D&D日本世界プロジェクト 歴史編|飛鳥・奈良時代の設定

D&D日本世界プロジェクトとはD&Dやフィフスエディションを使い、日本史のパラレルワールドを舞台とした日本世界を構築していく企画です。基本的には歴史をなぞらえるのでどこかで誰かがやってるということも考えられます。

日本世界の歴史 飛鳥時代・奈良時代

D&D日本世界(ニホンセカイ)の歴史は基本的にこれまでの日本史と同じであり、縄文時代・弥生時代・古墳時代・飛鳥時代・奈良時代・平安時代・鎌倉時代・室町時代・戦国時代・安土桃山時代・江戸時代・明治時代と続きます。世界には地獄へと続く言われる地獄の蓋があり、歴史に多く関わっています。実際には地獄だけでなく、フェイワイルドやシャドウフェル、そのほかの次元界にも繋がっています。地獄の蓋が開くことで多くのクリーチャーが出現するほか、悪意を持つ存在はその悪意による衝動が激しくなります。歴史上、権力を手にした者の多くは悪意または悪意ある存在に操られています。

飛鳥時代では国家が形成され、法律も整備されていきます。また、蘇我入鹿が悪逆の限りを尽くします。奈良時代では疫病が蔓延して多くの人命が失われ、疫病に立ち向かうべく鎮護国家計画が公布され、神社仏閣が力を持つようになり政治に関わってくるようになります。この時代にクレリックである法師や仏僧、パラディンである侍衛、モンクである修行僧や力士が発展していきます。

飛鳥時代(6世紀末〜710年)

飛鳥時代とは現在の奈良県にあたる「飛鳥の地」に都がある時代を指します。この頃より、豪族が貢献度により朝廷から氏名を受けることができ、特権的世襲制度である氏姓制度がはじまります。また、神仏の到来により信仰の領域が認知されるようになり、仏門である大日如来や阿弥陀如来などが信仰の対象になります。しかし、信仰が広まったタイミングで疫病も広がったことで排仏派と崇仏派による宗教戦争「丁未の乱」が発生し、排仏派のハーフエルフである物部守屋(モノノベノ・モリヤ)が崇仏派のヒューマン蘇我馬子(ソガノ・ウマコ)や聖徳太子(ショウトク・タイシ)によって朝廷から排除されました。

その後、蘇我馬子は権力を握り、反目した天皇を暗殺して女性である推古天皇を立てました。推古天皇を補佐する人物としての聖徳太子が摂政に着き、冠位十二階や十七条憲法を制定しています。

推古天皇と聖徳太子が死去した後、蘇我一族の蘇我蝦夷(ソガノ・エミシ)と蘇我入鹿(ソガノ・イルカ)の専横が酷くなり、聖徳太子の一族を滅ぼすなどして政を行うようになりました。しかし、645年にヒューマンの中大兄皇子(ナカノ・オオエノ・オウジ)とハーフリングの中臣鎌足(ナカトミノ・カマタリ)らが蘇我蝦夷と蘇我入鹿を討ち滅ぼし、大化の改新を起こすことで長きにわたる蘇我氏の支配から解放されました。

中大兄皇子が即位し天智天皇になったあと、海を越えた隣国を助けるために出兵(白村江の戦い)するも大敗を喫することになり、国防を中心に政治をするようになりました。国防では九州の太宰府を守護する水城(みずき)を立てたり、海岸を守備隊としてドワーフ防人を創設、地獄の蓋の守備隊創設などしています。天智天皇の死後、蘇我入鹿による呪いが活性化し、地獄の蓋が開き魑魅魍魎が出現し、都を襲いました。その間、天皇の早世や皇位継承問題も起こり都が大混乱しますが、文武天皇の母であり文武天皇死後に即位した元明天皇の指示により、710年に魍魎に支配されつつある飛鳥の地を破棄して、堅牢である平城京へ移ることになります。

種族日本世界での呼び名当時の説明
ハーフリング平原人(へいげんびと)日本全土で生息し、農耕を中心に生活している。中臣鎌足はハーフリング。
エルフ北方人(ほっぽうびと)北方(現在の東北や北海道)で狩猟をしながら生息。魔法に優れており、季節に応じて南下してハーフリングやヒューマンと交流がある。
ドワーフ南方人(なんぽうびと)南方(現在の九州南部や先島、沖縄などの離島)で植物が育ちにくい地域にて生息。
ヒューマン平野人(へいやびと)日本全土で生息している。政治の中心に多く在籍。
ドラゴンボーン竜人(りゅうびと)本土で見かけるのは稀。基本的に八丈島などの南の島で生息。信仰の対象になっている。
ティーフリング稀人(まれびと)その存在自体が稀。地獄の蓋が開いた後に登場。外見的に忌避される。蘇我入鹿はティーフリング
ノーム山人(やまびと)南アルプスを中心とした山岳地帯で生息。山彦を返す人と思われている。
ハーフエルフ呼び名なし北方またはその近辺で誕生したエルフとヒューマンの混血。物部守屋はハーフエルフ。
ハーフオーク呼び名なしオークとヒューマンの混血。数は少ないが巨体で力持ちということでハーフリングやヒューマンと共に生活をしていることもある。

丁未の乱(ていびのらん)

新しい信仰を広めたい蘇我馬子と阻止したい物部守屋を中心に繰り広げられた宗教紛争から始まった事変。もともとは蘇我馬子が病に倒れた理由をドルイドが占ったところ、「馬子の父である蘇我稲目が仏像を破棄した」ことが原因とされ、その祟りを避けるために馬子が天皇から仏法を祀ることを許可を得たことから始まりました。そのタイミングで疫病が流行ったことで、仏法をよく思っていない物部守屋が「病気は仏法が入ってきたためだ」とし、仏像を破棄や仏閣の破壊をしたりしました。それでも病は治らず、守屋も罹患してしまったことで結果として馬子の申し出が通り、仏像を祀ることができるようになりました。

ただ、争いはこれでは終わらず、物部守屋が新しい天皇を擁立しようとしたところ馬子が阻止し、大規模な戦闘に発展。巧みな指揮のもとに堅守で奮闘するファイターの守屋でしたが、クレリックである聖徳太子の参戦により状況は一変し、馬子の勢力に敗れました。

蘇我馬子(ソガノ・ウマコ)

ヒューマンの貴族で仏教に傾倒した大臣であるパラディン。クレリックの信仰の領域である大日如来や阿弥陀如来といったものが日本に普及することに尽力した。排仏派の物部守屋と激しく争い、皇位継承において崇峻天皇を立てることに成功しました。しかし、崇峻天皇とは反りが合わなかったため暗殺し、推古天皇を立てたことで長きにわたる蘇我氏による支配の基盤を作りました。

物部守屋(モノノベノ・モリヤ)

ハーフエルフの貴族で仏教を排除しようとしたファイター。市井に広がる疫病は仏法が入ってきたためだとし、仏殿を破壊し、仏像を運河に投げ込む過激派でした。また、尼僧を裸で吊るすなど暴挙にでるも、自身も病にかかりました。のちにこの宗教問題は皇位継承問題に発展し、蘇我馬子と争いに敗れています。

聖徳太子(ショウトク・タイシ)

丁未の乱で蘇我馬子に着いたヒューマンのクレリック。推古天皇の時に摂政につき、幅広く人材登用を行うように取り決めた冠位十二階や、道徳的規範を示し仏法の信仰を広めることに繋がった十七条憲法を制定しています。また、仏閣などを積極的に建立しています。

政令説明
冠位十二階大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智・小智の12階の冠位が制定し、この政令により家柄にこだわらず貴族ではなくても有能な人間を確保する人材登用が行われるようになった。それまで政の中心はヒューマンであったが、すべての種族が政治に関わるようになった。また、この冠位は組織化されたことをアピールする上で外交の面でも効果があった。
十七条憲法官僚や貴族に対する道徳的な規範が示されたほか、思想面で仏法などの影響を大きく受けている。その結果、多くの人に仏法が広まった。

大化の改新

大化の改新は645年に蘇我蝦夷の暗殺である乙巳の変(いっしのへん)から始まり、初めての元号となる大化の使用、翌年の改新の詔の公布までに行われた改革を表します。大化の改新が行われたことにより、悪鬼に支配されていたヤマト朝廷が正しい姿へと変わる政治的転換点を迎えます。

蘇我蝦夷(ソガノ・エミシ)

蘇我馬子の子であるヒューマン。秩序にして悪。もともと意志が弱い人物だったが、父・馬子が死んだ後に地獄の蓋から出てきた悪鬼の誘惑に負ける。推古天皇と聖徳太子死後に人が変わったように傍若無人に振る舞い、聖徳太子の一族を滅ぼしました。645年に中大兄皇子と中臣鎌足に暗殺されました。

蘇我入鹿(ソガノ・イルカ)

蘇我蝦夷の子で蘇我馬子の孫にあたるティーフリングのウィザード。両親はヒューマンだが、隔世遺伝なのか祖先の影響なのか突如ツノを持って生まれた。混沌にして悪。父・蝦夷は悪鬼に唆されて悪事を働いていたが入鹿は生来の悪であり、日常的に悪事を働いていました。蝦夷が暗殺されたことで自身も危ないことを悟り、呪いの言葉を発して自害しました。この時の呪いはのちに飛鳥の地を覆うこととなり、奈良時代で力を付けた入鹿は不死の存在であるリッチとし蘇りました。

中大兄皇子(ナカノ・オオエノ・オウジ)

悪政により民を苦しめていた蘇我蝦夷と入鹿を討ち滅ぼしたヒューマンのファイター。第二皇子であり、のちに即位し天智天皇となった人物。乙巳の変から始まる大化の改新を導いています。

中臣鎌足(ナカトミ・ノカマタリ)

中大兄皇子と共に蘇我氏を滅ぼしたハーフリングのバード。乙巳の変では詠み歌で周囲を支援しました。のちにウィザードの大家となる藤原一族の始祖にあたる人物で、死ぬ前日に天智天皇から藤原姓を授かっています。多才であり、バードとしての詠み歌も「万葉集」に収められています。

遣隋使(けんずいし)

飛鳥時代に隣国の制度を学ぶべく派遣された一団。結果として相手を怒らせているが全部で3回派遣され、2回目に小野妹子が使節として参加している。

小野妹子(オノノ・イモコ)

隣国への派遣されたノームのバードで男性。芸能分野においてイケノボウ流では「華道の祖」とされている存在です。

奈良時代

蘇我入鹿の呪いにより飛鳥の地が魍魎に溢れることを危惧した元明天皇が平城京へ遷都した時期から奈良時代は始まりました。この時代は飛鳥の地から各地に広がった魍魎が猛威を奮っており、脅威に対抗すべく仏法や神格への信仰が盛んになりました。また、政治的にも交易としても各地方との交流も盛んになり、多種族が入り乱れるようになりました。エルフの生息する北方の蝦夷(エゾ)にも魍魎が多く出現し、エルフだけでなく他種族と共闘することを選びヤマト朝廷と交流を持つようになりました。また、南方の奥地や離島に住むドワーフ、南の島で崇められていたドラゴンボーンなどとの交流も増え、都や港町では多くの種族が交流するようになりました。ただ、ティーフリングだけはこの時期でもまだ忌避されています。

この時代では中臣鎌足の子であるハーフリングのウィザード藤原不比等(フジワラノ・フヒト)が政権を握り、藤原家の発展の礎を築きました。藤原不比等の4人の子は政権を握っていましたが、4人とも同時に疫病により死亡すると政敵であるヒューマンのウィザードである橘諸兄(タチバナノ・モロエ)に権力移り変わりました。この疫病は人口の4割を失いほどの被害に発展しました。朝廷はこの疫病の根源である不死の勢力と戦うべく寺院の建立や信仰を持つことを奨励し、宗教による「鎮護国家」成立を目指し、多くのクレリックやパラディンなどを育成しました。

この戦いでウィザードの名家である藤原南家のハーフリング藤原仲麻呂(フジワラノ・ナカマロ)が台頭し、橘諸兄から実権を奪うことに成功。しかし、仲麻呂の後ろ盾となっていた親族を次々と亡くなり、代わりにノームのクレリック道鏡(ドウキョウ)が力を持ち始めます。その権力は長く続かなかったことから仲麻呂は武力による謀反(藤原仲麻呂の乱)を起こします。一時は朝廷軍に圧勝していましたが、わずか一週間で形成が逆転し仲麻呂は戦死します。これは仲麻呂軍の兵士がゴブリンやオークといった混沌の勢力を多く都合つけたことで、負け戦が始まると指揮の混乱から耐えきれず崩壊したためです。

道鏡が766年に法王になり、一族の者や配下の僧を政治の役職に据えたことで、寺院が政治に介入するようになりました。道鏡は自分が天皇になるように神託が降ったとして皇位を狙うものの失敗し失脚(宇佐八幡宮神託事件)。寺院の腐敗によりパラディンやクレリックが堕落し、祝福を失いつつある都に再び暗雲が立ち込め、悪鬼や魍魎が出没するようになる。桓武天皇は寺院が腐敗したままでは悪鬼に飲まれると考え遷都を決意し、794年に平安京へと都を移した。

種族日本世界での呼び名当時の説明
ハーフリング平原人(へいげんびと)日本全土で生息している。中臣鎌足はハーフリングであり、藤原姓もその流れを組む。
エルフ北方人(ほっぽうびと)北方(現在の東北や北海道)で狩猟をしながら生息。奈良時代に蝦夷としてヤマト朝廷と交流を持つようになる。
ドワーフ南方人(なんぽうびと)南方(現在の九州南部や先島、沖縄などの離島)で植物が育ちにくい地域にて生息。飛鳥時代にドワーフ防人といった日本海を守るガーディアンを結成する。
ヒューマン平野人(へいやびと)日本全土で生息している。政治の中心にいる。
ドラゴンボーン竜人(りゅうびと)基本的に八丈島などの南の島で生息。奈良時代にヤマト朝廷と交流を持つようになり都や港で見かける。
ティーフリング稀人(まれびと)広く人材登用が行われる都では見かけるようになる。
ノーム山人(やまびと)南アルプスを中心とした山岳地帯で生息。政治に関わるものも出てきており、皇位を狙った道鏡はノームのクレリックである。
ハーフエルフ呼び名なし北方またはその近辺で誕生したエルフとヒューマンの混血。特に地域で受け入れられないということはない。
ハーフオーク呼び名なしオークとヒューマンの混血。その巨体は労働力と戦闘力として価値があり、普通に受け入れられている。

疫病

奈良時代には疫病が猛威を震い、人口の4割は死亡する大災害となります。この疫病は飛鳥の地に出現したアンデッドの軍勢によって発生しており、死肉を食らった野獣が各地へ広めました。飛鳥の地にはリッチとなった蘇我入鹿(ソガノ・イルカ)が死者の軍勢を呼び出しており、平城京へ攻め入る準備をしていました。朝廷は対抗策として鎮護国家計画として宗教を推奨し、神の加護を得たパラディンやクレリック、モンクを多く揃えて不死の軍勢と戦いました。中でもハーフリングのウィザードである藤原仲麻呂(フジワラノ・ナカマロ)は大日如来のパラディンを引き連れ、光の力で不死の軍勢を駆逐してリッチを討伐することに成功した。

リッチ

飛鳥時代に中大兄皇子と中臣鎌足により追い詰められ自害したティーフリングである蘇我入鹿。天皇と藤原家に対して強い恨みを抱いている。天智天皇が亡くなったことで呪いを押さえつけていた力が弱まり、リッチとして蘇り不死の軍団を作り始める。疫病は不死の軍団を作る際に発生する腐敗したものが各地へ広がり発生した。

橘諸兄(タチバナノ・モロエ)

ヒューマンのウィザード。疫病の発生からリッチの存在を突き止め、対抗するために鎮護国家計画を立案する。これは鎮護国家を目指すことで宗教を普及させ社会不安を解消し、疫病と闘うというプロジェクトであり、主な内容は以下のことが実施されました。

  • 遷都の禁止
  • 国分寺建立
  • 東大寺大仏建立

民草の生きる力を引き出すことに役に立ちました。

藤原仲麻呂(フジワラノ・ナカマロ)

中臣鎌足の子孫であるハーフリングのウィザード。藤原家の陰陽師としてリッチ討伐の功績を上げた。その後権力を握るもすぐに後ろ盾を失ってしまう。武力には自信があったため謀反を起こすが、配下であるゴブリンやオークの統制が取れず謀反に失敗してしまう。

道鏡(ドウキョウ)

天皇の寵愛を受けたノームのクレリック。藤原仲麻呂が力を持たないように動き、法王にまで上り詰めました。一族のノームや配下のクレリックをさまざまな要職に据えて政治をコントロールしていました。天皇に子供がいないことに目をつけ、「道鏡が天皇になると天下泰平になる」と宇佐八幡宮で神託があったとし、皇位を狙うも失敗。道鏡が寺院の腐敗を招いたことで、平城京には再び暗雲が立ち込めるようになりました。

まとめ

いかがでしたか?D&Dやフィフスエディションで日本史で遊ぶための日本世界の設定で飛鳥時代と奈良時代をまとめたものです。NPCとして登場できる人物として聖徳太子や中臣鎌足などが登場します。奈良時代になると公益も活発になり、あらゆる種族が登場していきます。またウィザードである陰陽師も登場するのでクラス制限もなくなるでしょう。

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