い口があります。人間に棘を刺して自身の体液を注入して操り自身の従者として仕立て上げるといわれている。
とげ
グラーキは対象に体から伸びるとげを刺し、そこから液体を注入して相手を殺します。このとげは対象に刺さったままですが、一晩か二晩かけて相手をアンデッドに変化させます。なお、とげを突き刺すことでグラーキは対象から力を吸収しているとされています。
とげは付くか飛ばすことができ、そのダメージは3D10の威力を持ちます。このダメージで相手を殺せなかった場合でも液体が注入されればアンデッド化させることはできる。ただし、この場合はグラーキの支配を受けないアンデッドとなります。また、とげのダメージでも死なず、液体を注入される前にとげを抜くことができれば生き残ることも可能です。
夢引き
グラーキは人間をカルトに入信させるために夢を見させることができます。夢の力に負けた者は湖まで引き寄せられ、胸をとげで貫かれてグラーキの従者にされます。
グラーキの力が強い頃は遠く離れていても夢引きを行うことができましたが、今では湖から800m離れていくごとに抵抗されやすくなります。
装甲
グラーキは分厚い外皮ととげを持っており、外皮は40ポイント分の装甲、とげにも4ポイントの装甲があります。
外見による影響
グラーキが玉虫状の光沢を持ち巨大ななめくじにように見えるためか、神格には珍しく正気度の損失は少ないです。
目撃したことによる正気度ロールによる失う正気度ポイントは「1D3/1D20」。
グラーキの呪文
グラーキはほとんどの呪文を知っています。その呪文の知識はカルティストたちに与えることもあり、「グラーキの黙示録」には多くの呪文が収録されています。
グラーキのステータス
グラーキはの詳細はマレウス・モンストロルムまたはルールブックを参照してください。
グラーキの倒し方・・・といっても困難です
グラーキは人間が倒せる存在ではありません。まったくないというわけではありませんが、探索者が遭遇してすぐに倒せるというものではありません。その理由は分厚い装甲にあります。グラーキの装甲は40ポイントあることからダメージを与えるには戦車砲並の火力が必要であり、人間が携行できる武器で効果的にダメージを与えることは困難です。そのため軍隊による砲撃を行うのが良いのですが、グラーキは大怪獣のように街を練り歩くのではなく、着実に信者を増やして、その信者を手足のように動かすことで支配をしていきます。このことから事態を重く見て軍が出動する頃にはアンデッドの大群ができていることでしょう。
それでも探索者が立ち向かうことになったしても近くにいてはいけません。確実にとげに貫かれてアンデッドにされてしまいます。幸いにも移動速度は遅いのでたっぷりの爆薬や対戦車武器を用意して戦いましょう!ただし、アンデッドの大群をけしかけたり、呪文を使ってくる可能性が大なので、一番ベストはやはり戦わないことでしょう。
まとめ
いかがでしたか?グラーキは探索者では手に負えない恐るべき神格です。動きは遅く、広範囲を巻き込む圧倒的な破壊力はなさそうですが、手持ちの武器ではダメージを与えることができないほどの鉄壁さを持ちます。グラーキはホラーには欠かせないアンデッドと深いつながりがあるので、自作のシナリオに絡ませることも容易でしょう。シナリオ作成に悩むのであれば、是非ともグラーキを登場させてゾンビの群れに街を襲わせてみましょう!