D&D初心者向けファイターの基本的なロールプレイ方法
目次
これからダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)をプレイしようと思ったら職業(クラス)は何を選ぶでしょうか?特別に用意されたキャラクターを演じるのでなければ、ファイター(特にチャンピオン)が初心者であれば一番ロールプレイがしやすいです。そこでD&D初心者がファイターをどうロールプレイするのか、基本的なファイターのロールプレイを解説します。
ファイターとは
D&Dのファイター
は重い鎧を身に纏い大剣を振り回す、軽装ながらもキレのある剣捌きで敵を打ち倒すなど、鍛えた肉体と卓越した武器の取り扱いに優れたクラスです。D&Dではベーシックルールからある戦闘職であり、直接モンスターと対峙し合うことも多いです。一般的な兵士などに比べると武器や戦闘の知識と経験は幅広く、一度戦っても生き残りやすいことでしょう。
また物語をしていると何かとNPCに頼られやすいというのもあります。これはDM次第ではありますが、何か問題事を腕っぷしの良い冒険者に助けてもらうというファンタジーもののテンプレに他なりません。強そうに見えることこそファイターの特徴と言えるでしょう。
ファイターが初心者におすすめの理由
D&Dでは様々なクラスがありますが本当に初心者であればファイターをおすすめします。武器を持ち、直接戦うことがメインです。そのため行動に迷いはありませんし、よほどの強敵を相対時しない限り簡単には死にません。1ターンでの攻撃回数が上昇することで、強力な攻撃で手数を増やすことができ、呪文に頼ることなく活躍することができます。
長く戦っても生き残りやすい
ファイターは長く戦っても直接的な戦闘では比較的死ににくいです。それにはヒットポイントの高さや自己回復など身体能力の高さから伺えます。
ヒットポイントが高い
打たれ強さを表すヒットポイントを決定するダイスはレベル毎に1d10(ロールなし固定で6)です。ファイターになるキャラクターの能力値では耐久力が高いものが多いため、レベルアップをするたびにヒットポイントは伸びていきます。これはバーバリアンに次いで2番目(パラディンと同値)の高さです。
ヒットポイントは【1d10+耐久力修正値】。
ファイターレベルが上がる毎に【1d10+耐久力修正値】追加。ロールせず固定の場合は【6+耐久力修正値】。
ピンチでは底力で回復できる
ヒットポイントが減った時にファイターは自力でヒットポイントを回復する方法があります。それは「底力」でボーナスアクションを用いることで1d10+ファイターレベルのヒットポイント分回復させることができます。ただこの特徴は一回しか使えず、再度使用するには2時間以上の小休憩を取る必要があります。
「底力」による回復は【1d10+ファイターレベル】。耐久力の補正はつきません。
不屈でセーヴィングスローのやり直しができる
セーヴィングスローに成功することは生命への危険を回避または弱めることができますが、失敗するとその危険が大きく降りかかります。ファイターはレベルが9以降になると「不屈」を使うことで失敗したセーヴィングスローをやり直すことができます。大休憩を取ることで使用回数は元に戻ります。
レベル | 不屈の使用可能回数 |
---|---|
1~8 | 0回 |
9~12 | 1回(大休憩毎) |
13~16 | 2回(大休憩毎) |
17~ | 3回(大休憩毎) |
「不屈」を使えばやり直しが可能。ただし回数制限あり。回数は大休憩を取ることで回復する。
能力成長半端ない
ファイターはレベルが4・6・8・12・14・16・19になると任意で能力値を2ポイント分上げることができます。この7回の成長はすべてのクラスで最高の成長回数を誇ります。
すべての武器・鎧が使える
ファイターは経歴上どこかで訓練を受けており、「すべての鎧」「盾」「単純武器」「軍用武器」において習熟ボーナスを得ます。このありとあらゆる武器防具を使用できることで、ファイター特有の幅広い戦闘スタイルを実現することができます。攻撃を防ぐ指標のアーマークラス(AC)も高い上に重装鎧も装着して動き回ることができるため、防御の面でも優れています。
幅広い戦闘スタイル
武器・鎧の扱いに長けていることから戦士には幅広い戦闘スタイルを選択することができます。選んだ戦闘スタイルによって特性が変わり、戦闘スタイルにあった条件で戦闘すればボーナスを得ることができます。サブクラスがチャンピオンの時のみ追加で戦闘スタイルを修得することが可能です。
戦闘スタイル | ボーナス条件 | ボーナス |
---|---|---|
片手武器戦闘 | 片手で武器を持ち、もう片手が武器を持っていないか盾を持っている状態 | 片手武器のダメージロール+2 |
弓術 | 遠隔攻撃 | 攻撃ロール+2 |
護衛 | 盾装備した状態で、敵が5フィート以内の仲間を攻撃 | リアクションを用いてその攻撃に不利を付ける |
二刀流 | 両手が軽武器装備した状態 | 2つ目の武器のダメージロールに能力修正値が加算できる |
防御 | 鎧を装着した状態 | AC+1 |
両手武器戦闘 | 両手用または両用の武器で攻撃 | ダメージロールの目が1か2であれば再ロール可能。再ロール結果は必ず使う。 |
非視覚戦闘*(Blind Fighting) | 暗闇や盲目状態 | 10フィート内の盲視能力を持つ。暗闇や盲目状態でも完全隠蔽ではないのであれば見えない存在を見ることができる。※ターシャの万能釜で追加 |
迎撃*(Interception) | 盾・単純武器・軍用武器装備時に5フィート以内の仲間を攻撃 | リアクションでその攻撃を妨害することができ1d10+習熟ボーナスのダメージを減少できる。※ターシャの万能釜で追加 |
優れた戦技*(Superiop Technique) | 両手用または両用の武器で攻撃 | バトル・マスターの戦技を一つ習得する。戦技ダイスはd6が一つ使える。選択できる戦技の数が違うがPHBの特技の「戦技のたしなみ」と同様。※ターシャの万能釜で追加 |
投擲*(Thrown Weapon Fighting) | 投擲による遠隔攻撃 | 投擲武器によるダメージロール+2。※ターシャの万能釜で追加 |
素手戦闘*(Unarmed Fighting) | 武器を持たないで攻撃 | 素手による攻撃で1d6+筋力修正値の打撃ダメージを与えることができる。攻撃ロール時に武器や盾を使用していなければd8になる。自分のターン開始時に組み付いている相手に1d4の打撃ダメージを与えることができる※ターシャの万能釜で追加 |
兵士の汎用性/Martial Versatility(オプションルール)
ターシャの万能釜で追加されたルールですが、能力値が上がるレベルに到達した時に1つの戦闘スタイルの変更が可能です。またバトルマスターの戦技1つの変更も可能です。
この特徴はオプションルールのため適用するかはDMが決定します。
怒涛のアクション
ファイターには1ターン中に2回のアクションを行うことができる「怒涛のアクション」があります。この特徴を使うと1ターンの間に限界を超えて行動ができるもので、2回攻撃や攻撃と援護、攻撃と別のアクション、何かのアクション2つといった形で行動することができます。この特徴は小休憩以上の休憩で回復します。なおアクションが増えるため追加攻撃の回数が多いファイターにとっては圧倒的手数で攻撃を繰り出すことができます。
「怒涛のアクション」は1ターンの間倍速で動き、2回のアクションを行うことが可能。ボーナスアクションも併用可能。使用後は小休憩以上すれば回復する。
1ターンで複数回の追加攻撃
ファイターはレベルが上がると単純に1ターンでの攻撃回数が増します。最初に攻撃回数が増えるのは5レベルで、4レベルと強さに雲泥の差があります。なお攻撃の回数分戦闘ロールが必要です。また二刀流の場合は一回はボーナスアクションを使用しているため、片手2回攻撃+もう片手一回攻撃の3回攻撃になります。また攻撃の一回を突き飛ばしに変更することもできます。レベルが上がると追加攻撃の回数は増え、20レベルでは4回まで増加します。これは「怒涛のアクション」による追加アクションの攻撃にも適用されるので、高い攻撃力を見せつけることができます。
追加攻撃の例 | 処理 |
---|---|
通常攻撃 | 2回攻撃ロール |
二刀流 | メイン武器で2回攻撃ロール+サブ武器でボーナスアクション使用しての攻撃ロール |
攻撃+突き飛ばし | 攻撃は攻撃ロール。突き飛ばしは自分の「筋力」運動技能と相手の「筋力」運動技能または「敏捷力」軽業で対抗ロール |
戦闘ではやることが明快
ファイターに求められることは戦うことと守ることの2つです。たった2つですが、D&Dにおいてこれは主軸となります。戦うこととは強靭な肉体を武器に困難に立ち向かい打ち砕くことで、守ることは強靭な肉体を武器に大切なもの(人)を守り抜くことです。そのためヒロイックな行動が取りやすい職業とも言えます。
DM及び他プレイヤーがファイターに求めるものは「戦うこと」「守ること」の二つ
戦士の類型
ファイターは3レベルになるとどのような道を進んでいくのか決定する必要があります。基本のファイターがより強くなったチャンピオン、戦技を使い戦いを優位に進めるバトル・マスター、戦闘技術と魔術を組み合わせて戦うエルドリッチ・ナイトの3パターンがあります。またザナサーの魔法全書ではアーケイン・アーチャー、キャヴァリアー、サムライが、ソードコーストではパープル・ドラゴン・ナイトが、ターシャの万能釜ではサイ・ウォーリアーとルーン・ナイト、「Explorer’s Guide to Wildemount」でエコー・ナイトが追加されています。
サブクラス/戦士の類型 | ルールブック | 説明 |
---|---|---|
チャンピオン | PHB | 肉体を研ぎ澄まし攻守どちらにも対応できる戦士 |
バトル・マスター | PHB | 戦技を繰り出す戦闘の達人。バトル・マスターのビルドはこちら |
エルドリッチ・ナイト | PHB | ファイターの戦闘技術と秘術を組み合わせて戦う魔法戦士 |
アーケイン・アーチャー | XGE | 射撃に魔法を込める弓術の達人 |
キャヴァリアー | XGE | 防御にも優れた騎乗戦闘の達人 |
サムライ | XGE | 峻厳なる闘志で敵を討つ戦士 |
パープル・ドラゴン・ナイト | SCAG | 戦いで勇敢な行動をとることによって鼓舞する騎士 |
サイ・ウォーリアー | TCE | 内なる力に目覚めた超能力戦士 |
ルーン・ナイト | TCE | 巨人に端を発した古代の慣習であるルーンの超自然的な力を使用して強化する戦士 |
エコー・ナイト | EGW | エコーを呼び出すことができる戦士 |
なお戦士の類型はターシャの万能釜でファイターレベルが4の時点で得られる「戦士の多様性(Martial Versatility)」が追加され、これにより他の戦闘スタイルに変更したり、バトル・マスターであれば他の戦技に変更することができます。
ファイターに求める能力値
多くの人はファイターには強さを求めており、その強さの裏付けとなる能力値が高いものを望んでいます。そしてどのような戦闘スタイルを取るかによって優先すべき能力値が変わります。例えば戦闘では主に両手剣を振り回したいのであれば「筋力」が優先され、レイピアで華麗に捌きたいのであれば「敏捷力」が第一に選ばれます。次に前線で戦い抜く上でも「耐久力」が良いです。ただし、魔法剣士のスタイルを目指すのであれば「耐久力」ではなく「知力」を優先した方が良いでしょう。
戦士の型 | 優先する能力値 |
チャンピオン、バトル・マスター、キャヴァリアー、サムライ、パープル・ドラゴン・ナイト、ルーン・ナイト、エコー・ナイト | ①筋力 ②耐久力 |
エルドリッチ・ナイト、アーケイン・アーチャー、サイ・ウォーリアー | ①筋力 ②知力 |
おすすめのロールプレイ方法
ここまでくればファイターがどのようなクラスかはわかったと思います。そこでロールプレイ方法も掴めてきたと思います。
戦闘時のロールプレイ
ファイターの戦闘の基本は戦うことと守ることにあります。高いアーマークラスと多いヒットポイントは最前線で敵と戦うのにうってつけです。そして、アクション、ボーナスアクション、リアクションをフルに活用して目の前の敵を倒していきます。他に戦闘力が高いものがいるのであれば援護を使って敵に隙を作るというのもアリです。パーティーにパラディンなど他にも守れるものがいるのであれば攻撃に特化した戦闘スタイルで高ダメージを狙うのも良いでしょう。
- ポジショニング ・・・ 最前線に立ち、敵と守るべき対象(NPCやヒットポイントの少ない仲間)との間に入る。
- アクション ・・・ 基本は目の前の敵を狙う。移動を織り交ぜポジショニングを維持しながら攻撃ロールする。
- ボーナスアクション ・・・ 必要であればボーナスアクションを使う。回復させたい時は「底力」を使う。
- リアクション ・・・ 敵の移動などで機会攻撃が発生したら即座に攻撃する。
基本的にはこの繰り返しです。DMが戦略的であればあるほどポジショニングが意味を成します。またボーナスアクションの使い方も重要です。初心者である場合、あまりポジショニングは求められないかもしれませんが考えて動く癖をつけるためにも、どこで戦うのが一番ベストかを考えてみましょう。戦闘スタイルやサブクラスによってファイターに求められる役割も大きく変わることがあるので柔軟に対応しましょう。
非戦闘時のロールプレイ
非戦闘時は腕っぷしの強さを買われたてシナリオが動くこともあります。戦えるキャラクターということは厄介ごと(酒場での喧嘩など)も降りかかりやすいので、喜んで相手をしましょう。ただ肉体派だから何もできないということではなく筋力や敏捷力で解決できることは積極的に関わると良いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ファイターの特徴やロールプレイの参考情報などから基本的なファイターの動き方は理解できたと思います。ファイターはできることが少ない分、何ができるのかが明快ですし、何より激しい戦闘を終えても無事でいる可能性も高いです。またクリティカルや攻撃回数が多いことなど一番成長するクラスでもあるので、初心者には一番おすすめのクラスと言えるでしょう。