ダンジョンズ&ドラゴンズのスターターセットで戦闘手順をマスターする秘訣
目次
TRPGの醍醐味は手に汗握る戦闘が1番と言えるでしょう。どのゲームも戦闘のルールには力を入れておりダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)も例外ではありません。冒険者が武器を手に凶悪なモンスターと戦い打ち倒す事はとてもかっこいいです。またモンスターだけではなくずる賢い悪党なども敵として立ちはだかります。戦闘も細かくルール設定がありますが、ダンジョンマスター(DM)の裁量によるところも多いので、進行をスムーズにするためにも覚えておきたいダンジョンズ&ドラゴンズの戦闘の手順を解説します。
戦闘の基本はd20の攻撃ロール
振り下ろされる剣を盾で受け止め、モーニングスターで敵の打ちつける。一息に距離を詰めて攻撃を繰り出す。迫り来るモンスターにマジックミサイルを放つ。遮蔽物に隠れながら弓で射る。仲間が逃げ出す時間を稼ぐために回避に専念する。冒険での戦闘にはあらゆる状況があります。その中でも最善の手を繰り出すために行動をするのですが、戦闘は生き延びるために最重要の行動です。
D&Dにおいて戦闘行動の判定はd20の攻撃ロールを行います。
攻撃能力や能力値判定、セービングロールを扱うd20については下の記事から確認できます。
戦闘の順番
実際に武器を持って戦う場合、切り付けたり、それを避けたり、受け止めたり、フェイントを入れたりと様々な行動があります。コンピューターゲームでは戦うのコマンドを入れるだけで攻撃ができたりもしますが、TRPGではイメージを膨らませながら行動を決めることもできます。(ただ「攻撃する」とだけ言う人もいますが。)
D&Dでも同様に様々なアクションを行うことができ、戦闘を繰り広げることになります。
ただみんながみんな好き勝手に攻撃をしていた場合どうなるでしょうか?それは収拾がつかない混沌とした状況を作り出します。そのためDMが円滑に進行ができるようにラウンドとターンと言う概念があります。戦闘ではラウンドとターンを繰り返し行われます。
戦闘ではどのように発生したか、キャラクターの配置はどうか、どの順番でターンが回ってくるか、といったことも含めてDMが管理する必要があります。戦闘は次のステップで進んでいきます。
- 不意打ちの判断
- 位置の決定
- イニチアチブの決定
- 各ターンの処理
- ラウンド終了、次ラウンド開始
ラウンド終了しても交戦状態であれば次のラウンドに突入して再度各ターンの処理を行います。
ラウンドとターン
ラウンドとはすべてのキャラクターが行動を起こすことができる回のことで、1ラウンドは約6秒です。行動は1ラウンド目、2ラウンド目・・・といった形で進行します。1ラウンドに自分のターン(手番)が1回あり、そのターンの時に行動を起こすことができます。全員のターンが終了したときにラウンドが終了、次のラウンドが開始されます。そしてこれは敵対行動を取るものがいなくなるまで続きます。
不意打ちはある?
戦闘は顔を見合わせて始まることもあれば、突然後ろから襲われて始まることもあります。また自分が気づいていない相手を攻撃するということもあります。戦闘が始まる前に不意打ちが発生するかどうかはDMが決定します。
不意打ちは隠れようとしているものそれぞれの敏捷力・隠密技能での能力値判定を攻撃される側のその場にいる全員の受動的な判断力・知覚の値(受動的な近くになるため10+判断力・知覚の修正値を加えたもの)で行い、攻撃側が成功すれば不意打ちが発生します。
不意打ちを受けた物は最初のターンではアクションが一切行えません。もちろんその間はリアクションを取ることもできません。
イニシアチブロールで行動の順番を決める
戦闘が始まると順番に行動していくことになりますが、混乱が起きないよう事前にその順番をイニシアチブによって決定します。イニシアチブとは敏捷力の能力判定を行い、その戦闘の間は大きいものから順に行動することになります。敏捷力だ高いキャラクターはそれだけでイニシアチブを獲得しやすくなります。
もし敏捷力判定が同じ値であればプレイヤー同士であればプレイヤーが相談して決め、それ以外であればDMが決定します。イニシアチブが高ければ先手を取ることができるので、イニシアチブロールもなかなか力がこもる場面です。
DMはイニシアチブの順番がわかるように記録しておきましょう。
自分のターンでできるアクション
ラウンド中に自分のターンになると1つのアクションと移動をすることができます。1ラウンドの時間は約6秒しかないため同時に色々複雑なことはできませんが、ちょっとしたこと(身振りや発声など)はアクション中にもすることができます。
また、「剣を抜いて」攻撃するといったアクションや、「扉を開けて」転がり込みナイフを投げるといったアクションも可能で、操作に時間がかからないものの1つだけ移動やアクションの中で行うことができます。もし同じターンに2つ目のものを操作したい場合はアクションを消費することで操作することは可能です。またDMがアクションが必要な行動と判断した場合もアクションを消費する必要があります。
移動やアクションと同時に行える行動例 |
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アクションが必要な行動例 |
※DMの裁量によります。 |
ボーナス・アクションを上手く使う
D&Dにはさまざまなクラス(職業)がありますが、それを特徴できる一つとしボーナス・アクションがあります。ボーナス・アクションとは自分のターンに1回追加で行えるアクションのことですが、その内容はクラスや呪文によって限定されています。キャラクターがボーナスアクションを行うとその効果はすぐに現れますが、内容によっては休憩を挟まないと再度使えないものあります。
スターターブックではファイターがボーナスアクションで「底力」が使え、ローグはレベルアップ後に「巧妙なアクション」を、クレリックとウィザードはボーナスアクションでのみ発動する呪文があります。
リアクションはチャンス
特定の状況や状態によってリアクションを行うことができます。リアクションは行動を起こす条件(トリガー)が満たされる即座に反応して起こせるアクションです。反射的に起きる行動であるため、DMの裁量にもよりますがリアクションの内容はほぼ決まっています。例えば、戦っている最中に相手から離れて別方向に移動をしようと間合いをはずすと隙(機会攻撃)が発生します。この「間合いを外す」という行動がトリガーになり隙が発生し、相手にリアクション(この場合は近接攻撃)の機会を与えてしまいます。
またはウィザードの呪文シールドをかけられている状態であれば「攻撃を受けたりマジック・ミサイルの目標になること」がトリガーとなり、リアクションとして「1ラウンドの間ACが+5かつマジックミサイルのダメージがなくなる」が発生します。リアクションが発生した時は優位になりやすいですし、逆に相手にリアクションを起こされると手痛い一撃を受ける恐れもあります。
戦闘を上手に立ち回るなら位置と移動は重要
D&Dでは戦闘が始まる最初のラウンドより先にキャラクターやモンスターの位置をゲームマスターが決定します。そこから戦闘に入り、立ち回りながらラウンドは進むことでしょう。一歩も動かず武器を振るうこともあれば激しく動き回ったりと戦い方もさまざまです。コンピューターゲームではあまり位置の概念はないですが、TRPGの場合は次の動作を考えると立ち位置を考えながら戦うことが必要になることもあります。また移動には歩く・走るといった移動だけではなくジャンプや登攀(壁をよじ登る)、水泳といった移動も含まれています。
D&Dでは1ラウンドでの移動の距離(移動速度)があり、基本的には種族により決定します。人間やエルフでは30フィートですが、ドワーフやハーフリングでは25フィートです。1フィートは約30cmで、移動速度が30フィートであれば1ラウンドで約9mを1つの戦闘アクションを行いながら移動することができます。また呪文効果などで移動速度が上昇することもあります。
フィートの概念は移動だけでなく呪文の射程や効果範囲にも使うので、呪文の邪魔をしないためにも理解しておきましょう。
移動は分割できる
移動と戦闘は1ラウンドで同時に行えるのですが、その組み合わせは3つになります。
- アクションしてから移動する
- 移動してからアクションする
- 移動してアクション、その後に移動する(移動の分割)
アクションしてから移動、移動してからアクションはもちろん、自分の移動速度の範囲であればアクションの前後に移動を挟むこともできます。
盗賊の襲撃に遭遇した冒険者アルファは15フィート離れている盗賊に近寄り攻撃、盗賊と襲われた人の間に入るため5フィート移動しました。
移動困難な地形では移動速度が落ちる
全ての場合でスムーズに移動できるとは限りません。瓦礫が散乱しているところや腰まで草が生い茂っているところ、雪が積もった場所、登り降りが大変な急な階段、乗り越えるなら進めるほどの低い家具、誰かがいるスペースなどは移動困難な地形とみなされます。
このように移動困難な地形で移動を行う場合は移動1フィートごとに+1フィートの移動が加算されます。
雪山で狼の集団と遭遇した冒険者アルファは戦いやすい場所に移動しようと20フィート離れた洞窟へ移動しようとしました。しかし雪が積もっており足場が悪いとDMが宣言したため、移動には1フィートごとに+1フィートが加算。そのため1ラウンドでは15フィートしか進むことができませんでした。狼のターンで間合い(5フィート)に入ってきました。機会攻撃を与えたくないため大きな移動はできません。次のラウンドで5フィート交代しながら戦うことを決めました。
伏せ状態からの行動
自発的であろうが敵に倒されているであろうが関係なく、地面に横たわっている(伏せている)状態を伏せ状態と言います。
自発的であれば移動速度を使わずに瞬時に伏せ状態になることができます。ただ移動速度の半分を消費します。
移動したために移動速度が半分未満しか残っていなかったり、拘束された状態のように移動速度が0であったりすると立ち上がることはできません。
伏せ状態で匍匐前進のように移動することも可能で、移動には+1フィートが加算されます。移動困難な地形であればさらに+1フィート加算されます。
冒険者アルファは30フィート移動しようとしています。しかし20フィートのところで草むらに罠が仕掛けてあり、敏捷力の能力判定で失敗。罠に足を取られてバランスを崩し転倒しました。すぐさま立ち上がろうとしましたがアルファの移動速度の残りは10フィート、立ち上がるのには15フィートが必要であったためこのラウンドで立ち上がることはできませんでした。
すり抜け移動
友好的なキャラクターの横をすり抜ける分には何も制限はありませんが、敵対しているキャラクターの場合は妨害されるため体格差がなければすり抜けることはできません。体のサイズの分類で相手より2段階以上離れているならすり抜けが可能です。
サイズ | スペース |
---|---|
超小型 | 2.5*2.5 フィート |
小型 | 5*5 フィート |
中型 | 5*5 フィート |
大型 | 10*10 フィート |
ヒューマン・エルフ・ドワーフは中型、ハーフリングは小型に分類されます。
スペースとはキャラクターやモンスターが支配している空間の大きさで、肉体の大きさではありません。幅5フィート(約1.5m)の入り口に人間の兵士(中型)が立っている場合、入り口の空間は兵士の支配下にあるため、そのまま通行するには兵士の許可が必要です。
狭い場所に無理矢理入り込む
自分のサイズよりも1段階小さいサイズに入り込むスペースがあれば無理矢理入ることができます。ただ無理矢理入り込むと移動は+1フィートかかり、攻撃ロールと敏捷力セーブに「不利」がつきます。また無理矢理入りこんでいるキャラクターを攻撃する側には「有利」がつきます。
まとめ
いかがでしたか?まずは戦闘の手順についての解説でした。TRPGでの戦闘は武器を振る、弓を放つ、呪文を唱えるといったコンピューターゲームのようなコマンドだけではありません。ダンジョンや建物の部屋の大きさや、戦闘に関係するキャラクターやモンスターの位置関係などが重要で、その中で移動しながらアクションを繰り広げることがTRPGでの戦闘の醍醐味でしょう。
移動は演出だけでなく戦況を優位になるような立ち回りも可能ですし、熟練のDMであればあるほど考えられたプレイヤーの動きを歓迎します。ひょっとしたらあなたのアクションに対してボーナスをくれるかもしれません。独りよがりだとよくありませんが、全員が楽しめるようなプレイはとても重要です。是非とも映画のような立ち回りを目指しましょう。
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