SAN値チェックとは|クトゥルフ神話TRPG初心者でもわかる正気度ロールの使い方と目安
目次
漫画にも出てくるほどSANチェックというワードが出てきています。ただ、元々がTRPGでの判定方法の一つであるためこの言葉が一体なんなのか?という方もまだまだ多いです。そこでクトゥルフ神話TRPGの初心者のみならず、漫画からでも興味を持った方にSAN値チェックについて解説します。
SAN値チェック(SANチェック)とは
SAN値チェックまたはSANチェックとは探索者の精神状態を判定する方法です。SANとはSanityの略で、日本語で「正気」を意味します。かつては「SAN値チェック」または「SANチェック」と言っていましたが、現在のルールでは「正気度ロール」と表現が変わっています。このロールは探索者が怪異な減少に遭遇した時に正気を保てるかを確認するもので、失敗する事でSAN値(正気度)を失います。
探索者はいつどこで恐怖に遭遇するかわかりません。ルールブックではその恐怖との遭遇を次のように表記しています。
「探索者がこの世ならざる恐怖、異界のクリーチャー、クトゥルフ神話の恐るべき宇宙的真実と遭遇し、それら全てが探索者の精神状態と正常な感覚を脅かし、探索者を正気の限界へと追い込むだろう。場合によってはその経験が重いものとなり、 不幸な探索者が一時的に、あるいは期間が不定の、あるいは永遠の狂気に陥ることもあるだろう。
クトゥルフの場合、ファンタジー系と違って戦闘はさほど重要ではなく、どちらかといえば不必要な戦闘は避けた方が良いゲームです。主に事件や問題に巻き込まれたり解決したり、はたまた謎の探求を行う中で正気度を失っていくスリルを楽しみます。そしてその正気度を失うスリルを演出するのがSAN値チェックです。
SAN値チェックの使い方
キャラクターである探索者には正気度ポイントというステータスがあります。正気度ポイントはゲーム開始時、POW(精神力)と同じ値になります。そしてロールプレイ中に探査者が何かの恐怖やこの世のものじゃない真実にたどり着いた際にSAN値チェックが行われます。1d100(1~100の乱数)の値が現在の正気度ポイント以下であればロールは成功し、正気度ポイントより上であればロールは失敗します。なおロールに失敗するとその正気度の損失次第では正気を失ったロールプレイが求められます。
ロールの成否は正気度ポイントの損失に影響があり、失敗すると多くの正気度ポイントを損失し、何か一つ無意識の行動を行います。正気度ポイントを失うことで一時的狂気、不定の狂気、永久的狂気に陥る事があります。狂気を演じることがゲームを楽しむ上での大きな要素でもあるので、キーパーは演出上大切な部分に山を持って来れるようSANチェックの使い方を考えておく必要があります。
日常会話で使う場合は、理不尽なことや嫌なことなどでストレスに感じた時に「SAN値チェックです」と使いましょう。また、他の人に嫌がるようなことを言い渡す必要がある場合は「それではSAN値チェックです」と前置きしておけば、クトゥルフを理解している人には伝わります。
失敗時に起きる無意識の行動の例 | 内容 |
---|---|
声が出なくなる | 恐怖により体がすくみ、口がパクパクする。 |
恐怖で飛び上がる | 恐怖により体がすくみ何か物を落としてしまう。 |
恐怖で悲鳴を上げる | 恐怖により大声を出して注意をひいたり、その場にそぐわない発言をする。 |
無意識の動作 | 恐怖のあまり体が思いがけない動きをする。 |
無意識の戦闘行動 | 戦闘中の場合、キーパーにアクションを指示されることがある。 |
凝固 | 一瞬、驚き動きが止まる。アクションが行えない。 |
SAN値チェックでのファンブル
SAN値チェックでファンブルだった場合、その時に生じる可能性のある正気度ポイントの損失を最大分失います。その結果、ほとんどの場合が狂気に陥りやすくなります。
正気度ロールの結果 | 正気度損失 |
---|---|
成功! | 0またはごく僅か |
失敗・・ | ダイスの目の値 |
ファンブル・・! | ダイスの目の最大値 |
なお一度狂気に陥ると狂気から覚めても潜在狂気を抱えたままとなり、よりロールプレイを楽しめるようになります。
SANチェックの目安
オリジナルのシナリオにおいてSANチェックは何回行われるか、についてはキーパーの判断であるため回数制限はありませんがシナリオで何ポイント減少させたいかが重要になります。これは期待値の計算で考えると良いでしょう。たとえばシナリオ開始時の探索者全員の正気度の平均を出し、
SANチェックの失敗する確率を出します。次にSANチェック失敗で損失量の期待値をそれぞれ出し、失敗確率を掛け合わせ合計します。
- シナリオで損失させたいSAN値を決める
- SANチェック失敗確率を出す
- SANチェック失敗で失われるポイントの期待値をそれぞれ出す
- 失敗確率に失われるポイントに期待値を掛け合わせて合計を出す
実際にはこの通りにはいかないですが、損失量の目安を考えるにはこれで十分です。
SAN値チェックができるツール
実際にSANチェックを行うには1d100でダイスロールを行います。現実のダイスであれ、ウェブダイスであれ、ダイスアプリであれ自分が一番使いやすいものまたはセッションで使っても問題ないものを選ぶことが大切です。例えばリアルのダイスではオンセでの判定には使えませんし、オフセであればリアルのダイスが好まれます。状況を見てベストの選択をしましょう。
10面体のダイスを使う
もし10面体のダイスを持っていればそのままロールすればよいですし、ブラウザで使うことができるダイスロール機能でもSAN値チェックは可能です。またダイスアプリを使うという手もあります。10面体を2個もしくは1個を2回振り、一つの目を10の位にしもう一つを1の位にします。どちらの目も0だった場合は100とすると、ダイスロールは1~100の間の目(1d100)を同じ確率で発生させます。それが探索者のPOWより大きければロールに失敗しPOWにダメージを受けることになります。
ウェブダイスを使う
インターネットやスマートフォンが普及したことでダイスアプリが多く開発されました。オンセツールにもダイス機能があるのでセッション時のSAN値チェックはそのツールを利用すると良いです。そのほかにウェブアプリでブラウザでロールするウェブダイスをいくつかご紹介します。
クトゥルフ用のWEBダイス
当サイトにもダイス機能を実装しました。SANチェックである1d100もボタンひとつでロールできます。
クトゥルフ用ダイスロール
Google サイコロを振る
Googleで「サイコロを振る」と検索した時に検索結果ページで使えるダイス機能です。各種ダイスに対応していますが1d100はありません。その代わり実際のだいすロールの用に1d10を2個振ることも可能なので、左側を10の位に、右側を1の位にすることで1d100に対応します。こちらもSAN値チェックでも十分使うことができます。
TRPG以外でSANチェック・SAN値が出てくるもの
クトゥルフ神話関連のゲームや動画が普及したことでごく一部の方々がSAN値を狂気に関連する表現として使うようになりました。漫画でも出たり、SNS上で流行った診断メーカーにも大量にSANチェック関連のものがあります。TRPG以外で使われたということは市民権を得たもしくは得ようとしているキーワードになっています。
SAN値が出てくる漫画・アニメ
漫画やアニメなどに出てくる分にはさらっと「SAN値」というフレーズを織り込んでいるため、クトゥルフを知らない人には一体なんなのかわからなかったと思います。そのため、新たに調べる人がいて普及した要因になったと言えます。
ヲタクに恋は難しい
ヲタク恋とも言われる映画化もされた人気漫画「ヲタクに恋は難しい」で「SAN値(正気度)がピンチなのでチェック行ってきます」と喫煙所に行くシーンがあります。
ヲタクに恋は難しい: 10 (comic POOL) |
這いよれ!ニャル子さんW
「這いよれ!ニャル子さんW」 のオープニングテーマ「恋は渾沌の隷也」のコーラス部分でSAN値ピンチというワードが何回も出てきます。
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SANチェック診断メーカー
SANチェックを行う診断チェックメーカーが多数あります。ただ、もともとのSANチェックを知らないと数多くある診断メーカーの中から使うことはないので、どちらかと言えばクトゥルフ好きのためのものと言えます。
SAN値チェックのお時間です
SAN値チェックしたったー
あなたのリアルSAN値
SAN値をチェックする診断アプリはまだ多くの種類があります。
まとめ
いかがでしたか?TRPGのみならず漫画やSNSでも活発に使われるなどSANチェックも市民権を得てきたのではないでしょうか。また「狂気に近づくかもしれない」という状況を表現するのにぴったりの言葉とも言えます。日常で精神的に疲れたり、何か身の毛もよだつほど恐ろしいものを目撃した時に「SAN値チェックしてくる」と言って冷静さを取り戻そうと努力するのは、精神衛生上にも良さそうですね。
SANチェックをフルに楽しむためにルールブックは必要です。6版・7版とあるので自分に合う方を用意しましょう。