SAN値とは|SAN値が多い人・少ない人の特徴と決定方法
目次
SAN値
ってなに?と一部で話題になったことがある言葉がありますが、この単語はクトゥルフの人気が根強い今でも検索されている単語です。TRPG界隈では当たり前のように知られている言葉がどのように広まり、今どのようにして使われているのか。またどう使うと良いのか、例文などを合わせてSAN値について解説します。
SAN値とは
SAN値とはSanityの略で正気を意味する英単語です。クトゥルフ神話TRPGにおいて一番重要な指標といえばほとんどの人がSAN値(正気度)と答えるでしょう。
1920年代にH.P.ラヴクラフトが作り上げた世界を元にTRPGとして誕生した「クトゥルフの呼び声(Call of Cthulhu)」はベーシックロールプレイングというルールブックを採用していました。その中でホラーの要素を表現すべく追加された指標がいわゆる「SAN値」です。
SAN値が減少すると発狂する
もともとTRPGでプレイヤーの分身である探索者の正気度を表すものであり、探索者は正気度を失うことで発狂するというスリルを楽しむものでした。ゲームを司るキーパーはクトゥルフ神話TRPGのシナリオを通じて探索者に恐怖体験や理解できない世界の生物との接触、神の招来など体験させることで心にダメージを与えます。心にダメージを負うことはSAN値を失うことを意味しており、SAN値が0になってしまうと心が崩壊していしまいます。
SAN値の失い方によっては一時的発狂と不定の狂気、永久的狂気という形で探索者を狂気の世界へ誘います。一時的発狂は1~10時間程度の発狂で、不定の狂気は治療しなければずっと続く狂気、永久的狂気は回復することがない心の崩壊を表しており、SAN値=発狂を印象付けるものとなっています。
SAN値が注目された理由
「クトゥルフの呼び声」が登場して以降、SAN値というワードが少しずつ世の中に出てきます。のちにルールブックは「クトゥルフ神話TRPG」に名前を変えるのですが、そのあたりからクトゥルフファンによるTRPGのプレイ動画が動画配信サイトに出現し、実況が盛り上がり、アニメ「這いよれ!ニャル子さんW」や漫画「ヲタクに恋は難しい」で「SAN値ピンチ」というフレーズが使用されることになり、これまでTRPGファンの間でしか広まっていないフレーズが一般層へと拡大しました。また衝撃的な画像に「SAN値直葬」も使われるようになりました。
SAN値ピンチ
SAN値ピンチとはSAN値がもう残りわずかの状態で発狂する手前の状態を表します。もうおかしくなりそうな状態または狂気の一歩手前なのでこのフレーズを発する人には注意が必要です。
SAN値直葬
衝撃的な画像を閲覧するなどしてSAN値が一気に削られて心が死んでしまうことを表します。「産地直送」とかけており、そのまま逝ってしまうようなモノに添えて使います。
SAN値の同義語・類義語
SAN値はのもとの英語はSanityで意味は「正気」です。このSanityと同義語・類義語を紹介します。なおSanityの反対にあたる単語はInsanityで「狂気」のことであり、Madnessが同義語にあたります。
- consciousness
- soberness
- lucidity
- mentally health
SAN値を使った例文
SAN値を使った例文をご紹介します。
- Now it’s time to check the SAN point. (それではSAN値チェックの時間です)
- SAN point pinch! (SAN値ピンチ!)
- Since the SAN point is a pinch, I will check it. (SAN値がピンチなのでチェック行ってきます)
- there is a narrow line between sanity and insanity. (正気と狂気の間にはほんの少しの差異しかない)
- It was that vision which gave me an instant of sanity and of strength. (それを見たとたん、正気と体力が私に戻ってきた。)
- there is a narrow line between sanity and insanity. (正気と狂気の間にはほんの少しの差異しかない)
- It’ a SAN point direct burial.(それはSAN値直葬だ)
SAN値の決定方法
クトゥルフ神話TRPGではSAN値はPOW(精神力)という指標をもとに決定します。POWは3D6で決定します。
SAN値=POW×5
現実世界ではPOW(精神力)をダイスで決定できないので以下のようにフィーリングで決定します。
メンタルの状態 | 推定POW |
---|---|
視線が怖い。大きな音が怖い。普段からご飯の味がわからない。怒らるとなかなか立ち直れない。 | 1~3 |
怒られて凹むと立ち直る時にけっこう時間がかかる。落ち込んだ時ご飯の味がよくわからない。 | 4~5 |
怒られて凹むと立ち直る時にすこし時間がかかる。落ち込んだ時ご飯の味がわからない時がある。 | 6~9 |
徹夜1日はいける。ご飯がうまいと感じる。怒られて凹むけどすぐ立ち直る。 | 10~12 |
徹夜2日はいけると思う。同僚に怒られても悔しくない。だいたい飯がうまいと感じる。 | 13~15 |
徹夜3日はいけると思う。上司に怒られても気にならない。ほぼ飯がうまいと感じる。 | 16~17 |
徹夜4日はいけると思う。社長に怒られても気にならない。いつでも飯がうまいと感じる。 | 18~20 |
SAN値が多い人の特徴
SAN値が多い人は精神力も高い傾向にあります。3D6をロールした場合13以上であれば高いと言って良いでしょう。SAN値が高い人の特徴は次のようなものがあります。
自分の意見をはっきり言える
SAN値が多い人の多くは自分の意見をはっきり言うことができます。それはPOW(精神力)の強さの現れであり、SAN値の初期値も高くなります。
全ての人に好かれようとはしていない
SAN値が多い人の多くは自分の意見をはっきり言うことで人に嫌われても仕方がないと思っています。そこには自分に自信があるからであり、たとえ一人になっても道を切り拓けると信じています。
自分以外は信じない
SAN値が多い人の多くは本当の意味で自分以外を信じていません。これは周りを信頼しないということではなく、最終的には人に依存することなく自分の判断で行動しなくてはいけないと思っています。またクトゥルフ神話の魔道書などを読んだ時も信じない人であれば、すぐにSAN値が減少することはありません。(信じた時に引かれますが・・・)
危険なことをしていない
SAN値が多い人の多くは危険なことをしないようにしています。クトゥルフ神話において危険なことをすることは恐怖体験に直結し、SAN値を失う機会につながります。その危険を回避することこそSAN値を維持する秘訣です。
未知の生物との接触しない
ニャルラトテップなどの神格に限らず食屍鬼でも目撃してしまうと理性を失う可能性があります。中にはわざわざ未知の生物と接触を試みる人もいますが、SAN値が多い人はそのような振る舞いはしません。
おぞましい惨劇が起きるような場所に行かない
好奇心が先立つと凄惨な事件現場などを見てみたくなる人が一定数います。そのような場では衝撃的なものを目撃することもあり、激しいトラウマとなることもあります。SAN値が多い人は本能的にまた理性的に回避することでしょう。
SAN値が少ない人の特徴
SAN値が低い人は精神力が弱いほかに、不幸を引き寄せやすくなります。3D6をロールした場合、9以下であればSAN値が少ない方と言えるでしょう。SAN値が低い人はなにかと正常な判断を失いやすいために起こることもあり、実生活においても注意が必要です。低い人の特徴は次のようなものがあります。
すぐに人と比較する
SAN値が低い人の多くはなんでもすぐに人と比較する癖を持っています。この背景には自信の無さからくるものであり、少しでも優位に感じたいと思っています。
自己主張が苦手
SAN値が低い人の多くは自分に自信がないことや、他人に悪く思われることが不安で自己主張をあまりできません。
ネガティブ思考
自分に自信を持つことができないため、物事の悪い出来事は自分にあると思いがちです。悪い出来事が起きると全く自分と関係ないことでもネガティブに解釈する癖がついています。
呪文をよく使う
クトゥルフ神話TRPGにおいて呪文を使うと、マジックポイントの他にSAN値を失うことがあります。特に召喚や招来などを行えばSAN値も多く失います。SAN値が少ない人は呪文を何度も使用している可能性があります。
未知の生物との接触・目撃してしまう
地球上の生物ではない、別宇宙の存在などを目の当たりにした時に、またそれを理解した時に大きくSAN値を失うことがあります。SAN値が低い人はこのような経験をしている場合が多いです。
おぞましい惨劇が起きるような場所に行かない
普通の人は近づきたくもない場所に行くことで、トラウマを負う体験をするかもしれません。トラウマはSAN値を多く失ったことにより心に傷を負わせてできるものであり、SAN値が少ない人は、惨劇の現場にいたのかもしれません。
SAN値の上手な使い方
TRPGの世界だけではなく一般的な認知を得たことでSAN値の使い方も増えてきました。主な使い方はやはりクトゥルフ神話TRPG内のSANチェックになります。その次は自分の精神状態の不安定さを表現する隠語として使います。
SANチェック(正気度ロール)で使う
一番正当なSAN値の活用方法です。探索者が衝撃的なものを目撃する、または理解することで正気度ポイントを失うのですが、その正気を保てるかをチェックするロールのことをSANチェックと呼びます。このチェックは失敗すると必ずSAN値を失い、成功しても少し失うことがあります。クトゥルフ神話の神々のようなものとの遭遇はSANチェックに成功したとしても心にダメージを与えるでしょう。
隠語として使う
現実世界で広まってきたものの誰もが知っているような流行語になったわけではありません。漫画やアニメなどサブカル界隈の一部で広がっているくらいのものです。ただし、SAN値というフレーズを知っている者からすると「SAN値ピンチ」というフレーズは精神的に危うい状態ということは伝わります。
SAN値が詳しくわかるルールブック
SAN値についてはやはりルールブックをもとにTRPGを体験するのが一番理解が捗ります。
まとめ
いかがでしたか?SAN値は「正気」をあらわす単語であり、TRPGの枠を超えた単語と言うことがわかったと思います。実生活で使うにはまだ隠語としてわかる人にしかわからないレベルですが、伝わるようであれば共感しやすいでしょう。またSAN値という単語が出てくる時ははどちらかというとギリギリの精神状態であることが多く、発狂前のSOSのサインかもしれません。もしSAN値ピンチ!という人が周りにいるのであれば優しくしてあげましょう。