ダンジョンズ&ドラゴンズでのダメージと回復とは?
目次
TRPGの醍醐味の一つは戦闘ですが戦闘を行うと必ずある結果が起きます。それはダメージのことでキャラクターの生死に関係する指標の一つです。ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)ではヒット・ポイントという指標を使って生死についての取り決めを行なっています。TRPG初心者にも分かりやすいようにD&Dのダメージと回復について解説します。
D&Dにおけるヒットポイントの意味
テレビゲームのRPG以外でもよく耳にするヒット・ポイント(hp)ですが「生命力」や「体力」といったイメージをお持ちではないでしょうか?多くのゲームではHPが0になるとキャラクターが死亡するような扱いですが、D&DにおいてHPは肉体的及び精神的な打たれ強さ、生きようとする意志に幸運を組み合わせた概念です。HPとは命の残量ではなく概念を表しています。
もちろんHPが多ければ多いほど生き残りやすいですし、少なければ死にやすいという点では同じです。ダメージを受ければ減少するし、回復させれば最大値まで戻すこともできます。この指標は0にならない限りはたとえ残り1であっても行動に差し障りはありません。
一時的hpとは
キャラクターはhpとは別に一時的hpを持つことがあります。魔法や特徴によって得られることがあり、その名の通り一時的なヒットポイントとして加算されます。一時的なものであるため回復することはなく、また複数の一時的hpを受ける場合でもその効果は一つしか受けることができません。ダメージを受けた時には先に一時的hpから減少していきます。そのため、バーバリアンのサブクラスの嵐の先触れの道の特徴で「嵐のオーラ:凍土」の効果のように毎ターン新たに一時的hpを受け取ることができればダメージをカットする装甲を持つようなことができます。
ダメージロールとは
戦闘を行い攻撃や呪文のロールがヒットするとダメージを与えることができます。これをD&Dではダメージロールと呼び、武器や呪文ごとに決まっているダイスを指定の回数ロールします。このロール結果に全ての修正値を加えたものがダメージとなり、相手のHPを削ることができます。また呪文などによる攻撃で複数に同時にダメージを与える場合はダメージロールは1回しか行いません。
冒険者アルファのハンドアックスの攻撃がゴブリンにヒットしました!ハンドアックスのダメージは1d6で、アルファの筋力修正値は+3。6面体のダイスを振ったところ目は5。筋力修正値を足した結果が8でした。ゴブリンのHPは7なので一撃で仕留めることができました。
クリティカルヒットは追加ダメージ
攻撃ロールの際にd20の目が20になることがあります。この時の攻撃はクリティカルヒットとなり、より多くのダメージを与えることができます。クリティカルヒット時のダメージロールはロールするダイスを2回ロールします。そこに能力値修正値を加えたものがダメージになります。
全てのゴブリンを掃討した冒険者アルファは倒したゴブリンのシミターを手に取り、いよいよホブゴブリンと戦います。攻撃ロールの目は20でクリティカルヒットが発生!シミターのダメージは1d6なので、クリティカルヒット時は2d6。ダイスの目の合計は9。シミターの特性は妙技ですが、筋力の能力修正値が+3と高いのでこちらを加算します。与えたダメージは12!ホブゴブリンは痛烈な一撃を浴びて絶命しました。
なお、ローグの急所攻撃などダメージロールにダイスが追加される攻撃でのクリティカルヒットではその分のダイスロールも増加します。
ローグのダリルは冒険者がゴブリン3体と戦っている現場に遭遇します。冒険者は健闘しているものの、ゴブリンの数に押されている感じがあります。そこでダリルは助太刀することにしました。冒険者がゴブリンを惹きつけていたのでダリルはダガーで急所攻撃を行います。攻撃はクリティカルヒット!ダガーのダメージは1d4で急所攻撃による追加ダメージは1d6ですが、クリティカルヒットだったっため、ダメージロールが2倍になり2d4+2d6。これにに敏捷力修正値を加えた値が13でした。ダリルの狙った攻撃は急所に深く突き刺さりゴブリンを一撃で倒しました。
ダメージ種別とは
D&Dの世界にはダメージといっても色々な形で発生します。武器を使った攻撃にも「斬撃」「殴打」「刺突」と3パターンあります。このほか呪文やモンスターの攻撃などで発生する「光輝」や「死霊」、追加ダメージや継続ダメージなどを与える「毒」や「酸」など攻撃のパターンによって変わってきます。ダメージの種類は全部で「殴打」「光輝」「酸」「斬撃」「刺突」「死霊」「精神」「電撃」「毒」「火」「雷鳴」「力場」「冷気」の13パターンで、全てのダメージはどれかの種別に分類されます。
ダメージ種別 | ダメージ属性 |
---|---|
殴打 | 鈍器や素手攻撃などによるダメージ。 |
光輝 | クレリックの呪文や神秘的な光によるダメージ。 |
酸 | 酸や消化によるダメージ。 |
斬撃 | 鋭利な刃や爪などによるダメージ。 |
刺突 | 尖ったものや嘴、噛みつきなどによるダメージ。 |
死霊 | 死霊術やアンデッドの特殊攻撃によるダメージ。 |
精神 | 精神を持つものに与えることができるダメージ。精神のない物体などにはダメージを与えることができない。 |
電撃 | 電撃によるダメージ。 |
毒 | 毒物によるダメージ。この攻撃の判定には耐久力セーブが行われる。 |
火 | 火や熱によるダメージ。トロルなどの再生を邪魔する。 |
雷鳴 | 雷のような轟音を伴う衝撃波によるダメージ |
力場 | マジックミサイルのようなエネルギー体に影響を与えるダメージ。ゴーストなどが物体のすり抜けを行うと力場のダメージを受ける。 |
冷気 | 氷や寒さによるダメージ。 |
ダメージへの抵抗と脆弱性
ダメージ種別は何のためにあるのか?といえば、特定のダメージに対する抵抗や弱点などモンスター(キャラクター)を彩るための要素と言えます。例えばスケルトンは「殴打」に対して脆弱性があり、「毒」には完全耐性があります。またオーカー・ジェリーは「斬撃」「電撃」に対して完全態勢がある上に、これらのダメージの対象になると分裂したりもします。
このように抵抗や脆弱性があることを考えると戦闘時の立ち回り方も大きく変化し、冒険に演出も加わりやすくなります。
ダメージ耐性の種別 | ダメージへの影響 |
---|---|
ダメージ抵抗 | 受けるダメージが半分になる |
ダメージ完全耐性 | 受けるダメージが0になる。 |
状態完全耐性 | ダメージとは別に「毒」や「伏せ状態」などの状態の変化に対して無効になる。 |
脆弱性 | 受けるダメージが2倍になる |
気絶と即死
冒険をしていると戦闘に限らず様々な形でダメージを受けることがあります。高いところからの落下などは現実世界でも起こり得ることであり、場合によっては致命傷になるでしょう。ただD&Dの場合はHPは前述しているとおり、肉体的及び精神的な打たれ強さ、生きようとする意志といったものであり、ダメージはこの概念を削ることを表します。現実世界とは違いダメージを負っただけでは行動に影響はありませんが、ヒットポイントが0になることは打たれ強さで堪えられなくなった、または意志が絶たれた状態を表します。ヒットポイントが0になると「気絶状態」か「即死」になります。あくまでもヒットポイントは直接的な命の残量を表す指標ではないため、多くの場合は気絶状態になることでしょう。プレイヤーキャラクターの場合はこの2つの状態になりますが、モンスターの場合は通常ヒットポイントが0になると死んだものとして扱います。
即死になる条件
もし、ドラゴンのブレスのように一度に物凄いダメージを受けた場合は即死になる恐れがあります。与えたダメージがHPを0にしてなおかつ余りがある場合、その余りがキャラクターの最大HPを上回る場合は即死になります。
欲深き冒険者ベリック(最大HP14)は財宝を求めて深い森の奥のダンジョンに潜りました。見事に財宝を見つけバックパックいっぱいに財宝を持ち帰えり、地上に出たところで運が悪いことにヤング・グリーン・ドラゴンと遭遇しました。財宝を投げ捨て逃げようとするベリックに対してドラゴンは毒のブレスを放ちます。ベリックは耐久力セーブに失敗したため、42のダメージを負いました。ベリックの最大HP14から0になるダメージを受けても28の余りがあるため、最大HPを上回る余りがあることからベリックは「即死」しました…
気絶になる条件と状態
キャラクターがダメージを受けてHPが減少し0になっても即死ではない場合が「気絶」となります。気絶になった場合は以下の制限を受けます。
- 移動不可
- 声を発することもできない
- 手に持ったものを落とし倒れて伏せ状態になる
- 筋力セーブと敏捷力セーブに自動的に失敗
- 気絶者への攻撃ロールに「有利」を得る
- 5フィート(約1.5m)以内からの攻撃がヒットしたらクリティカルヒット扱い
モンスターは一般的にはHPが0になると死亡しますが、プレイヤーが気絶させたい場合は近接攻撃でHPを0にした場合に限り可能です。これは事前に申告する必要はなく、HPを0にした瞬間に選択することができます。
死亡セービングスロー
ダメージを負いHPは0で気絶した状態はいわば重体であると言えます。この状態では生死を彷徨っている状態であり、その判定に「死亡セービングスロー」を行います。このセービングスローには習熟ボーナスや能力値修正は一切つかず、まさにプレイヤーの運によるダイスの目に左右されます。
ターンの開始時1d20を行い、ダイスの目が10以上なら成功、9以下であれば失敗になります。このロールをターン毎に行い、3回成功すると「容態安定化」の状態になります。逆に3回失敗すると死亡します。この成否は連続でなくてもよいため、最短で3ターン、最長でも5ターン目には「容態安定化」か「死亡」になります。またHPが回復したり、容態安定化になるとこの成否の回数はリセットされます。
死亡セーブでのクリティカルとファンブル
死亡セービングスローでもクリティカルとファンブルが存在します。1d20の目が1であるファンブルの場合は失敗の回数を2カウントします。目が20であるクリティカルの場合はHPが1となり気絶から回復します。
- 1d20の目が1 ・・・ 失敗を2つカウントする。その結果失敗が3を超えた場合は死亡する。
- 1d20の目が20 ・・・ ヒットポイントが1回復し、気絶状態から回復する。
HP0でのダメージを受けた場合
HPが0になり気絶状態になってもトドメをさそうと狙ってくる敵がいないわけではありません。また範囲攻撃の影響下にありダメージを受ける場合もあります。HP0でダメージを受けると死亡セービングスローに1回失敗したことになります。またその攻撃がクリティカルヒットであった場合は2回の失敗と数えます。また即死同様その一撃のダメージが最大HPを上回るダメージであった場合は即死します。
応急手当てによる容態安定化
仲間がHP0で気絶した場合、HPを回復させることができれば気絶から回復させることができますが多くの場合は回復手段を持っていません。そのような場合でも死亡セービングスローの失敗を防ぐために応急手当てを行うことで「容態安定化」を測ることはできます。
容態安定化を行う応急手当てには難易度10で判断力・医術技能の能力判定に成功する必要があります。なお容態安定化してもHPが回復するまでは生死の境を脱しただけであり気絶状態が続きます。容態安定化中にダメージを受けた場合は再度死亡セーブをする必要があります。
ダメージで減少したHPの回復方法
ダメージを受けても0にならない限りは動き続けることはできますが、低いままであれば0になりやすいですし、大ダメージを受けた場合は即死する可能性も高くなります。そのためダメージは回復させていくことがとても重要になります。主な回復手段は以下のものがあります。
- キュア・ウーンズなどの回復させる呪文
- クレリックの「神性保護」やファイターの「底力」などクラス特有のアクション
- ポーションなど魔法効果のある道具
- 最低1時間の小休憩でのヒット・ダイス消費
- 最低8時間の大休憩での回復
- 容態安定化のままの時間経過
容態安定化をしたものの回復手段がない場合は、時間経過(1d4時間)により1HP回復することができます
。この後小休憩なり大休憩なりでHPをより回復させることもできます。
まとめ
HPがただの命の残量ではなく、肉体的精神的な打たれ強さや生きようとする意志ということがわかったでしょうか?HPに影響を与えるダメージと回復はキャラクターの生存に大きく関係していきます。自分の生存率を上げるためにもダメージ種別を認識し脆弱性を突いて効果的にダメージを与えるほか、相手の攻撃のダメージ種別を理解して防御を固めて抵抗を上げる戦い方も可能です。また仲間がHP0で倒れた時にすぐに容態安定化をできるのであれば回復も見込めます。D&Dに限らずTRPGではダメージと回復はとても重要です。回復職にだけ任せる事なく、一緒に冒険をする仲間を救うためにも理解しておきたいですね。
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