イグとは|あらゆる蛇の神として崇拝されるクトゥルフ神話の神格

イグとは

イグ(Yig)はあらゆる蛇族の神としてとして知られる神格で、クトゥルフ神話においては旧支配者の一柱で半人半蛇の姿をしています。子供への愛情であり、自分の子供である蛇たちを殺した者には必ず復讐するといわれています。クトゥルフ神話TRPGでも人間に近しい存在であるため、セッションに登場させやすい神格と言えます。また蛇の繁殖期である秋頃には狂乱索餌に陥り、暴れまわります。

「半人間の蛇たちの父…中央草原の部族たちの蛇神ーー多分もっと南の方のケツアルコアトルやククルカンの源だと考えられるーーは人間に似た奇妙な悪魔だった。」    ーーH.P.ラヴクラフト&ゼリア・ビショップ『イグの呪い』

イグの画像

イグの画像です。なお、フリー素材ではなく出典元を表示していますのでそちらもご確認ください。
イグ
出典:Darya Abdulinaの作品

イグ2
出典:verreauxの作品

出自

初出はゼリア・ビショップ名義でハワード・フィリップス・ラヴクラフトが代筆し、1929年の『ウィアード・テイルズ』に掲載された『イグの呪い』です。

生息地

現在はクン=ヤンの赤く輝くヨスにある「ンゴスの穴」に棲んでいる、あるいは封印されています。もともとはザンダヌアの世界(または惑星)にいましたが、太古の地球に来訪しました。ザンダヌアにはイグの兄弟であるロコンや多くの蛇族がまだ棲んでいます。

ほかの神格との関係

イグにはシュブ=ニグラスとの間に、ハン、バイアティス、ウトゥルス=フルエフルという子がいます。また、シュブ=ニグラスに似たイドラの配偶者の間に娘にアイグがいます。さらに一対の蛇を頭に持つコアトリクエも伴侶として迎えています。

眷属

イグには蛇人間とイグの落とし子、イグの子という眷属がいます。全てが蛇の外見に色濃く影響を受けています。イグの子にいたっては蛇そのものです。

蛇人間/大地の妖蛆

イグが創造した独立種族、または奉仕種族です。2億7500万年前という恐竜が誕生する以前に最も栄え、かつては科学が得意で生命そのものを操ることが出来る高い知能を持っていました。ムー大陸での蛇人間はやがてツァトゥグアを信仰するようになり、イグの怒りを買って知性のない蛇に変えられたため半ば滅び、現在は少数の魔術師などが残るのみです。現存する蛇人間は「大地の妖蛆」と呼ばれ、かつての先祖と比べ知能も体格も衰えてしまっています。ただし、それを踏まえても現在でも科学と魔術の両方の技術に長けている種族といえます。

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イグの落とし子

一般的にはイグと蛇人間との混血種の子孫です。四肢は萎縮し機能を失い身体から垂れ下がっており、顔は部分的に人間のものですが目は冷たく瞳がありません。特別大きな卵で生まれ、出産の際に母親を殺してしまうほか、イグの呪いを受けた女性が絶命すると同時に産み落とすこともあります。

イグの子/イグの聖なる蛇

イグの子と呼ばれるその地域に生息する特別大きな蛇です。基本的にはその土地原産の蛇ですが、頭に三日月の印をつけています。イグの加護を受けており、害するとイグの報復の対象となります。

人間との関わり

イグは他の旧支配者とは異なり、信仰があれば深い慈愛の心をもって接し相応の報いをします。そのため人間の中にはイグ崇拝しているものも多く、その崇拝は地下世界クンヤンで始まったと考えられいます。そして、そこから北アメリカ西部とメキシコ南部、ムーとヴァルーシアにも広まり、マヤ神話のククルカン、アステカ神話のケツアルクアトルの伝説の元になったと考えらています。

イグを崇拝する信者

ムー大陸では、クトゥルフやシュブ=ニグラスと共に、人類に友好的な神として信仰されており、この末裔がクン=ヤンに住んでいます。現在でも大平原地帯のインディアン部族はイグを崇拝しているものがあります。また、魔術師の中には有形の物品と引き換えにイグに仕える者もいます。イグを信仰する者は満月と新月の両方に生きた動物の生け贄を捧げています。

特徴

イグは半人半蛇の大きな男性の姿に見えます。また、巨大な鱗に覆われた人型生物に見えるかもしれません。蛇と話すことができ、自分の子供たちに仇なす存在には恐ろしい呪いを掛けたり、聖なる蛇を送り込み殺そうとします。

かみつき

イグは獲物を掴んだあと、鋭い牙で噛みつきます。イグに噛みつかれ装甲を貫通した場合は毒を体内に注入され、数分間苦しみながら死に至ります。

噛みつかれた時のダメージは1D8と小さいですが、貫通による毒は解毒することができません。CONロールの機会すらないでしょう。

装甲

イグは6ポイントの装甲になる強固な鱗を持ちます。強固な鱗を貫くことはできますが、イグの血液に触れた物体はその毒によって腐食します。

外見による影響

イグが人型であるためか、神格には珍しく正気度の損失は少ないです。

目撃したことによる正気度ロールによる失う正気度ポイントは「0/1D8」。

イグの呪文

イグは召喚/従属や接触に関するすべての呪文を知っています。そしてこれらをよく人間に教えています。なかでもクトーニアンに関する呪文が得意です。

イグのステータス

イグはの詳細はマレウス・モンストロルムまたはルールブックを参照してください。

イグの倒し方

イグは人間が倒せる可能性がある存在です。サイズも人間よりやや大きいだけであり、通常の武器でダメージを与えることは可能です。ただ、イグは自分1人で戦うことは考えにくく、多くの眷属や召喚した存在によって守られているでしょう。そう考えると、現実的には難しいかもしれません。もし、イグを戦う必要が出るのであれば眷属を呼ばれないようにしましょう。

イグとの戦いで恐ろしいのは毒と装甲です。銃などの貫通させるタイプの武器では貫通しなければすべて鱗で弾かれてしまい、いっさいダメージを与えることはできません。また貫通させる武器では貫通時に武器自体もイグの血液による毒でダメージを受けてしまうため、長く使うことは難しくなります。そうなると貫通しない武器での接近戦になりますが、効果的なダメージは与えにくく、手こずっているとイグに掴まれてしまい、噛みつきをされて体内に致死性の猛毒を注入されます。このことから考えて持久戦を覚悟しながら連射可能な銃火器で貫通させていくことが望ましいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?イグは探索者でも一矢報いる可能性のある神格です。外見やSANチェック的にも登場させやすく、また眷属を絡めることで特殊な地域を作り出すことも可能です。是非とも蛇にまつわるシナリオを作り、イグを登場させてみましょう!

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