ビースト・マスターとは|野獣の相棒でテクニカルに戦うD&D5版レンジャーの類型
目次
TRPGダンジョンズ&ドラゴンズには多くのクラスが存在し、ドルイドやバーバリアンのように自然と共存しているレンジャーが存在し、仲間の野獣と共に文明と野生を脅かす敵と戦うビースト・マスターがいます。このレンジャーはどのように戦い生き抜いているのか、わかりやすいようレンジャーの類型であるビースト・マスターについて解説します。
ビースト・マスターとは
ビースト・マスター(Beast Master Conclave)とは野獣使いで文明種族とこの世界の野獣を友情を体現したレンジャーのサブクラスです。このビースト・マスターのレンジャーは仲間の野獣と心を一つにして敵と戦い、友として一緒に働きます。この関係は一方的な使役ではなく友情として、また仲間として対等なものです。
ビースト・マスターの特徴
ビースト・マスターは野獣の相棒についての特徴を多く持ちます。原始の相棒*(Primal Companion)はオプションルールで、DMが承認した場合のみ使用できます。
ビースト・マスターの特徴 | レベル | 効果 |
---|---|---|
レンジャーの相棒 | 3 | 脅威度1/4までの野獣を仲間にすることができる。 |
原始の相棒*(Primal Companion)/オプション | 3 | 原始の相棒を召喚できる。(オプションルール) |
高度訓練 | 7 | ボーナスアクションで相棒のターンに早足、離脱、援護のアクションを命令できる。相棒の攻撃が魔法武器として扱うことができる。 |
野獣の怒り | 11 | 命令を下しての攻撃アクションを行わせる場合、2回の攻撃または複数回攻撃アクションができる。 |
呪文共有 | 15 | 自分を目標とした呪文を自分で発動する時、30フィート以内に相棒がいるなら共有される。 |
ここがスゴイ!ビースト・マスター
ビースト・マスターは成長していく中で、相棒にもその成長が反映されます。相棒とどのように戦うのかが重要ですが、相棒の持つ攻撃やその特徴を使うことで幅広い戦い方が可能です。
「レンジャーの相棒」で野獣の仲間ができる
レベル3になるとビースト・マスターは「レンジャーの相棒」により野獣の相棒ができます。相棒は中型以下で脅威度が1/4以下のものに限られます。相棒を連れて「得意な地形」を旅をする場合は隠密を行いつつ通常速度で移動することができます。相棒はビースト・マスターの相棒になることで以下の能力値にビースト・マスターの習熟を加算することができます。
- AC
- 攻撃ロール
- ダメージロール
- 野獣が習熟しているセーヴィングスロー
- 野獣が習熟している技能
またhpについても以下の形を取ります。
- 野獣の最大hpは「本来の最大hp」か「ビースト・マスターのレベル×4」のどちらか大きい方が適用される。
- 小休憩でヒットダイスを使用できる。
- hpが0になり死んでしまった場合、8時間を費やして新しい野獣の相棒を得ることができる。
戦闘では相棒はビースト・マスターとイニシアチヴを共有します。ビースト・マスターがアクションを使い、相棒に攻撃・早足・離脱・援護アクションの命令を出すことができます。相棒の移動にはアクションを消費することなく移動させることができ、リアクションも普通に行うことができます。命令を下されなかった相棒は回避を取りますが、ビースト・マスターが無力状態であれば自分の判断で行動を取ることができます。レンジャーの特徴である「追加攻撃」ができるようになると、1回を相棒の命令として使う時に、もう1回を自分の武器攻撃に使うことができます。
レンジャーの相棒になることができる中型以下および脅威度1/4以下の野獣の一部として以下のようなものがあります。(詳細はPHBまたはモンスターマニュアルを参照)
野獣の例 | サイズ | 脅威度 | 攻撃アクション、特徴 |
---|---|---|---|
アウル(フクロウ) | 超小型 | 0 | 鉤爪、鋭敏聴覚&視覚、かすめ跳び |
イーグル(鷲) | 小型 | 0 | 鉤爪、鋭敏聴覚 |
ヴァルチャー(ハゲワシ) | 中型 | 0 | くちばし、鋭敏聴覚&視覚、連携戦闘 |
ウィーゼル(イタチ) | 超小型 | 0 | 噛みつき、鋭敏聴覚&視覚 |
ウルフ(狼) | 中型 | 1/4 | 噛みつき、鋭敏聴覚&嗅覚、連携戦闘 |
キャット(猫) | 超小型 | 0 | 爪、鋭敏嗅覚 |
クラブ(カニ) | 超小型 | 0 | 爪、水陸両性 |
ゴート(山羊) | 中型 | 0 | 頭突き、確かな足元、突撃 |
ジャイアント・ウルフ・スパイダー | 中型 | 1/4 | 噛みつき、蜘蛛歩き、蜘蛛の巣の振動感知、蜘蛛の巣渡り |
ジャイアント・センチピード(巨大ムカデ) | 小型 | 1/4 | 噛みつき |
ジャイアント・バジャー(巨大アナグマ) | 中型 | 1/4 | 複数回攻撃(噛みつき、爪)、鋭敏嗅覚 |
ジャイアント・ファイアー・ビートル | 小型 | 0 | 噛みつき、照明 |
ジャイアント・フロッグ(巨大蛙) | 中型 | 1/4 | 噛みつき、飲み込み、水陸両性、立ち跳び |
ジャイアント・ポイズン・スネーク(巨大毒蛇) | 中型 | 1/4 | 噛みつき |
ジャイアント・ラット(巨大鼠) | 小型 | 1/8 | 噛みつき、連携戦闘、鋭敏嗅覚 |
ジャッカル | 小型 | 0 | 噛みつき、連携戦闘、鋭敏聴覚&嗅覚 |
スコーピオン(サソリ) | 超小型 | 0 | 毒針 |
ディアー(鹿) | 中型 | 0 | 噛みつき |
バブーン(ヒヒ) | 小型 | 0 | 噛みつき、連携戦闘 |
パンサー(豹) | 中型 | 1/4 | 噛みつき、爪、鋭敏嗅覚、飛びかかり |
フライング・スネーク | 超小型 | 1/8 | 噛みつき、かすめ跳び |
ブラッド・ホーク(血汐鷹) | 小型 | 1/8 | くちばし、連携戦闘、鋭敏視覚 |
ボア(猪) | 中型 | 1/4 | 牙、しぶとさ、突撃 |
ポニー | 中型 | 1/8 | ひづめ |
マスティフ | 中型 | 1/8 | 噛みつき、鋭敏聴覚&嗅覚 |
ミュール(ラバ) | 中型 | 1/8 | ひづめ、確かな足元、荷役獣 |
ビースト・マスターが成長すると野獣も成長します。レンジャーレベルが5になるまで、ビースト・マスターか相棒かどちらかしか攻撃アクションを取ることができないのでも、もどかしさを感じるかもしれません。しかし、相棒の主な役割はビースト・マスターを守る盾であり、敵を引きつけてこそビースト・マスターが戦いやすくなります。また仲間は単純に攻撃面だけではなく、「連携戦闘」や「照明」「荷役獣」など特徴を活かしたものを選んでも面白いでしょう。
「原始の相棒*(Primal Companion)」で原始の野獣を仲間にできる
未訳の『ターシャの万物釜*(Tasha’s Cauldron of Everything)』で追加されたオプションルールで、レベル3になるとビースト・マスターは「原始の相棒*(Primal Companion)」により自然との絆から力を引き出し原始の野獣を召喚することができます。原始の野獣は大地の野獣(Beast of the Land)、海の野獣(Beast of the Sea)、Beast of the Sky(空の野獣)からなり、レンジャーまたはその仲間に友好的です。「レンジャーの相棒」と異なりアクションおよびボーナスアクションを用いて命令を出すことができます。原始の相棒は以下の能力値にビースト・マスターの習熟が加算されます。
- ACは13+習熟ボーナス
- 攻撃ロールはレンジャー呪文攻撃修正値(判断力修正値+習熟ボーナス)を使う
- ダメージロールは各ダメージに習熟ボーナスが加算
- 原始の相棒が行うすべてのセーヴィングスロー
- 原始の相棒が行うすべての能力値判定
またhpについても以下の形を取ります。
- 原始の相棒の最大hpは「5+ビースト・マスターのレベル×5」のどちらか大きい方が適用される。
- 小休憩でヒットダイスを使用できる。
- hpが0になり死んでしまった場合、1時間以内であれば1レベル以上の呪文スロットを消費すればhp全快で1分後に再召喚できる。
戦闘では相棒はビースト・マスターとイニシアチヴを共有します。原始の相棒は移動とリアクションは自分のものを使うことができ、ビースト・マスターがボーナスアクションを使い、相棒に攻撃・早足・離脱・援護アクションなどの命令を出さない限り回避行動を取ります。ただし、ビースト・マスターが無力状態であれば自分の判断で行動を取ることができ、リアクションにも命令を必要としません。また原始の相棒に攻撃アクションを命令する時は、自分のアクションを1つ消費して命令を出すことも可能です。つまり、「レンジャーの相棒」同様、レンジャーの特徴である「追加攻撃」ができるようになると、1回を相棒の命令として使う時にもう1回を自分の武器攻撃に使うことができます。大休憩を終了した時に自分の5フィート以内の何もない空間に異なる原始の相棒を召喚することができます。もし、原始の相棒がいるのに再召喚した場合は古い相棒は消滅します。なお、ビースト・マスターが死亡すると相棒は消滅します。
原始の相棒を召喚する時は野獣の種類を決める必要があります。どのタイプを選んだとしても、獣にはその神秘的な起源を示す原始の印が付いています。(詳細はターシャの万物釜参照)
野獣の例 | サイズ | 攻撃アクション、特徴 |
---|---|---|
大地の野獣*(Beast of the Land) | 中型 | ひっかき*(Maul)、チャージ、原始の絆*(Primal Bond) |
海洋の野獣*(Beast of the Sea) | 中型 | 拘束打撃*(Binding Strike)、水陸両性、原始の絆*(Primal Bond) |
大空の野獣*(Beast of the Sky) | 小型 | 細断*(Shred)、かすめ跳び、原始の絆*(Primal Bond) |
この特徴はオプションルールであり、DMが許可した時のみ「レンジャーの相棒」と入れ替えることができます。「レンジャーの相棒」では攻撃アクションを自分の攻撃に使うか相棒の攻撃に使うかもどかしい選択が必要でしたが、この特徴ではボーナスアクションを使用して命令を出すことができるため、自分の攻撃機会を損なうことなく相棒に攻撃させることができます。ボーナスアクションでもアクションでも命令を出すことは可能ですが、相棒自体のアクションは1回しかないため、両方を使い同じターンで命令を出すことはできません。
なお*がついている箇所はターシャの万物釜の日本語版が出ていないため正式なものではありません。
「高度訓練」で相棒が魔法的攻撃ができる
レベル7になれば「高度訓練」により、相棒の攻撃は非魔法的な攻撃に抵抗や完全耐性を持つ敵に対して魔法の武器としてダメージを与えることができます。また相棒が攻撃を行わないターンであればボーナスアクションを使って早足・離脱・援護のどれかのアクションを取る命令を下すことができます。
この特徴におけるボーナスアクションによる命令は実質的に「レンジャーの相棒」にのみ適用され、オプションルールに変更している場合は特に意味はありません。ボーナスアクションで攻撃以外の命令ができるメリットはピンとこないかもしれませんが、相棒を盾として敵に対峙させている時に相棒が敵の遮蔽なっている時や「ヘイル・オヴ・ソーンズ」の範囲に相棒がいる時など、遠隔攻撃前にボーナスアクションで離脱を取らせることで効果的に攻撃することができます。
「野獣の怒り」で複数の敵を狙うことができる
レベル11になると「野獣の怒り」により、命令を出して相棒が攻撃アクションを取る場合、相棒は2回の攻撃を行うか、複数回攻撃の特徴を持つのであれば複数回攻撃アクションを行うことができます。
相棒は2回攻撃を行いますがそのターンに命令を下すのは1回です。
「呪文共有」で相棒に効果を適用する
レベル15になるとビースト・マスターは「呪文共有」で自分を対象として呪文を発動する時に相棒が30フィート以内にいるのであれば相棒にも呪文の効果は適用することができます。
自分で発動し自分に作用する呪文であれば全て適用されるので「キュア・ウーンズ」でのhp回復やプロテクション系の効果を共有することができます。また、戦闘スタイルで追加されたドルイドの戦士*(Druidic Warrior)を選択している場合は選んだ初級呪文が条件に合えば、それも同じように共有できます。
ビースト・マスターでの戦い方
ビースト・マスターは「レンジャーの相棒」か「原始の相棒*(原始の相棒*(Primal Companion)」を選ぶかで攻撃の手数が変わり、戦闘力が大きく変化します。「レンジャーの相棒」では自分のアクションを消費して攻撃命令を出すため「攻撃を行うのは自分か相棒か」の選択に迫られますが、「原始の相棒」ではボーナスアクションで命令を出すことができます。そのため、自分の攻撃アクションを使わないでも良いため攻撃の選択に迫られることはありません。
「レンジャーの相棒」を連れて敵と戦う場合、相棒のACやhpが敵の攻撃に十分耐えうるものであれば相棒を回避する盾として敵前に配置し、自分は遠隔攻撃を行うと割と無駄になりません。これは相棒が敵のターゲットになってから回避で攻撃を避け、敵が目標を自分に変えて移動をしようとした場合は相棒のリアクションを使った機会攻撃を行うことができます。相棒が回避を選択することにより、敵からの攻撃に不利をつけることができるので、相棒は傷つくのを避けながら効果的に攻撃を繰り出すことが可能になります。「高度訓練」ができれば援護を行うこともでき、攻撃で有利を得ることができます。この戦法を取る場合の戦闘スタイルは弓術一択です。
もし、相棒と並んで戦うのであれば「追加攻撃」を使えるようにならないと、相棒が近くにいるメリットがあまりありません。相棒によっては「連携戦闘」の特徴を持つものもおり、その場合は近くで戦うメリットが発生します。「原始の相棒*(Primal Companion)」を連れて敵と戦う場合は、ボーナスアクションで攻撃命令を出すことができるため、二刀流以外であればどのような戦闘スタイルでも問題ありません。前述のように相棒を盾として戦う戦法の他に敵と近接攻撃の距離で共闘も可能です。
また、相棒と「スピーク・ウィズ・アニマル」で意思疎通したり、「ビースト・センス」を使うことで索敵にも活用できるので、不意打ちをしたい場合など状況把握に役立ちます。ビースト・マスターのレベルが上がっていくと相棒の能力がついていけなくなりますが、呪文で回復させたりカバーしたりして相棒を守りましょう。
まとめ
いかがでしたか?ビースト・マスターは相棒とどのように戦うかを考える必要があるサブクラスです。「レンジャーの相棒」しか選択できない場合、相棒は攻撃に使うというよりは自分を守る存在として命令をするとその存在を生かすことができます。また、相棒が保有している特徴や知覚系技能をうまく使えば索敵もできるので、戦闘だけでなく活躍する場面を考えることも大切です。是非ともビースト・マスターを楽しみましょう!
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