信用とは|クトゥルフ神話TRPGの6版と7版における信用の役割
クトゥルフ神話TRPGには信用という技能が存在します。7版から始めたプレイヤーには馴染みが深いものですが、6版メインであれば信用というものはひとつの技能という位置付けでしかありません。そこで6版と7版においての信用と、その役割について解説します。
信用とは
「信用」とは一般的には確かなものと信じて受け入れることであり、それまでの行為・業績などから、信頼できると判断することを表します。現代社会でもそうですがクトゥルフ神話TRPGの中においても信用を得ることにデメリットはありません。信用が高いことで物事がスムーズに運ぶこともあり、信用があるからこそ多くの人の手助けを受けることもあります。もし社会的な信用が高ければ銀行はすぐにお金を融資してくれるかもしれませんが、信用も何もなければお金を工面することですら苦労します。
信用の役割
信用はもともとは相手に対して自分を信じさせるといったものでしたが、7版になってその扱いが大きく変わりました。この扱いが変わったことで信用が探索者のライフスタイルに影響を与え、具体的な人物像に肉付けが行うことができます。単発のシナリオであればあまり経済状況や財布の中身などはあまり気にならないかもしれません。しかし、お金という縛りを入れることで探索者の選ぶことができる選択肢が変わることもあります。
6版での信用
6版での信用は初期値が15%あり、自分を信じさせることで有利に働く場面で使用します。具体的に言えば以下のようなときに信用技能でのロールを行います。
- 人の好意を当てにする(物乞いをする)
- 銀行や会社からお金を借りる
- 信用状が必要な場面でハッタリで押し通す
また探索者がどのくらい豊かで自信に満ちて見えるかという面もあるため、信用が低いと自信がなさそうに見えます。このように6版では対人スキルの1つとして使うことができます。6版の信用は成長フェーズで成長させることが可能です。
7版での信用
7版において信用の初期値は0%で、探索者の経済的な裕福を表すための技能以上のもではありません。つまり信用の技能をロールしても探索者が得ることがないことを表しており、成長フェーズのためにチェックを入れることはありません。そのためキャラクター作成時に職業技能ポイントを割り振る時はある程度優先してポイントを割り振ったほうがなにかと都合が良くなります。ただし職業により信用の範囲が決まっているため、最低と最高の制限はあります。
6版で行うような信用してもらうためのロールは7版では「説得」や「言いくるめ」といった対人技能を用いて解決します。
探索者の生活水準が決まる
7版の探索者は職業技能ポイントを割り振り信用を獲得しますが、信用は生活水準を表す指標にもなります。シナリオでの移動や睡眠など普段の生活がある場合、どのうようなところで寝るのか、移動手段はなんなんのかといった普段の生活水準が想像できるようになります。
信用レベル | 状態 | 宿泊施設 | 旅行 |
---|---|---|---|
0:無一文 | 貧乏というレベルにすら達していない | ストリートに住んでいる | 歩くかヒッチハイク。または列車や船に密航する。 |
1~9:貧乏 | 屋根があるだけの最低限の住処があり、1日1回は貧相な食事が取れる。 | 最も安い賃貸住宅、みすぼらしいホテルに限られる | 最も安い種類の交通手段。どの交通手段も安っぽく信頼のできないもの。 |
10~49:平均 | 妥当な水準の快適な生活を得ており、1日3回の食事を摂り、時々ご馳走を食べる。 | 賃借か個人的に所有している平均的な一戸建てあるいは集合住宅。適度に値が張るホテルに止まることも期待できる。 | 標準の旅行形態を利用できるが、ファーストクラスは利用できない。現代であれば信頼できる車を所有している。 |
50~89:裕福 | ぜいたくと快適な生活を得られる | かなりの住居を持ち、使用人(執事、家政婦、掃除婦、庭師など)を雇っているかもしれない。高価なホテルを利用する。 | ファーストクラス。高級車やそれに相当するものを所有している。 |
90以上:富豪 | 素晴らしい贅沢と快適な生活が得られる。 | 大勢の使用人(執事、召使い、掃除婦、庭師など)がいる豪華な住居や屋敷。田舎や海外に複数の別荘。トップクラスのホテル。 | ファーストクラス。現代なら多数の高級車を所有している。ちょっとした出費は記録する必要がない。 |
99:大富豪 | お金が気にならないほどの大金持ち。世界でも最上級の金持ち。 |
探索者の持つ現金と資産が決まる
信用に職業技能ポイントを割り振ると探索者ができた時点での保有現金と資産が決定します。現金とは探索者がすぐに使えるお金であり、資産は現金ではない固定資産や貴重なものなど換金が必要なものになります。資産が大きいものほど換金には時間がかかるため緊急時の使用には向いていません。
信用の値 | 1920sの現金 | 1920sの資産 | 1920sでの支出レベル |
---|---|---|---|
無一文(0) | $0.5 | なし | $0.5 |
貧乏(1~9) | 信用×1 | 信用×10 | $2 |
平均(10~49) | 信用×2 | 信用×50 | $10 |
裕福(50~89) | 信用×5 | 信用×500 | $50 |
富豪(90以上) | 信用×20 | 信用×2000 | $250 |
大富豪(99) | $5万 | $500万以上 | $5000 |
信用の値 | 現代の現金(日本円) | 現代の資産 | 現代での支出レベル |
---|---|---|---|
無一文(0) | $10(約1000円) | なし | $10(約1000円) |
貧乏(1~9) | 信用×20(約2000~20000円) | 信用×200(約2万円~20万円) | $40(約4000円) |
平均(10~49) | 信用×40(約20000~50000円) | 信用×1000(約100万円~500万円) | $200(約2万円) |
裕福(50~89) | 信用×100(約50000円〜100000円) | 信用×10000(約5000万円~1億円) | $1000(約10万円) |
富豪(90以上) | 信用×400(約360万〜) | 信用×40000(約3億6000万円〜) | $5000(約50万円) |
大富豪(99) | $100万(約1億) | $1億以上(約100億円~) | $100000(約1000万円) |
円は2021年9月11日現在$1=109円ですがイメージしやすいように$1=100円で計算しています。
支出・消費行動の目安になる
信用の値は探索者の消費行動に関係します。生活水準以内の宿泊や移動は支出の記録が必要ありません。毎日は支出レベルまで使用することができます。例えば生活水準が平均であれば1日2万円までが許容される金額で、それを超えると現金を減らす処理が必要になります。
支出レベルを大きく超える出費が必要な場合は銀行からの借入や、キーパーと相談して資産の処理など現金化が必要になります。ここで借入の場合は信用ロールが必要になります。資産の現金化には時間がかかるため、場合によっては借入が良いこともあります。
経済力を活用して解決するときにロールする
人を信用させるためでは使いませんが何かの問題を経済力で解決するときにそれがうまく行ったかどうかを判断する場合に信用ロールを行います。すべてお金の力で解決できるものであればこのロールが該当します。以下のような場合に信用ロールが行われます。
- 人足を集める
- 追跡のために近くの人からバイクを借りる
- 一番早くたどり着く交通手段で現地に向かう
- 店やカジノで信用枠を獲得する
- 銀行や会社からお金を借りる
- 信用状が必要な場面でハッタリで押し通す
- 高級レストランの良席を都合つけてもらう
状況の厳しさなどは難易度に影響があります。例えば悪評が出回っていると信用が下がる意味で難易度が上がることがありえます。また、人海戦術で大人数を集める必要があるけどその地域に人がいない、など物理的に困難な状況があるときでも難易度は上がります。
なお、信用ロールはプッシュロールを行うことが可能です。担保を入れたり圧力を使ったりしてプッシュできますが、失敗すると担保を失ったりなど経済的な面でマイナスが生じる場合があります。
第一印象を決める
第一印象を決める場合APPロールをすることが多いですが、信用を用いることも可能です。たとえばAPP90の好青年であっても信用0であれば待遇は悪いものになるでしょうし、APPが40と高くなくても信用が50以上であれば裕福であるため、接客業の人は優遇することが考えられます。第一印象の背後に良質のお客になってほしい!というようなお金がチラつく場合は信用ロールを行う方が良いです。
7版での信用の変化
7版では信用は成長する技能ではありませんが、成長フェイズでの探索者の状況により変化することがあります。正気度を失い長い狂気に苛まれると普通に働くことが困難になり、仕事を解雇されたりすることもあります。そうなると探索者は収入を失い、信用は下がることがあります。また、探索者が莫大な遺産を相続したり、出世したり、良い企業に転職したりすれば信用が上がることもあり得ます。基本的にはそうそう変化するものでもないので、一番最初のキャラクター作成時にはある程度の職業技能ポイントは割り振った方が良いです。
まとめ
いかがでしたか?6版と7版で信用の扱いが大き変わっています。6版で使う場面では7版では説得など別の技能に成り代わっているので注意が必要です。単発シナリオであれば探索者の経済力など全く必要ないこともありますが、お金を使うことができるようなシナリオであれば信用を活かして経済力で問題の解決を図るというのもありです。これはプレイヤーだけでなくキーパーもお金を使って解決を模索するということを意識する必要があります。キーパーがここを理解していなければ、ロールプレイで現金や資産を活用するということもしなくなります。経済力は探索者の特徴でもあるので、ぜひとも信用を活用しましょう。