一つの指輪:指輪物語TRPGの英雄文化圏と召命の紹介|The One Ring RPG
いよいよ日本語版「一つの指輪:指輪物語TRPGスターターセット」が発売され、日本国内でも指輪物語TRPGの波を期待することができます。そこで8月に日本語版発売予定のコアルールにあるカルチャーとコーリングを解説します。
「一つの指輪:指輪物語TRPG」とは
「一つの指輪:指輪物語TRPGト」はFreeleague Publishingで発売されている「The One Ring」(TOR)の日本語版スターターセットです。TORはもともとCubicle7で開発されたものでしたが、「The One Ring RPG」(TOR)および「Adventure in Middle-Earth」(AiME)の版権をFreeleagueが持ち、変更を加えて2版として発売したものです。そのため海外ではTOR2eとして認識されています。
TORでは指輪物語の世界を再現できるように旅の仲間が行う「ジャーニー」をルール化し、避け谷での会議やセオデン王を説得するような人を動かす場面をルール化した「カウンシル」、アーケン石や一つの指輪で堕落していく姿をルール化した「シャドウポイント」が導入されています。なお、スターターセットでは基本的な部分を抽出したものであるため、ジャーニーやカウンシルには触れていません。同じところが販売している「The Lord of The Ring Roleplaying」ではこのルールも含めてウィザーズ・オブ・ザ・コーストのOGLを利用した5e版としてリリースされています。
キャラクター
キャラクターは種族に該当するHeroic Cultures(出身文化圏)と、職業に該当するCalling(コーリング)を持ちます。3月発売予定の「一つの指輪:指輪物語TRPGスターターセット」ではプレロールドキャラクターでホビット庄のホビットが用意されているため、キャラクター作成をすることがありません。(付属のシナリオを満喫するにはこのプレロールドキャラクターで遊ぶことが重要なので作成する必要はありません!)
カルチャーやコーリングはコアルールブックから解放されており、またリヴェンデルのハイエルフや闇の森のエルフ、ビヨルン族、荒地の国の森人は英語版サプリメントやキックスターターに含まれています。
Heroic Cultures(出身文化圏)
TORのHeroic Cultures(出身文化圏)は、D&Dや他のファンタジーものでいうところ種族にあたります。中つ国のほとんどの文化は人類の形態を表しており、人種をより小さなグループに分類しています。TORのコアルールブックでは以下の出身文化圏があります。
Barding(バルドの民、バルドの一党、バルドの一族)
バルドとは『ホビット』に登場した弓使いの名前で、はなれ山の麓にある谷間の国であるデールの民で北部の自由の民の一つです。はなれ山を占拠していたドラゴンのスマウグがデールの水上都市であるエスガロスを再び襲撃した時に、王族であるバルドが巨大な矢でスマウグを撃ち落としています。そして、バルドが王位を継承してからデールは復興しています。エスガロスは地理的にもエレボールのドワーフ、闇の森のエルフ、ロヴァニオンの森人などと交易を行い発展し、豊かな国になっています。
Dwarves of Durin’s Folk(ドゥリンの民のドワーフ、長髭族のドワーフ)
ドゥリンは中つ国にある7つのドワーフの氏族の中で最大を誇ります。不死のドゥリンの一族であり、『ロード・オブ・ザ・リング』のギムリや『ホビット』の13人のドワーフ全てがドゥリンのドワーフです。TORの時代設定ではモリア(カザド=ドゥーム)はすでにオークの手に落ちているのでエレボールやエレド・ルイン、または流れのドワーフということになるでしょう。
Elves of Lindon(リンドンのエルフ)
リンドンはエリアドールの西にある地域で、『ロード・オブ・ザ・リング』の最後にフロドやビルボが船に乗った灰色港があります。エルフの船大工キールダンが統治しています。リンドンのエルフは中つ国に残ったエルフであり、シンダール・エルフと言えます。長年、オークと戦ってきた種族であるため身体能力は高く、そのタフな肉体はゲームのStrengthにも反映されています。なお、『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスはリンドンのエルフではありません。
Hobbits of the Shire(ホビット庄のホビット)
『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドや、『ホビット』のビルボといった指輪物語を代表する種族です。身長は100cm前後と人間の子供のように小さく、陽気なパイプウィードが大好きな種族です。ホビット庄のホビットは平和に暮らしており、これまでエルフや人間の歴史にはほとんど出ていません。陽気な性格はゲームでもHopeに反映されています。スターターセットでは作成済みのホビットで遊ぶことができます。
HMen of Bree(ブリーの人間族)
『ロード・オブ・ザ・リング』でフロドとストライダーが出会った踊る小馬亭がある村がブリー村でその一体をブリー郷といいます。中つ国に昔からいる人間の種族であり、ドゥーネダインでも北部の自由の民でもありません。ドゥーネダインと比べると小さめです。第4紀になり、言葉を話す種族が弱体化していく中で勢力を拡大していく人間の種族です。IronCroenEntertainmentのMERP設定を使うのであれば褐色国人に近いでしょう。ホビットと同じくらいにパイプウィードが好きです。
Rangers of the North(北方の野伏)
かつてエリアドールの旧アルノール王国だったアルセダイン、カルドラン、ルダウアが魔国アングマールに滅ぼされ、野に潜伏したドゥーネダインの子孫が北方の野伏です。『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン2世が野伏です。ちなみにドゥーネダインは身体が大きく、歩幅も広いことから野伏時のアラゴルンはストライダーと呼ばれています。闇の勢力と戦う智略はWitsに反映されています。
Calling(コーリング)
TORのCAlling(コーリング)は、D&Dでいうところクラスにあたります。全部で6種類あり、「キャプテン」「チャンピオン」「メッセンジャー」「スカラー」「トレジャーハンター」「ウォーデン」があります。
- キャプテン・・・族長や隊長といったリーダーです。Leadershipを使えます。
- チャンピオン・・・逞しい戦士です。Enemy-Loreを使えます。
- メッセンジャー・・・危険なミドルアースでいち早く連絡するためのコーリングです。Folk-Loreを使えます。
- スカラー・・・伝承に詳しい学者です。Rhymes of Loreを使えます。
- トレジャーハンター・・・ビルボのような「忍び」です。Burglaryを使えます。
- ウォーデン・・・土地の守り手です。Shadow-Loreを使えます。
ターゲットナンバー(難易度)と属性
全てのキャラクターは「Strength(体力)」「Heart(心力)」「Wits(知力)」の基本となる能力値を持ちます。この能力値はキャラクターのコーリングによって決定するレーティングを20から差し引いた値が「TN:ターゲットナンバー(難易度)」となり、あらゆる判定の目標値となります。
- Strength(体力)・・・身体の強さ。この難易度が低いと体を使った行動が成功しやすくなります。
- Heart(心力)・・・心の強さ。この難易度が低いと精神面を活かす行動が成功しやすくなります。
- Wits(知力)・・・機転の速さ。この難易度が低いと頭や感覚を使った行動が成功しやすくなます。
また、「Strength」「Heart」「Wits」はHeroic Cultures(出身文化圏)によって「Endurance」「Hope」「Parry」に影響を及ぼします。
- Endurance(耐久点)・・・耐久力を表します。多ければ受けることができるダメージ量が増えるほか、装備品の負担にも耐えやすくなります。
- hope(希望点)・・・キャラクターの希望を表します。多いほど受けることができる闇の影響であるshadowが増えるほか、消費して追加ロールすることもできます。
- Parry(受け流し)・・・攻撃を受け流す能力です。高いほど攻撃を受けにくくなります。盾を装備することで上げることができます。
TORでは行動の成否は全て自分の能力から決まる難易度が目標となるため、レーティングが高い分野が自分の得意な分野と言えます。攻撃にしてもD&Dのように相手のアーマークラスを目標にするのではなく、自分の体力の難易度に相手のアーマーによる修正値を加算した値が目標となります。体力が低いと相手に攻撃を当てることが難しくなりますが、基本のダイスロールである1d12で「ガンダルフのルーン」を出すと成功するので、1/12の確率のダイス運次第でどうにかなります。
まとめ
いかがでしたか?日本語版「一つの指輪:指輪物語TRPGスターターセット」が発売されることでMERP以来、公式に日本語版として指輪物語を扱ったTRPGが帰ってきます。スタートセットでホビット庄を満喫することで、コアルールをより満喫できます。まずは一つの指輪のシステムに慣れるためにスターターセットで遊んでみましょう!