これから始めるダブルクロス3rd|人気の国産TRPGを紹介

TRPGの人気も高まりつつある今、「クトゥルフ神話以外のTRPGも何かしてみたい!」というプレイヤーも増えてきています。TRPGにはメジャー作品からインディー作品までさまざまなルールブックが存在しますが、国産で長い歴史を持つダブルクロスをご紹介します。

ダブルクロス3rd(DX3)とは

ダブルクロス The 3rd Edition(いわゆるDX3)は2002年に登場して以来、長きに渡り遊ばれている人気の国産TRPGで、現代を舞台として超能力を持つキャラクターが大切な人や日常を守るために戦います。演出などからもライトノベル作品などと相性がよく、現代物のテーブルトークRPGとして長年支持されています。第一版は2001年にゲーム・フィールドからB5判書籍にて出版され、2003年には『ダブルクロス The 2nd Edition』として最初のバージョンアップが行われました。この時に版元が富士見書房に変わり、著者クレジットにF.E.A.R.が追加されています。2009年に現在の『ダブルクロス The 3rd Edition』として2度目のバージョンアップが行われ、富士見ドラゴンブックからの文庫形態に変化して求めやすくなりました。ただ、サプリメントについてはB5判書籍として発売されており、ゲーム・フィールド発売のB5判書籍サプリメントや、富士見ドラゴンブックからリリースされているものがあります。

システム的には、守るべき日常の象徴として他の人との絆を表すロイスと、ロイスを喪失することで変化するタイタスという2つの絆の形が表現されています。キャラクターが日常を守るために特別な力を使えば使うほど、また大切な人との絆を失うほど、日常には戻りにくくなっており、NPC化してプレイヤーの手から離れる形でロスト(消失)します。

なお、ダブルクロス(Double cross)はTRPGだけではなく一般的に「裏切り」や「寝返り」といった意味を持ち、かつてジャイアント馬場が全日本プロレスと契約中ながらも新日本プロレスに移ったアブドーラ・ザ・ブッチャーに対してダブルクロスと表現しています。

レネゲイドと世界設定

ゲームの舞台は現代の日常です。ただ、20年前の平和な日常に未知のウィルスである「レネゲイド」が世界中に拡散されたことにより、そのウィルスに感染した人間は遺伝子情報が書き換えられ、超常の力を持つものが現れました。プレイヤーはこの超常の力を持つキャラクターをロールプレイすることで、日常に突発して発生する事件や事故、怪現象に立ち向かうことができます。普段は学生や会社員であるプレイヤーが実は特殊能力を持つ存在であり、人知れず日常の平和を守っている、といった世界に入り込むことができます。

シンドローム(超常の力)

シンドロームと呼ばれる超常の力は、レネゲイドに感染したことで遺伝子情報が書き換えられた人間が持つようになった超能力です。シンドロームはそのエフェクトにより分類されており、サプリメント分を合わせると現在13のシンドロームが存在します。

シンドローム名説明
エンジェルハィロゥ光を操る能力。レーザーによる攻撃のほか屈折率を利用した透明化、光による目眩し、五感の強化などバランスが良い。
バロール超重力のエネルギー球体を作り出し時空を歪める能力。重力と斥力を使い分けるほか、時間にも干渉できる。
ブラックドッグ電気を操る能力。発電細胞により発電し、電撃を打ち出したり磁力を操作する。また機械操作も得意とする。
ブラム=ストーカー自分の血液を操る能力。ダメージの軽減や自己回復など防御に長ける。また、血液そのものを武器にしたり、血液から従者と呼ばれるキャラクターを作成して操作する事ができる。
キュマイラ肉体の一部または全部を獣化させる能力。筋力強化による剛の身体操作系で近接戦闘に優れ、高い攻撃力と強靭さを誇る。
エグザイル肉体を自在に変化させる能力。柔の身体操作系でトリッキーな動きができる。近接戦闘を得意とするが、肉体変化により遠距離目標に近接攻撃を行う事もできる。
ハヌマーン反射神経と速筋をし強化し、スピードを上げる能力。高速で肉体の一部を振動させる事で振動波を発生させたり、ダメージを与えたり強化することができる。
モルフェウス物体を作り替える能力。武器や防具の生成や強化したり、砂を使用した戦闘を行うことができる。
ノイマン脳を強化し能力。演算能力が高まることで超高速思考や並列思考が可能になり、戦闘から支援や情報収集にもを力を発揮することができる万能型。
オルクス自分の周囲に「領域」と呼ばれる空間を発生させる能力。領域内では仲間の支援のほかにも地面を変えたり、動物を操ったりと多岐にわたる。
サラマンダー熱を操る能力。超高熱と超低温を操ることで、炎と氷による威力の高い攻撃を繰り出すことができる。
ソラリス体内で化学物質を生成する能力。化学物質は傷を癒す薬品のほか、毒性の高いものも作ることができる。また精神に影響を及ぼす効果もあるので敵を弱体化させたり、味方を支援することを得意とする。
ウロボロス他者のレネゲイドを吸収し、能力を模倣する能力。他のシンドロームのエフェクトを使用したり、他者の使用したエフェクトの効果を打ち消すほか、吸収したレネゲイドで自らの能力を強化する。また、影を操る能力も持つ。※『DX3』サプリメント『インフィニティコード』で追加

オーヴァードとジャーム

レネゲイドにより力を得た者は、理性を保ちシンドロームを使う超人であるオーヴァードと、レネゲイドに侵蝕されて人間性を失ったジャームが存在します。プレイヤーはオーヴァードのキャラクターをロールプレイします。基本的に超能力を持たない一般人はジャームと戦うことができないため、ジャームによる事件や事故はオーヴァードによって対処されます。

  • オーヴァード・・・レネゲイドにより得た超能力を使い、ジャームと戦う力を持つ存在。プレイヤーキャラクターはオーヴァードになる。
  • ジャーム・・・レネゲイドに身も心も侵蝕された存在。オーヴァードが闇落ちする場合もある。

侵蝕とは

侵蝕
オーヴァードは一部をレネゲイドに侵蝕されていることでシンドロームを使うことができますが、侵蝕が多ければ多い(侵蝕率)が高いほどその能力を発揮することができます。また、シンドロームを使うことで侵蝕率が高まっていくこともあり、レネゲイドの力は諸刃の剣とも言えます。侵蝕率が100%を超えてセッションが終了した場合、キャラクターはジャーム化してしまい、以降NPCとして扱われるようになります。つまり、完全に侵食されてしまうとロストしてしまうため、プレイヤーはシンドロームを使いつつジャーム化を避ける必要があります。

ロイスとは

ロイス
ダブルクロスでは現代社会で生きてく上で重要な人との繋がりをルール化したものにロイスがあります。ロイスの存在はキャラクターを日常に繋ぎ止める存在であり、ロイスに対しての感情を持たせることで、人間関係の面でキャラクターがどのような存在かを形作ります。キャラクターはロイスに対してポジティブな感情とネガティブな感情を持っているので、ロイスに関わる行動をどのように取るかを決定しやすくなっています。

ロイスを使うバックトラック

具体的にロイスは何に使うかと言えば、セッションのクライマックスの一番最後に使用されます。シンドロームを多用するクライマックス終盤になるとキャラクターの侵食率は上がっています。そのままではセッション終了時にジャーム化するのですが、キャラクターを日常に連れ戻すことができるか「バックトラック」をチェックします。この時、ロイスの数によって侵蝕率を低下させることができます。ロイスの存在がキャラクターを日常に繋ぎ止める絆とはこのことを意味します

タイタスとは

タイタス
セッション中にロイスを失うという劇的な展開が起こることがあります。ロイスはキャラクターを日常へ繋ぎ止める力を失うとタイタスへと変化します。タイタス化は簡単に起こすことではありませんが、セッション中の劇的な変化を求めるGMやプレイヤーにより以下のような理由で起こされます。

  • ロイスの死亡・・・ロイスが不慮の事故や犯罪に巻き込まれて亡くなる。キャラクターに喪失感など重大な影響を与える。
  • ロイスの裏切り・・・ロイスがキャラクターを欺くことでキャラクターはショックを受ける。
  • ロイスの拒絶・・・ロイスがキャラクターの真実を知り、拒絶することでキャラクターがショックを受ける。
  • ロイスへの負い目・・・ロイスに対してキャラクターがひどい負い目を感じ、心情に変化が現れる

タイタスの使用(タイタスの昇華)

ロイスがジャーム化を防ぐ手段であるのに対し、タイタスは「タイタスの昇華」を行うことで、キャラクターの危機的状況を回避する手段になります。効果は5つあり、どれもキャラクターにとってメリットは大きいですが、一度昇華させたタイタスは無くなります。

  • 判定時のダイス+10・・・決定的場面でのロールする時に使うと良いでしょう。判定前に決定する必要がある。
  • 判定の達成値+1D・・・決定的場面でのロール失敗時に使うと良いでしょう。判定後に決定できる。
  • 判定のクリティカル値を-1・・・クリティカルが発生しやすくする。ただし判定直前に使う必要がある。
  • 戦闘不能からの回復・・・戦闘不能から回復しHPも一部回復する。戦闘不能直後にのみ使用できる。
  • 不利な効果を打ち消す・・・バッドステータスやダイスへの影響を打ち消す。効果の範囲はGMと相談。

このようにタイタスの昇華は失われた絆を力に変えて危機的状況を打破する演出に最適です。

DX3の楽しみ方

TRPGの楽しみ方はさまざまですが、ダブルクロスでは現代を舞台にした超能力バトルを楽しむことができます。学園に生活圏に忍び寄る脅威を相手に、漫画のような演出で戦うことができます。また、力の代償もあるので、ジャーム化に抵抗しながらシンドロームを使うような影のあるキャラクターを演じることができます。ロイスの存在をロールプレイに織り交ぜることでより、だれでも主人公のように活躍できます。またDX3の世界を理解し、より楽しむために小説やリプレイもかなりの数発売されています。

まとめ

いかがでしたか?ダブルクロスは現代を舞台としたTRPGで超能力を持つキャラクターと人との絆を楽しむことができます。漫画やアニメでも展開できそうなほど世界観も掴みやすいので、イメージさえ固まっていれば初めてDX3をプレイするにしてもそう難しくはないでしょう。歴史の長いTRPGなので経験者も多く、優しくサポートしてくれます。現代ものTRPGを楽しみたくなったのであれば、ぜひともDX3を楽しんでみましょう!

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