OSRとは|古いスタイルとシステムを再評価するTRPGのムーブメント

OSRとは

OSRとはOld School Runessance またはOld School Rivivalの頭文字を取ったもので、海外で発生したTRPG初期頃、特にダンジョンズ&ドラゴンズにインスピレーションを得たプレイスタイルのムーブメントを表します。このムーブメントは「特定のプレイスタイル」と「OSRに関連するゲームデザインの原則に関心を持つデザイナー」によってコミュニティが形成されています。この動きは2000年初頭に始まり、D&D3版が発売されることをきっかけに、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)のサポートが無くなった旧D&Dをもとに「ダンジョンズ&ドラゴンズ レトロクローン」が積極的に作り出されたりしています。なお、この動きがあったことでWotCも復刻版を販売しています。

現在のゲームのシステムは詳細な判定ルールがありますが、OSRはその部分を重要視しないシステムとプレイスタイルと考えるとわかりやすいでしょう。また、OSRを前提に作られたシステムがOSR系になり、これは過去のシステムをOSRの観点から再評価し、現在のエッセンスを加えて作られたシステムといえます。

OSRのプレイスタイル

OSRのプレイスタイルの考え方はルールブックで決められたルールよりも、ゲームマスター(GM)の裁量に重点を置いています。その考え方はプレイヤー側も積極的にファンタジー溢れる行動を行い、即座位にGMがその裁定を下すというものです。そのためゲームバランスの考え方も、おかしく不公平な状況下でのプレイヤーの技能や創意工夫を試すようなシステムのために重点を置いていません。OSRにおいてプレイヤーは、モンスターと数字の比較だけでは負けることを予期する必要があり、無謀な賭けには出ずに、途中で配置されたさまざまなチャレンジの裏をかいたり、勝つための策略を試みる必要があります。ちょっとわかりにくいのでMatthew J. Finch制作の「A Guide Primer fot Old School Gaming」の例を挙げます。

落とし穴を探す現在システムによるプレイスタイルでは以下のようになります。

GM: 「幅10フィートの廊下が北の暗闇に続いています。」
ジョン・ザ・ローグ:「罠をチェックします。」
GM「チェック対象の数字は?」
ジョン・ザ・ローグ: 「15」
GM: (パーティーの前の落とし穴は「標準」であると判断し、ジョンがしなければならないことはロールは15以上です。) 「d20を振ってください。」
ジョン・ザ・ローグ: 「16」
GM: 「前方を調べてみると、床に薄いひびが入っています。落とし穴のようです。」
ジョン・ザ・ローグ:「解除できますか?」
GM:「その目標値は?」
ジョン・ザ・ローグ:「12。私は14を出しました。」
GM: 「オーケー、慎重に動いて、メカニズムが動かないように邪魔をして、トラップが作動しないようにすることができます。あなたは解除しました。」
ジョン・ザ・ローグ:「私たちは歩いて渡ります。私が先に行きます。」

落とし穴を探すオールドスクールタイプのプレイスタイルでは以下のようになります。

GM: 「幅10フィートの廊下が北の暗闇に続いています。」
ジョン・ザ・ローギッシュ:「私たちは前進し、10フィート棒で前方の床をつつきます。」
GM: (10フィート棒が落とし穴を押し開いたと言おうとした時、何かを思い出した。)「いや、もう10フィート棒は持っていない。君は棒を石像に食べさせていた。もしパーティーがまだ棒を持っていれば、ジョンは自動的にトラップを検出したでしょう。」
ジョン・ザ・ローギッシュ:「私はそれを石像に食べさせていません。私が石像の頭を突いた時に石像が棒が挟まり、齧られたようになりました。」(折れて10フィートの長さを持たない)
GM: 「それは、棒が無事に戻ってきたという意味では無いです。廊下に入りますか?」
ジョン・ザ・ローギッシュ:「いいえ。何か怪しいです…。床にひび割れが見られますか?多分、四角かな?」
GM:(ジョンが見ているところに落とし穴があるので、これについて熟考…。でも暗いということで)「いえ、床には無数のヒビがあります。そのため落とし穴があるかはわかりません。」 (もし別のGMであれば、ジョンは正しい場所で正しいものを探しているので、ジョンがトラップを見つけたと判断するかもしれません)
ジョン・ザ・ローギッシュ:「わかりました。ではバックパックから水筒を取り出します。そして、床に水を注ぎます。水は床のどこかに滴り落ちますか?または何か明らかになりますか?」

このように比べてみると、現在のプレイスタイルでは、目的を達成するために判定のロールを行うことで処理していますが、OSRではロールをせずに行動を起こすことで結果(判定ではなく行動を示し、水筒の水を撒いて落とし穴を見つけ出そうとしている)を導いています。このようにOSRではプレイヤーの戦略や裏をかく行動を取り楽しむようにし、GMも即座に対応しています。なお、OSRはロールしない!というわけではなく、ロールを不要にするプレイをすることがポイントです。

OSRゲーム

OSRによるプレイスタイルの回帰から、複雑なルールを必要としない、または昔馴染みのあるゲームが求められたことにより、ダンジョンゾ&ドラゴンズ レトロクローンが誕生し、OSRムーブメントを拡大させていきました。そのレトロクローンはただコピーしたのではなく、デザイナーが一部手を加えて制作したもので、その作品には以下のものがあります。

  • OSRIC・・・Old School Reference and Index Compilationの略で、アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズの初版を再現したもの
  • Labyrinth Lord・・・「迷宮王」。WtoCのOGLを使用し、D&Dのルールと雰囲気を模倣したもの
  • Basic Fantasy・・・D&Dを模倣したもの。PDFを無料入手可能。
  • Swords & Wizardry (S&W)・・・1974年に発売されたD&Dを模倣したもの。froggodgamesで販売中。
  • Dark Dungeons・・・Dungeons & Dragons Rules Cyclopediaを模倣したもの
  • Mazes & Perils・・・1977年に発売されたD&Dベーシックセットを模倣したもの
  • For Gold & Glory・・・AD&D2版を模倣したもの。
  • Blueholme・・・1977年に発売されたD&Dベーシックセットを模倣したもの
  • Old School Essentials・・・1981年のD&Dベーシックセットおよびエキスパートセットを模倣したもの

現在、OSRも海外ではたくさん販売されており、DriveTHrurpgやFroggamesで購入は可能です。またイラストが独特の「MÖRK BORG」もあります。

DriveThrurpgで販売されているOSRゲームの日本語版

froggodgamesのOSRゲーム

MÖRK BORG公式サイト

まとめ

いかがでしたか?OSRはロールプレイの原点回帰とも言える動きであり、それに合わせて新しくルールも作られている一つの新しいシステムとも言えます。日本では大々的な動きはありませんが、OSR系ゲームを翻訳されている方もいるようなので、知らないうちにプレイしていることがるかもしれません。ぜひとも機会があればOSR系ゲームも楽しんでみましょう!

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